従来,地熱貯留層を対象とした数値モデルとして,様々な種類のものが提案・開発されてきているが,地熱貯留層は,油層などの場合に比べて,更に多くの複雑な要因を含むため,それらのモデルには,いくつかの簡単化の仮定が含まれてきた。その要因の一つに,地熱貯留層内に多く含まれるフラクチャーの存在があげられる。すなわち,フラクチャーが貯留層に含まれる場合,その流体流動メカニズムは,粒間孔隙のみを有する貯留層内の流体流動メカニズムとは異なるものとなり,従来の概念のみで,詳しくモデル化することは困難となる。 本論文では,その様な貯留層内の流体流動を近似的に取り扱う目的でシステム浸透率の概念を提案し,その概念を既開発3次元2相数値モデルにくみこむことにより,フラクチャー貯留層を対象として取り扱うことの可能な数値モデルを試作した。更に,他の二種のモデルと本モデルとの比較検討もおこなった。
抄録全体を表示