Geographical review of Japan, Series B
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66 巻 , 2 号
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  • 竹内 淳彦
    1993 年 66 巻 2 号 p. 91-104
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,技術革新が急速に進むなかでの日本半導体工業の立地動態を明らかにすることにある。日本のセミコンダクター生産は1950年代の半ばに始まり,東京南部の機械技術集団の中で発展した。先端的な機械生産も既存の生産体系と無関係には形成されることはない。日本政府は,当時米国に比べ著しく遅れていた半導体生産の技術レベルを短期間に向上させる上で保護政策をとり,大型プロジェクトを発足させるなど重要な役割を演じた。同時に,互いに競争関係にあった各メーカーが,長期的視野から政府プロジェクトに参加し,協力して技術を発展させた事実も重要である。日本のセミコンダクターの生産は電卓や他の先端型消費財生産に支えられて成長し,とくに1980年代に質・量ともにあざましい発展を遂げた。東京・大阪の二大都市地域で成立した半導体工業は, 1970年代後半以降,九州,東北,その他の地方に次々と生産拠点を形成していった。一方,半導体工業は他の先端型工業と強く結びっいている。先端型工業の研究・開発機能が東京地域に集中しているために,東京地域だけが急速な技術革新に対応することが可能であった。そのため,東京を中心とする全国的な生産体系が強化されつつある。世界的な半導体工業のネットワーク化は各国の強力な管理貿易体制のもとで進行している。日本の製造業者は,厳しい国際的な研究・開発競争に対応していく必要がある。こうした日本半導体工業のグローバル化は,東京地域の技術集団を核とする全国的ネットワニクを強化しながら進行している。
  • 高橋 誠
    1993 年 66 巻 2 号 p. 105-126
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    わが国の農村における近年の社会変動は,混住化の進行によって,地域社会の再編成をもたらしてきた。現在の農村地域における社会変動のパターンとそれによって再編された地域社会の性格には,主として都市からの距離にしたがって,地域差がみられる。それゆえ,農村における人口構造の地域パターンと地域社会の再編過程とには,重要な関連性がみられるのである。筆者は,まずクラスター分析によって,新潟都市圏における人口構造の地域パターンを把握する。次に,地域組織のなかでもっとも重要な役割を果たしている住民自治組織を,その農家組合との空間的関係に着目しながら類型化し,それぞれの類型の地域的分布パターンと人口構造の地域パターンとの対応関係について検討する。最後に,新潟市西郊の黒埼町における地域住民組織の再編成についての精査を通して,以上の統計的分析を裏づける。
    その結果,以下の諸点が明らかになった。第一に,新潟都市圏の農村地域は, 1960年代以降の地域変動の結果, 4地域から構成されるような地域分化を生じさせた。そのうち3地域は,都市通勤者が多くを占ある郊外住宅地から農業を主体とする集落にいたる都市一農村連続体上に配列されるが,住宅団地と農業集落とが混在するような地域がそれを乱す要素として出現している。第二に,市街地縁辺部と住宅団地には,新しいタイプの住民自治組織が, 1960年代以降,既存の住民自治組織の分裂,あるいは隣接する地域組織との関連をもたない新規結成を通して出現してくる。第三に,一部の地域では,新しく結成された住民自治組織は,それらの結成によって分割される以前の村落領域のなかで,連合して新しいタイプの地域組織を結成している。第四に,こういった再編成の形態は,地域人口の規模と行政の地域政策によって規定される。結果的に,現代の都市近郊農村における地域社会の再編成は,一元的な伝統的村落組織からさまざまな地域組織の多元的・重層的構造への変化によって特徴づけられている。
  • 山本 健見
    1993 年 66 巻 2 号 p. 127-155
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は,ドイツの代表的大都市の中から,都市人口に占める外国人の比率が高く,しかも外国人全体の中に占めるトルコ人比率が特に高い都市である西ベルリン,ケルン,デュースブルクと,外国人比率は高いがトルコ人はユーゴスラビア人につぐ第2位集団でしかないミュンヘンとシュトゥットガルトとを取り上げて,各都市における民族的少数集団の空間的セグリゲーションの状態と程度を描くとともに,その要因を考察することを目的とする。その際,空間的セグリゲーションは,問題となる社会集団間の社会的距離を反映するという古典的人間生態学の理論の妥当性を検証することも,本稿の目的の一つである。
    ドイッの大都市を事例としたこのテ・一マに関わる既往の諸研究は,アメリカの黒人ゲットーなどと対比して,ドイッ各都市に共通する特徴を重視してきた。しかし,ドイツ各都市において民族的少数集団が集積・集中している地区の特徴は類似しているものの,民族的少数集団の空間的セグリゲーションの程度に関する各都市の間の差異はかなり大きい。ドイツの各都市は固有の特徴を示しており,古典的人間生態学の理論は妥当しない場合が多い。類型的に見れば,北部の経済的に停滞してきた都市,すなわち西ベルリンとデュースブルクで空間的セグリゲーションの程度が大きく,南部の経済的躍進の著しい都市,すなわちミュンヘンとシュトゥットガルトで小さい。ケルンは両者の中間に位置付けられる。
    このような類型的な特徴を説明するためには,民族的少数集団の側の居住地に関する主観的選好という要因よりも,構造的な要因に,すなわち各都市の形成史に制約された住宅供給の特質という要因を重視すべきである。本稿では,デュースブルクを事例として公益住宅企業が果たした役割を考察し,またミュンヘンを事例として「社会住宅」の果たした役割を考察した。その結果,空間的セグリゲーションに関する古典的理論からすれば逆説的なことであるが,差別が空間的分散を生み出し,また住宅供給側の主観的差別の欠如ないし小ささが空間的集中をもたらしていることが明らかとなった。
  • デイセンターの立地を事例として
    山下 潤
    1993 年 66 巻 2 号 p. 156-172
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    1970年以降,空間的相互作用に対する空間構造の影響が議論されてきた。このような議論は,地理学者の関心を空間的自己相関の影響を受けない距離減衰パラメータの抽出へと向けさせた。しかしながら,Bennettら (1985)が主張するように,空間構造と空間的相互作用とは相互依存関係にあると認識すべきである。本研究の目的は,空間構造に対する空間的相互作用の影響を明らかにすることである。まず,スウェーデンのマルメ市内で高齢者によってなされたデイセンターまでのパーソントリップのデータを用いて,Williams Fotheringham (1984)によって開発されたキャリブレーションプログラム, SIMODELによって距離減衰パラメータを推計した。さらに,最近隣平均距離とモラーン係数を用いて,デイセンターの立地パタンーと空間的自己相関を示した。っいで,発生制約モデルを内挿した立地配分モデルを用いて,異なる3つの距離減衰パラメータごとにディセンターの最適立地が求められ,空間的相互作用の空間構造に対する影響を吟味した。結果として,3つの距離減衰パラメータが異なる立地パターンをもたらすことを証明した。従って,空間構造による空間的相互作用への影響を明らかにした従来の研究と合せ,空間的相互作用と空間構造は相互依存関係にあるといえる。
  • 平 篤志
    1993 年 66 巻 2 号 p. 173-182
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,アメリカ合衆国シカゴ都市圏における日本企業の立地パターンとその属性,およびイリノイ州と州内の現在地に立地した理由を明らかにすることを目的とする。シカゴ都市圏の日本企業は,1960年代に増加を始めた。日本企業の分布には,2っの集中パターンがある。すなわち,1っは金融業に代表される業務集中地区での集中分布であり,いま1つは一般機械工業に代表されるシカゴ市近郊の北西部,特にオヘア国際空港周辺での集中分布である。現在,日本企業の郊外への移転・新規立地が,日本人従業員の居住地の郊外化を伴って進行している。114社の日本企業に対するアンケート調査の結果を分析すると,シカゴ都市圏の日本企業は,第1にアメリカ合衆国における地理的中心性からイリノイ州を立地場所として選択していることが明らかになった。そして,より地域的なレベルでは,シカゴ市の近郊に立地する場合は,オヘア国際空港への近接性が,またシカゴ市内に立地する場合は,シカゴ市への近接性が重要な要因となっていることが判明した。同時に,シカゴ都市圏の日本企業は,雇用機会を増加させることによって地域経済に貢献していることが明らかになった。
  • 1993 年 66 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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