地理学評論
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77 巻, 4 号
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  • —児島アパレル産地の「生産の世界」—
    立見 淳哉
    2004 年 77 巻 4 号 p. 159-182
    発行日: 2004/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    近年の集積研究では,地域経済の発展におけるローカルな関係性の重要性が強調される.しかし,ローカルな関係性が地域経済の発展に寄与するための諸条件については,必ずしも明示的に扱われていない.本稿は,この問題に取り掛かる上で,関係性資産の概念とストーパー・サレの「生産の世界」論に注目する.「生産の世界」論は,経済活動の調整装置であるコンヴァンシオンの重要性を提起するだけではなく,「生産の可能世界」概念によって,構築されたコンヴァンシオンが一定期間にわたって安定し,経済発展の資産として機能するための条件を提示する.「生産の世界」論を用いて,実際に児島アパレル産地の分析を行った.児島産地では明示的な協力関係が存在せず企業間関係は競争的であるが,特定の製品部門において,ダイナミックな活動が展開されていた.それらの製品部門では,「可能世界」の経済論理と実際のコンヴァンシオンとの間に,論理的な整合性が認められた.集積地の発展にとって,「可能世界」の経済論理と構造的に両立するようなコンヴァンシオンが構築できるか否かが鍵となる.これらの分析道具を用いることで,関係性資産の条件にアプローチする道が拓ける.
  • 長尾 朋子
    2004 年 77 巻 4 号 p. 183-194
    発行日: 2004/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    伝統的治水工法の一つである水害防備林が現存する久慈川中流域において,その立地と機能を検証した.水害防備林は立地面から,自然堤防上,段丘崖下,霞堤の前面の3種類に分類され,護岸機能とスクリーニング機能を持つことが確認された.さらに,自然堤防上に立地している水害防備林は土砂を捕捉することにより自然堤防の上方への発達を促していることがわかった.水害防備林は「成長する水制構造物」として評価できる.
  • 青木 久
    2004 年 77 巻 4 号 p. 195-208
    発行日: 2004/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    礫浜におけるカスプの形成過程を明らかにするために野外実験と室内実験を実施した.相模湾真鶴岬先端付近のポケットビーチ(礫浜)における野外実験では,既存のカスプを壊して平滑に整地した後,カスプが回復する過程を観察した.室内水槽実験では,平滑な一様勾配斜面から成る模型海浜を作り,遡上波帯の地形変化を含めて,カスプの出現・成長過程を観察した.カスプスペーシングは野外では2.2~2.5m,室内では29~35cmとなった.フルードの相似則に基づいたスケーリングによって,室内実験値を野外スケールに換算すると7.7~9.5mとなり,オーダーレベルで野外実測値と一致することがわかった.カスプ形成に関しては,野外と室内実験のいずれにおいても,不規則地形(野外では巨礫集積部,水槽内では側壁)から遡上波フロントの屈曲が起こり,カスプの形成が始まった.この遡上波フロントの屈曲とそれに同調する前浜上の凹凸地形の相互作用が,連続したカスプを形成することがわかった.
  • 瀬戸 真之
    2004 年 77 巻 4 号 p. 209-218
    発行日: 2004/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    足尾山地北部の古峰ヶ原高原において,斜面堆積物の特徴に基づいて斜面の不安定期と岩塊堆積物の形成プロセスを検討した.調査地には,花闘岩のコアストーン起源の岩塊,トア,および岩塊が集積した地形(岩塊流)がみられる.また,粘土やシルトなどのマトリックスと岩塊,角礫,最終氷期中に降下したテフラ (Ag-KP, Nt-I) を含む相対的に細粒な斜面堆積物もみられる.後者の堆積物は,基岩風化層上面の凹凸に支配されずに広く堆積していることから,線的な動きではなく,最終氷期後半の面的なマスムーブメントによって形成されたと考えられる.一方,岩塊堆積物の形成プロセスは,水流による風化層からの岩塊の洗い出しと,緩速度のマスムーブメントによる岩塊の移動の組合せと考えられる.岩塊堆積物は,細粒の斜面堆積物を刻む谷の中に堆積していることから,最終氷期末期以降に形成されたと考えられる.
  • 2004 年 77 巻 4 号 p. 219-222,iv_1
    発行日: 2004/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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