地理学評論 Ser. A
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73 巻, 3 号
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  • 山本 正三
    2000 年 73 巻 3 号 p. 147-160
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    高度経済成長期以後,とくに1970年代以後における日本の農業・農村地域の変化は激烈で,景観,土地利用,就..造の変化には目覚しいものがあった.機械化農業体系の確立,交通条件の改善に支えられた新興産地の形成乳超集約的な施設園芸の発展,農村地域への.市的要素の進出,農村空間における.市的機能の拡大,農村と都市との混在化,農外就業の一般化による農家所得における農外所得の占める割合の飛躍的な上昇など,農業・農村地域の変化は技術革新への対応,地域の社会・経済環境の変化との関連,都市化・工業化のインパクトといった観点から整理することができる.しかし,これらの変化の理解には農業経営主体の性質に関する知識が不可欠である.小農複合経営の伝統とその変化過程からの考察がこれらの変化の評価には必要である.それによって農業・農村地域の将来のあり方を探る手掛かりが得られる.
  • 堀和 明, 茅根 創
    2000 年 73 巻 3 号 p. 161-181
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    琉球列島中・南部の島棚地形の特徴を音響測深記録・音波探査記録の解析から明らかにし,最終氷期最盛,期以降の海面変動などとの関係を考察した1島棚地形の特徴は平均深度50~55mに認められる内側傾斜変換点innerbreak (IB) を境にして大きく異なり,IBより浅い海底にはピナックルなどのサンゴ礁地形が・発達するのに対し, IBより沖側では平滑な斜面や海食作用により形成されたと考えられる平坦な地形面が目立っ.海面変動曲線,海洋環境の変化などとの関係から,琉球列島中・南部ではIB付近に海面が運した約10~11 kyr B. P. 以降にサンゴ礁の上方への成長が活発になったと考えられる.また,斜面上におけるサンゴ礁の上方成長は海面上昇速度に追いつけず,サンゴ礁形成の場はIBから陸側に移ってきたと推定される.低緯度域のサンゴ礁分布域では氷期から晩氷期にかけての低海面期にもサンゴ礁の活発な上方成長が起こっていた場所が存在するのに対し,琉球列島中・南部ではこのような現象は認められない.
  • 竹村 一男
    2000 年 73 巻 3 号 p. 182-198
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,末日聖徒イエス・キリスト教会の受容と定着の様相の地域的差異について山形・富山地域を中心に考察した.富山地域においては教会員の生家の檀家宗派は浄土系宗派が多く,禅系仏教地域の山形県米沢地域においても同様な傾向がみられた.浄土系宗派の寺院分布が卓越している富山・魚津地域においては布教が難しいが,教会員の定着率は高い.山形県と富山県の受容形態を比較すると,山形・米沢地域においては宗教体験を経て教会員となる場合が多いが,富山地域においては論理的に教義を解釈して教会員となる場合が多い傾向がある.これらの理由として,地域の基層宗教の大枠を構成する仏教では,宗派によって,住民の宗教観に影響を与える教義や地域社会への浸透度が異なるためと考えられる.とくに,浄土真宗地域における末日聖徒イエス・キリスト教会の定着率の高さは,浄土真宗と末日聖徒イエス・キリスト教会を含むキリスト教が教義構造において類似性を持つためと考えた.なお,両地域において教会員の属性には大きな偏りはみられない.1990年代に入り,同教会においては布教の手法と受容に至る過程に分散化・多様化が進んでいる.
  • 2000 年 73 巻 3 号 p. 201-222_2
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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