地理学評論 Ser. A
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61 巻, 10 号
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  • 美唄市山形地区を例に
    平井 松午
    1988 年 61 巻 10 号 p. 727-746
    発行日: 1988/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    近年の移民研究では,移住者の特性や移住意志決定プロセス,さらには移動流の方向などを明らかにするため,移民研究を人口移動研究の一環として捉え,移民の輩出過程と定着過程とにおける一連の移住過程が検討されてきている。本稿もかかる観点から,山形県出身者の多い美唄市西美唄町山形地区を例に,北海道農業移民の輩出・定着過程について報告しようとするものである.
    山形地区の開拓は,明治27(1894)年,山形県村山地方の零細農民が組織した山形団体という農民移住団体の入植によって始まった.その後,自作入植者の単独移住によって開拓地の外延的拡大が行なわれるとともに,山形地区では畑作農業期に農民層分解がみられ,一部上層農の出現をみた.大正10(1921)年に山形地区が水田化されると,上層農はその労働力の担い手として小作人や奉公人を入植させた.こうした後続入植者の多くは,地縁的・血縁的なネットワークを通じての連鎖移住による同郷移住者に求められ,このことが山形地区において「同郷性」を維持してきた理由と考えられる.
  • 前杢 英明
    1988 年 61 巻 10 号 p. 747-769
    発行日: 1988/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    プレート境界に沿って発生する巨大地震に伴う隆起地域として知られる室戸半島において,石灰質遺骸,海成段丘,離水波食地形を指標として,完新世における海水準の復元を試みた.これらの旧海水準指標は,垂直的に数10cm~数mの間隔を持った間欠的な分布を示し,I~VIの6つの旧海水準(レベル)が識別された.各レベルに対応する旧海水準指標は,14C年代から,それぞれ1:6,000~5,000y.B.P,,II:4,000~2,700y.B.P., III:2,600~2,200y. B. P., IV:2,000~1,100y.B.P.,V:1,000~800y.B.P., IV:700~200yB.P.に形成されたことが判った.認められた海水準の不連続的変化から,間欠的な地震隆起 (event 6~event 1)の存在を推定し,各eventについて隆起量の分布を復元したところ,内陸活断層の変位と重合した複雑なパターンを示す場合があることが明らかになった.本地域では,室戸岬における1回の地震による残留隆起量が0.2~0.3m程度の南海道地震(1946年,M=8.1)タイプの地震隆起が累積するような地殻変動が推定されてきたが,完新世においてはそのような地震隆起の累積はみられず,地震1回の残留隆起量がより大きな(最大数m)地震変位の累積が認められた.
  • 渡辺 満久
    1988 年 61 巻 10 号 p. 770-777
    発行日: 1988/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    In this paper, the availability of the vertical electric sounding (VES) for the detection of the basal surface of the Quaternary sedimentary rocks, is discussed. Calculations were made for an objective interpretation of apparent resistivity field data obtained through the Schlumberger array. It is found that the resistivity of the Quaternary system mainly composed of gravel is as high as that of granite and the Mesozoic_??_Palaeozoic erathem. Therefore, it is difficult to make a clear distinction between the former and the latter by VES. However, the Neogene sedimentary rocks have significantly lower resistivity than the Quaternary system. This enables to detect the surface of unconformity. The relationship between the estimated depth of the basal surface and the actual one, with a high coefficient of correlation of 0.98, is shown in Fig. 7, which suggests that detection of the basal surface of Quaternary sedimentary rocks by VES can be performed within an accuracy of about 6.5m. It is concluded that VES is a useful method for estimating the depth of the basal surface of Quaternary sedimentary rocks overlying Neogene ones.
  • 1988 年 61 巻 10 号 p. 778-785
    発行日: 1988/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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