北海道地域福祉研究
Online ISSN : 2759-3193
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最新号
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論文
  • 北海道地域福祉学会30年の変遷と展望
    佐藤 大介
    原稿種別: 論文
    2025 年29 巻 p. 1-13
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、北海道地域福祉学会の設立30周年に際し、学会が北海道固有の地域課題といかに対峙し、地域福祉の発展にいかなる役割を果たしてきたかを包括的に検証することを目的とする。調査では、1994年の創刊号から2024年までの学会ニュース全66号を対象に、網羅的な内容分析と時系列分析を行った。 分析の結果、学会活動は社会情勢の変化に伴い4つの段階を経て進展したことが示された。設立初期は地域福祉概念の再構築を行い、地域社会そのものを支援対象とする視点を確立した。制度改革への対応期では、介護保険等の国策に対し、北海道の実態に基づく批判的検証を行い、住民主体の重要性を提起した。地域包括ケア推進期では、住民参加型サービスや地域包括ケア、権利擁護の実践へと深化させ、災害時の地域福祉強化期では、災害時における行政、NPO等の多機関連携やコミュニティソーシャルワークの機能強化を主要テーマとした。 結論として、学会は単なる学術機関に留まらず、研究者と実践者の協働プラットフォームとして機能してきた。制度と生活実態の乖離を埋める実践知を蓄積し、地域特性を踏まえたボトムアップ型の提言や優良実践の顕彰を通じて、持続可能な地域共生社会の基盤形成に寄与した点に、学会の歴史的・実践的意義がある。
  • 地域福祉の施策・実践の文脈から
    松岡 是伸
    原稿種別: 論文
    2025 年29 巻 p. 14-28
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/14
    ジャーナル オープンアクセス
    今日まで生活困窮者自立支援法(以下、支援法)は、第2のセーフティネットとして生活困窮する人々の相談支援を担ってきた。その中で、支援法の理念のひとつでもある地域づくり、特に“入口としての地域づくり”には、たびたび課題が指摘されてきた。そこで本稿の目的は支援法の“入口としての地域づくり”について、地域福祉の文脈から検討することである。その結果、第1に支援法の“入口としての地域づくり”には地域福祉の施策・実践が組み込まれていること。第2に“ミクロな生活課題”に対して支援法や地域福祉の施策・実践は一貫して地域のネットワークの形成等で対応してきたこと。第3に支援法における“入口としての地域づくり”の課題はイメージやあり方等の解像度が低いために生じていること等をつまびらかにした。今後の課題は、支援法における“入口としての地域づくり”の仕組み・システムのイメージや方法等の解像度をあげ、同時にこれらをデザインしビルディングできる人材やチームが必要となることを示唆した。
  • 北海道札幌市南区を事例に
    三田 絵里加
    原稿種別: 論文
    2025 年29 巻 p. 29-43
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、北海道札幌市南区における大学生の除雪支援を事例に、大学生による除雪支援を通じた、大学生ボランティアと地域住民との関わりがソーシャル・キャピタルの醸成につながっているのか考察した。 大学生ボランティアと除雪依頼主との関わりは、除雪を通じた限定的かつ弱いつながりであったが、大学生ボランティアは、除雪困難者を支える担い手となっていた。また、単なる除雪困難者の手助けに留まらず、大学生ボランティアにとっても、学生個人の学びや社会的スキルの獲得、地域の課題を認識し、その課題に主体的に向き合う意識の芽生えにつながっていた。このことから、大学生ボランティアと自力での除雪が困難な住民との間でソーシャル・キャピタルが醸成されている可能性が示唆された。 本事例の大学生の除雪支援は、実施日や時間帯の制約を受け入れられる住民、あるいは住宅以外の一部の生活圏の除雪を手助けする役割を果たしており、たとえ学生時代の一時的な活動であったとしても、大学生が日常生活を支える担い手に十分なり得るのではないかと思われる。今後、町内会や民生委員等とも連携して地域全体で除雪問題に取り組む仕組みができれば、除雪支援を契機としたコミュニティレベルでのソーシャル・キャピタル、すなわち高齢者の孤立防止や見守りといった、地域のセーフティネット機能の拡大につながる余地があると考える。
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