茨城県,桜川上流部における洪水堆積物は,下部が泥層で,上部が砂層という堆積ユニットを持っており,しかも上部の砂層内についてみても,砂の粒径が上方に次第に粗くなる,逆グレーディング (reverse grad-ing) を持つことが判明した.この洪水堆積物の堆積構造とその平面的分布を調べ,また洪水時に浮遊土砂観測や流況の観察を行なった.その結果,逆グレーディングをした洪水堆積物の成因について次の結論を得た.
洪水堆積物下部の泥層は,洪水流中のウォッシュ・ロード濃度がきわめて高く,しかも氾濫水の淀んでいる氾濫初期に堆積したものであることがわかった.また,洪水堆積物上部の砂層とその中での逆グレーディングは,下部の泥層堆積後,ウォッシュ・ロード濃度が急減し,水位上昇に対応して河岸でのわき上がりが強まる結果,河岸付近で浮遊する砂が次第に粗粒化することを反映したものであると解釈した.
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