地理学評論 Ser. A
Online ISSN : 2185-1735
Print ISSN : 0016-7444
71 巻 , 10 号
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  • 香川 雄一
    1998 年 71 巻 10 号 p. 711-729
    発行日: 1998/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,近代期の急激な工業化において早い段階で公害が発生した神奈川県川崎市臨海部を取り上げ,地域社会において人々がいかにして社会運動に参加したのかという視点から,社会運動の組織化の過程と特質を明らかにすることである..まず,当時の公害反対運動を自治体史や地方新聞の記事から再構成するとともに,運動における指導者の存在とその特質を浮き彫りにした.さらに近代期の日本における社会・政治的諸制度の変化と地域社会におけるその受容過程を踏まえながら,明治末期から昭和初期にかけてどのような地域組織が社会運動の組織化の基盤となったかを検討し,その類型化を試みた.
    結果は次の通りである.近代期の川崎では,組織化の形態,利害関心の共有などによって,(1)近代期の地方制度が地域社会にまで浸透していない時期には旧村およびそのネットワークに基づいた組織(旧村型),(2)産業組合制度の普及による漁業協同組合などの同業者組織(同業者組織型),(3)近代期の地方制度が改良を経て整備されるとともに現れてきた住民組織(住民組織型),の三類型が抽出された.このような社会運動の組織化における推移は,川崎において近代期に見られた地域組織の再編と照応するものとなっている.
  • 田村 百代
    1998 年 71 巻 10 号 p. 730-752
    発行日: 1998/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    『コスモス』において具体的に論じられた「地球の物理学」という自然地理学思想を対象とし,その形成過程,コスモス論および「自然画」との関係を取り上げる中で,Humboldtが主張する自然地理学の本質とその思想的背景を考察した.その結果,Humboldtの自然地理学の本質は,ニュートン主義の物質理論を基盤とした空間内の自然諸現象の力動論的考察にあることが明らかとなった。Humboldtの自然地理学は,基本力(引力・斥力)を持つ物質微粒子(原子)の運動を前提とし,空間内に共存する自然諸現象を物質のレベルでとらえ,数量化に基づきながら自然諸力(重力・熱・光・電気・磁気・化学親和力)の作用に還元するという力動的機械論の地理学であった.Humboldtが主張する力動論の地理学思想の背景には,宇宙はすべて力学の諸法則に従って運動する物質から成り,自然界のすべての結果は物質上の原因によるというニュートン力学影響下の物理学思想が存在している.
  • 渡辺 悌二, 深澤 京子
    1998 年 71 巻 10 号 p. 753-764
    発行日: 1998/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    黒岳周辺の登山道の荒廃の軽減を図るために,黒岳七合目から山頂区間の登山道に,1989年に排水路と土止め階段が設置された.これらの排水路や土止め階段が設置された当時には,板の上端まで土壌があったと考えられるが,現在では土壌侵食によって,かなりの板が露出している.調査地域に設置された板製の排水路の67%と板階段の67%が機能を失っており,57%の階段の周辺で土壌侵食が生じていた.登山道の幅は,7年間で平均72.5cm拡大していた.さらに,5地点での土壌侵食速度は,54~557cm2/年であった.この地域の既存の排水路や土止め階段はいくつかの問題を抱えており,登山道の荒廃を軽減するためには,(1)適切な設置角度の排水路の数を増やし,(2)排水路や土止め階段の長さを長くし,(3)登山道表面の整地作業を頻繁に行う必要がある.
  • 山後 公二, 村上 広史, 田中 耕平
    1998 年 71 巻 10 号 p. 765-774
    発行日: 1998/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    鳥海山北西麓に分布する約3000年前に発生した象潟岩屑なだれの堆積面上の流れ山1816個について周縁と頂点の座標値を小型解析図化機を用いて計測し,長径・短径・比高・短径/長径の比・円形度を算出した.さらに,崩壊源からの距離に対する各指標の平均値,250×250mメッシュ内の各指標の平均値を求め,その分布図を描いた.これらのデータを用いて流れ山の形態的特徴を把握するとともに,岩屑なだれの運動のメカニズムを検討した.
    その結果,流れ山の底面の形態はおおむね楕円形を成し,短径/長径の比が0.3以下の細長い流れ山はほとんど存在しないこと,崩壊源からの距離に対する短径/長径の比,円形度はそれぞれ0.67,15.0前後とほぼ一定であることが明らかとなった.また,北東側の大規模な流れと南西側の小規模な流れという異なる二つの流れが存在し,それぞれの流下方向はおおむねN44°W, N73°Wであったことが推定された.
  • 1998 年 71 巻 10 号 p. 775-782
    発行日: 1998/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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