地理学評論
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76 巻, 8 号
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  • 新井 智一
    2003 年 76 巻 8 号 p. 555-574
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,1980年代以降イギリスで発展したロカリティ研究を援用し,東京都田無市と保谷市の合併における社会経済的・政治的要因について明らかにした.両市は高度経済成長期において急速にベッドタウン化し,都市基盤整備が遅れた.このため,田無市は1980年代以降,大工場からの税収を基に,田無駅北口再開発などの都市基盤整備を推進した.さらに,1990年における田無市長の発言により,同再開発の推進を目的とした両市の合併問題が浮上した.これを受けて,財政基盤の脆弱な保谷市では,青年会議所などが合併推進活動を展開させたが,田無市民の合併への関心は低かった.しかし,その後の景気低迷により,同再開発は田無市への大きな財政的負担となった.さらに,田無市の大工場では生産規模が縮小し,それに伴い,田無市の法人地方税収も減少した.こうして,共に財政状況の悪化した両市は,財政基盤の強化を目的として合併したのである.
  • 高蔵寺ニュータウンを事例に
    稲垣 稜
    2003 年 76 巻 8 号 p. 575-598
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,高蔵寺ニュータウン出身者を例に,郊外第2世代の移動プロセス,および彼らの移動選択に影響を及ぼす諸条件を検討した.移動には男女差がみられ,未婚時には女性の離家未経験者の割合が高く,結婚時には女性の長距離移動がやや多い.高校卒業直後は,制度的な条件に移動が制約される面が強いが,その一方で,男女のライフコースの違いを前提とする親の言動など非制度的な条件も重要である.大学卒業後は,正規就職ができず,親と同居しながら非正規労働力として就業せざるを得ない女性が生み出されやすい.社会人になると,非制度的な条件が一層重要になる.こうした諸条件の一方で,離家の可能性を持つライフイベントを経験しない場合は,親との同居の意味を積極的に考えること自体が少なく,同居を当然視するという側面もある.結婚後は,同居・別居に対する親子間での異なる意識や,親の居住する郊外住宅地の物理的条件が,親子の同居.別居に及ぼす影響も大きい.郊外第2世代の移動選択に影響を及ぼす条件の多くは郊外の特性を反映したものであり,しかもその特性は,郊外第1世代の行動によって形成されたものであることが少なくない.
  • 佐藤 大祐
    2003 年 76 巻 8 号 p. 599-615
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は明治・大正期の日本において,ヨットというスポーツがいかに伝播したのかを,ヨットクラブの結成とクラブ会員の社会属性,および当時の社会的背景に注目して明らかにした.その結果,ヨットは居留地外国人・駐日外交官から日本人華族・財界人へと受容基盤を変化させるとともに,外国人居留地から高原避暑地,海浜別荘地へと伝播し,定着したことがわかった.
    まず,ヨットは欧米列強の植民地貿易の前進基地である外国人居留地に導入された.横浜では,居留地貿易を主導した商館経営者や銀行・商社駐在員,外交官などの外国人によって,ヨットクラブが1886年に結成され,彼らの社交場として機能した.その後,ヨットは1890年代に形成された中禅寺湖畔の高原避暑地.に伝播し,ヨットクラブが1906年に結成された.この担い手はイギリスやベルギーなどの駐日公使をはじめとする欧米外交官であった.中禅寺湖畔では,東京における欧米外交官と日本人華族の国際交流が夏季に繰り広げられた.そして,ヨットは海浜別荘地である湘南海岸において,華族を中心とする上流日本人の間へ1920年代から普及していった.
  • 2003 年 76 巻 8 号 p. 616-620,iii
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 2003 年 76 巻 8 号 p. e3
    発行日: 2003年
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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