当科を受診した原発性肺癌271例の17.4%に当る47例に脳転移を認めた. その中7例 (14.9%) は生前脳転移の症状はなく, 剖検で発見されたが, 残余の40例 (85%) は種々の症状を呈した. 男性34例の平均年令は59.9才, 女性13例は54.6才で, 年代別には若年層での発生頻度が高く, 又, 全肺癌例の性比3.6: 1に対して脳転移例は2, 6: 1であり, 女性により高頻度であった. 組織型別では, 扁平上皮癌は15.2%と最も低く, 腺癌, 小細胞癌, 大細胞癌は何れも25%前後の頻度である. 脳転移による死亡は全肺癌例の13.6%に当るが, 腺癌例では22.8%であり, 他組織型例の約15%に比して明らかに高頻度である. 一方, 一度脳転移が発生すると, 患者の60-70%はそのため死亡することが判明した. 一部症例には放射線治療を施行したが, 3, 000rad以上照射した6例中4例に症状の寛解と延命を認めた. 肺癌脳転移の放射線治療について文献的考察を加えた.
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