奥羽脊梁山脈の諸河川では,最上流部付近において20ka前後に形成された堆積段丘の存在が指摘されてきた.本稿は宮城県名取川上流域において,最終氷期以降の河成段丘の編年を行うとともに,堆積段丘構成層の移動・堆積プロセスを検討し,堆積段丘の発達過程について考察した.その結果,名取川の上流部では河谷の埋積は酸素同位体ステージ4以前に開始され,最終氷期最寒冷期頃あるいはその直前に終了していること,河谷埋積期には土石流や流水が大きく関与した斜面プロセスにより河谷へ岩屑が供給されていること,埋積終了は最終氷期最寒冷期の気候乾燥化による岩屑供給の減少によって引き起こされたことが明らかになった.
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