地理学評論 Ser. A
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71 巻, 9 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 影山 穂波
    1998 年 71 巻 9 号 p. 639-660
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は港北ニュータウンの荏田地区を研究対象として,居住空間が形成される過程をジェンダーの視点から分析した.港北ニュータウン開発では市民参加が目指されたが,地権者は基本的に男性の世帯主であるため,女性が参加する場は用意されていない.区画整理後に入居してきた人は,ほぼ一定の年齢層と所得階層の住民である.彼/彼女たちの居住空間の形成への関わりの一つに地域活動が挙げられる.対象地域では,ライフステージに応じて居住環境に焦点を当てた地域活動が展開されており,地域ネットワークを拡大し,ニュータウンの発展段階に沿って発足・発展・消滅することで,居住空間形成に寄与してきた.その地域活動で中心的な役割を果たしてきたのは主婦である.彼女たちは日常の生活時間・生活空間でジェンダー役割を担い,さまざまな制約を受けながらも,地域活動において自分自身の存在価値を認めるために自分の時間を捻出し,活動に参加している。
  • 仁平 尊明
    1998 年 71 巻 9 号 p. 661-678
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    千葉県旭市における施設園芸を事例に,近年における農作物の産地がいかに維持されるかを,個々の農家における革新技術の導入過程に注目して明らかにした.旭市においては,1960年代後半から施設型の野菜園芸が盛んになり,1980年代以降は施設園芸農家数と栽培面積がほぼ安定した状態になる.事例地区における施設園芸農家は,2世代揃う家族労働力,平均37aの施設,水稲作との複合経営を経営基盤としつつ,近年,花卉園芸に転換したり,野菜類の新品種を導入したりして,農業経営を維持してきた.花卉園芸や野菜類の新品種を先覚的に導入したのは,施設園芸2代目の男子後継者のいる農家であった.この後継者たちは,旭市外部の先覚的な生産者グループ,種苗会社,卸売市場など,広域的な範囲から情報を収集してきた.
  • 大西 宏治
    1998 年 71 巻 9 号 p. 679-701
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,子どもの生活空間の三世代間の変化をアンケート調査,聞取り調査から実証的に示し,その原因を考察した。事例地域は岐阜県羽島市竹鼻町である.遊び空間,遊び時間,遊び仲間の関係を総合的にとらえるために,時間地理学的考察を試みた.その結果,世代が新しくなるにつれて,遊び空間と遊び時間が減少し,遊び仲間の規模も縮小することが示された.遊び空間の減少の原因として,土地利用の変化とドメインの増加が考えられる.また,子どもの生活空間は世代が新しくなるにつれて「プログラム化」が進行することが分かった.しかしながら,現代の子どもは,過去の世代とは異なる質の空間や仲間を持っており,単純に遊び空間,遊び時問,遊び仲間が減少しているとはいえない.
  • 1998 年 71 巻 9 号 p. 702-704,708
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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