地理学評論 Ser. A
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66 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 花崗岩渓流と古生層渓流について
    田中 幸哉, 恩田 裕一, 安形 康
    1993 年 66 巻 4 号 p. 203-216
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    花崗岩渓流では,滝が連続し縦断面形は階段状になるのに対し,古生層渓流では,滝がなく縦断面形は平滑になる.本稿では,この河床縦断面形の違いと岩石物性の違いとの関係について検討を行なった.岩石物性測定の結果,シュミットロックハンマーによる反発値,供試体による圧縮強度および引張強度では,古生層の値が,花南岩の値よりも大きい.また溶出,乾湿風化といった風化に対する抵抗性には差が認められない.したがって縦断面形の違いは,これら基岩の性質の違いに起因するものではない.現場および実験室において測定した縦波速度を用いて,岩相ごとに岩盤強度を求めた.その結果,花崗岩では新鮮な基岩と比較して,破砕帯や節理といった弱線の岩盤強度はきわめて小さな値を示した.また古生層では,弱線である層理面と交わる方向の岩盤強度が小さい.花崗岩では弱線が数~数十m間隔で分布しているのに対し,古生層では数~十数cm間隔で,密に分布している.ゆえに花崗岩渓流では,河床に対する侵食速度の差が周期的に現われ,それが結果的に階段状の河床縦断面形を生じることになるが,古生層では河床全体にわたって,一様に侵食が生じると考えられるので,そのため縦断面形は平滑になる.
  • 新井 鎮久
    1993 年 66 巻 4 号 p. 217-234
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    伊勢原市旧伊勢原地区では,1970-1975年にかけて落葉果樹栽培農家の再編成が進行した.その結果,田中地区以外の後発的果樹栽培地区は,多くの農家が都市化の波に農業基盤を侵食され,非農業地域化していった.これに対して,集落と耕地の一部だけを市街化区域に編入された田中地区の果樹農家は,線引きによって生じた市街化区=域内農地の多面的な土地利用価値を活用して,1970年代初頭以降安定した不動産経営に着手し,農家経済の基盤を確立した.そのうえで,調整区:域内農地を中心に合理的な果樹複合経営と効率的な直販方式による農業を実現してきた.加えて財産的価値の高い樹木作物とその圃場を,集落ぐるみかつ団地形態で維持することによって,田中地区の農地・農業の存続性をより高いものにしている.結局,農業経営基盤が固く,営農意欲が高い農業集落に対して,新都市計画法に基づく線引きが市街化調整区域をより多く残すかたちで施行された場合,その集落は都市化の進行に対してむしろ倍旧の競争力を発揮することが,事例調査から明らかになった.
  • 柏木 良明, 米谷 俊彦
    1993 年 66 巻 4 号 p. 235-239
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    The turbulent fluxes of carbon dioxide and water vapor within rice plant canopies were measured over water surfaces which were covered and uncovered with duckweed (Lemna paucicostata). Observations were made by the eddy correlation technique with three-dimensional sonic anemometer thermometers and infrared carbon dioxide-humidity fluctuation meters. The amount of photosynthesis of an individual frond was measured with a portable chamber. The results are summarized as follows:
    1) The turbulent flux of carbon dioxide at a height of 20 cm caused by the photosynthesis of duckweed was about -0.1-0.2mg/m2•s in daytime and about one-tenth of that in a rice stand.
    2) The turbulent water vapor flux measured over the water surface covered by duckweed was slightly greater than that over the uncovered water surface.
    3) The amount of photosynthesis of an individual frond was 0.14-0.17mg/m2•s at about 250-600, μmol/m2•s and 30°C conditions, and its value was nearly equal to that of the carbon dioxide flux above the duckweed community.
  • 1993 年 66 巻 4 号 p. 240-245,248_2
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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