Geographical review of Japan, Series B
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63 巻 , 2 号
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  • 中川 正
    1990 年 63 巻 2 号 p. 139-155
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は,超有機体的文化が文化景観を形成するとする従来の全体論的な理論の反省から,演繹的な景観解釈モデルを構築し,それを合衆国ルイジアナ州における墓地景観の解釈に適用したものである。まず,究極的には個人のみが墓地景観を形成する営力になりうるとの前提から,人間の行為のモデルを構築した。このモデルによると,文化は人間を支配する実体として捉えられるのではなく,個々の人間が自分の意志に基づいて行う集団へのアイデンティティの表現とみなされ,その文化は集団間の比較のみによって発見される。各々の個人が表現するアイデンティティの対象は様々であるので,文化はいわゆる文化地域間の比較からのみではなく,宗教,人種都市・農村など様々な集団の比較によって発見されうる。本稿では,その中から (1) 北ルイジアナと南ルイジアナ, (2) カトリックとプロテスタントという2対の集団の墓地景観を比較することによって,それぞれの文化を発見することを試みた。層別抽出法によって抽出された236の墓地の実地調査と,その後の分析・統合の結果,本稿で構築したモデルが,従来の超有機体的理論と比較して,分布の説明,体系的な叙述,地域区分,集団の特性の理解などの文化地理学の目的追究のうえで,より効果的であることが示された。
  • 松本 淳
    1990 年 63 巻 2 号 p. 156-178
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    熱帯におけるグローバルな風系の季節変化を主に850 mb面について解析し,気象衛星観測による赤外長波放射量を用いた雲分布の季節変化との関係を明らかにした。
    850 mb面での赤道西風が,急激に位置や分布を変えることが,季節推移のなかで,しばしば認められた。広域でその変化が起こる時期は,3月上旬・3月下旬・4月中旬・5月中旬・6月中旬・7月下旬・9月上旬・10月初旬・10月下旬・ll月中旬・12月下旬に認められた。これらの時期には,雲分布においても大きな変化が認められることが多く,グローバルな熱帯地域の自然季節が,11に区分できた。
    これらの各季節の850mb面の風とOLR分布の季節合成図を作成し,各季節の特徴を記載した。各大陸毎の季節変化過程における違いが明らかにされ,雲分布の季節変化とは時期がずれることが多いことがわかった。また,各経度帯によって,赤道西風が出現する季節は異なっており,季節変化過程を3つの型に類型化した。年間を通して赤道西風がみられるのは,インド洋地域のみであった。さらに,赤道西風の北限・南限・分布最小期におけるグローバルな分布域が示された。
  • 増原 孝明
    1990 年 63 巻 2 号 p. 179-187
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    東京都心付近と周辺の郊外部のタワーデーター等を使用して,接地層の鉛直熱拡散係数 (Kz) の季節変化,時間変化の地域的な傾向の相違を調べた。
    この結果,夏期を除いて夜間に都心域のKzが郊外域のKzをかなり上回る傾向が見られ,特に12月の夜間にその傾向が顕著であった。そして,日中のKzの最大値を早朝の最小値と比べると,郊外域では前者は後者の40~80倍程度,都心域では10~20倍程度を示した。都心域の地表面粗度の影響はKzの日変化幅と比較するとさほど大きくないが,夜間にはある程度見られた。
    これに引き続き高濃度日の夕刻~夜間におけるCO濃度の簡単な数値シミュレーションを実施した結果,都心型及び郊外型の二つの濃度時間変化タイプが,夕刻の接地逆転層強度が都心部よりも郊外部でより急激に増大するという事実に起因するとみなされるKzの時間変化の違いを導入することによって,うまく説明されることがわかった。
  • アジズ M.M.
    1990 年 63 巻 2 号 p. 188-197
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究はクウエートにおいて, 1985年に死因の40%以上を占めた外因性疾患による死亡を地域的に考察したものである。クウエートの人口は,クウエート人と非クウエート人の2つの明瞭に異なるコミュニティから成り立っており,両グループの社会的,経済的,人口学的性格は死亡の分布に大きく影響している。
    死亡率は,死因に関する国際分類により,クウエート人・非クウエート人別に, 10万人ごとに算定した。外因性死亡は細菌・寄生虫感染によるものと,心疾患・腫瘍・事故を除く,それ以外のものに分けられる。前者は,減少しつっあるが, 1980年の死亡の10%を占め,クウエート人と男性に著しく,クウエート市を含む首都地区では,死亡の半数が寄生虫病によるものである。後者による死亡は, 1970年に60%であったものが, 1980年には40%台に減少した。クウエート人の死亡者数は,非クウエート人の2倍以上に上り,クウエート人の男性と非クウエート人の女性に顕著である。
    死亡者数は,クウエート人・非クウエート人ともに人口密集地区において多く見られるが,呼吸器系統の疾患が,特にクウエート人の主たる死因となっている。
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