地理学評論 Ser. A
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58 巻, 5 号
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  • 森山 昭雄, 丹羽 正則
    1985 年 58 巻 5 号 p. 275-294
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    東濃地方と三河高原の地形発達を考える上で重要な鍵となる土岐面・藤岡面は,ほぼ同時期に形成されたとされながら,確実な対比はなされてこなかった.そこで筆者らは,両地形面を構成する砂礫層の礫種構成・最大粒径・礫のオリエンテーションの平面的な分布を調べることによって,両地形面の対比を試みた.
    その結果,土岐面・藤岡面はほぼ同時期の地形面であるとの結論を得た.そして,砂礫の供給源は木曾川水系ではなく,飛騨川水系であり,古流系はおおむね北から南に向かう方向を示した.土岐面の形成時期は更新世前期と考えられ,猿投山周辺に分布する砂礫層は,矢田川累層を不整合に被う土岐砂礫層であることを示した.また,土岐面は,土岐砂礫層堆積末期のプラネーションによって形成されたものであり,堆積面と侵食面の両方の性格を持つ地形面として再定義した.
  • 山下 清海
    1985 年 58 巻 5 号 p. 295-317
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    植民都市の一つであったシンガポールの中心部における華人方言集団のすみわけと,その崩壊について分析した.華人会館の会員の分布や会館:施設の分布を検討した結果,第二次世界大戦後も戦前とほぼ同様に,方言集団が互いにすみわけていた.しかし,そのような伝統的すみわけパターンは,シンガポールのマレーシアからの分離独立 (1965年)後,とりわけ1970年代以降,崩壊し始めた.その要因としては,1.華人をとりまく言語環境の変化(とくに英語優先化), 2. 華人のシンガポールへの定着化の進行と,方言集団内の相互扶助機能の低下, 3. 外資導入による工業化の進展に伴う華人の伝統的経済構造の変化, 4. 都市再開発の進行による方言集団の集中地区の崩壊, 5. 方言集団のすみわけの崩壊を促進させる人民行動党政府の諸政策,などが重要なものとしてあげられる
  • 太田 勇
    1985 年 58 巻 5 号 p. 318-339
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    この論文は・マレーシアとシンガポールにおける国民統合の過程を,華語社会に焦点を当てて明らかにし,言語政策が特定の社会集団に与える影響を論述している.植民地時代に同___.の政治状況下にあった両国の華人は・今日・異なる政府の下で異なる社会的対応をせまられている.華人が絶対多数派のシンガポールでは,英語系華人が共通語に英語を指定し・華語系華人の不満をおさえて,「第三中国」でない国づくりを断行した.マレーシアにおいては,マレー人文化優位の政策に対し,華人は少数派文化の尊重を主張し,華語の存続に努力している・両者は一見すると相反する方向を目ざすようであるが,いずれの場合も,華人が現住国の国民になり切ろうとして,かつての「華僑」の性格を弱めたために生じた現象である.そして,新しい言語政策の発動の結果・華語系華人の多くが社会変革の過渡期にみられる孤立・疎外感を味わい,現在の自分の立場に不安を感じるところも両国に共通である.
  • 1985 年 58 巻 5 号 p. 340-344,346
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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