肺癌
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21 巻, 5 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 殊にその組織亜型について
    小林 寛, 岡村 明治
    1981 年 21 巻 5 号 p. 499-509
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新潟大学病理学教室の過去20年間の肺癌剖検例214例を肺癌学会新分類に基づき臨床病理学的に統計的処理を加え検討した.要約すると腺癌が多く, 特に女性肺癌の60%を占めるが, 漸減し, 類表皮癌, 小細胞癌, 腺表皮癌が相対的に増加傾向を示している.年令は60歳台に多く, 組織型に差はないが, 性比では類表皮癌, 大細胞癌が男性優位である.全経過は類表皮癌で長く, 臓器転移も低率である.さらに亜分類による検討も加えた。
  • 中村 慎一郎, 矢崎 晴平, 松田 実, 宝来 威, 池上 晴通, 井上 武宏, 井上 俊彦
    1981 年 21 巻 5 号 p. 511-517
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺腺癌31例に対してADR, 5-FU, MTXまたはCTX, 5-FU, VCR, MTXの組合せによる多剤併用化学療法を施行した.21例に, 抗癌剤投与直前に少量放射線照射を行い, 腫瘍効果の増強を得た.放射線の併用を行う場合ADR中心の組合せよりCTX中心の組合せの方が, 副作用の発現が少く, 効果の増強も著明であった.併用放射線による副作用は認められなかった.
  • 清水 弘之
    1981 年 21 巻 5 号 p. 519-524
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    地域癌登録等から推定した日本 (1976) と米国 (1972-76) の肺癌罹患率を, 性・組織型別に比較した.扁平上皮癌の割合は日米間に大差ないが, 罹患率は日本の男子人口10万対11.9, 女子1.8, 米国男子25.2, 女子5.7であった.腺癌の割合は日本に高いが, 罹患率には大差がなかった.日本の男子での両組織型の罹患率は, 中枢・末梢とも女子より高かった.成因追究のための疾病頻度の比較には, 割合ではなく罹患率を用いる必要がある.
  • 大崎 饒, 阿部 庄作, 常田 育宏, 木村 清延, 三上 洋, 村尾 誠
    1981 年 21 巻 5 号 p. 525-532
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    クロムエ場従業員よりの3例の多発性肺癌-両側性-を経験した.内, 2例は両肺に生じた扁平上皮癌例であり, 1例は左肺に小細胞癌, 右肺に扁平上皮癌の同時発生例であった.扁平上皮癌両側発生例の内1例は手術を行った.1例は生前に診断を得たが病期が進行していたため死亡し、最後の例と共に剖検により子細に検索し得た.昭和56年春までにクロム工場従事者303名中, 21例の肺癌を見出し, この内, 剖検, 手術の可能な例8例であった.肺癌発生率の高頻度, また症例のような多発性肺癌を生ずることよりクロム塩類の強力な発癌性が示唆された.
  • 松岡 緑郎, 檀原 高, 飯島 福生, 三重野 龍彦, 岡崎 宣夫, 荒井 達夫, 吉良 枝郎
    1981 年 21 巻 5 号 p. 533-541
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌25症例に通常投与量の1/3量のBLMを気管支鏡下に腫瘍内へ局注し, 腫瘍縮小効果, BLM肺臓炎の発生の有無に関して検討した.腫瘍縮小効果を判定しえた22症例中, 20例に明らかな腫瘍縮小が認められた.副作用としては, BLM肺臓炎の発生は1例も経験しなかったが, 局注直後に大量喀血を起した症例が1例あった.局注療法の利点および制約, 限界を示し, この療法が進行肺癌に対する治療の一端を担うことを示した.
  • 小室 康男, 米田 修一, 本間 威, 吉田 清一
    1981 年 21 巻 5 号 p. 543-551
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Nonsmall cell carcinoma89例についてCOMとACOM療法を行い, その治療成績を検討した.COMは38名, ACOMは51名であった.有効率はそれぞれ13%, 13.7%であった.多発生骨転移で疾痛を強く訴えていた12名にACOMが投与されたところ, 11名に疼痛の緩和がみられた.COMにはそのようなことはなかった.50%生存期間はそれぞれ10ヵ月と11ヵ月で両者に推計学的有意差はなかった.多発性骨転移例や強化療法に関してはACOM, 維持療法にはCOMと行う方が有利と思われた.副作用に関してはACOMの方が多く認められた。
  • 宮本 宏, 井上 勝一, 村尾 誠, 橋本 正人
    1981 年 21 巻 5 号 p. 553-564
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌患者の血清CEA (サンドイッチ法), IAP値を経時的に測定し, 癌の拡がりや予後の指標について検討した.CEA値は腺癌では10ng/ml以上の場合はN1以上, 15ng/ml以上はN2, 扁平上皮癌では10ng/ml以上はN2までリンパ節転移があると考えられ, 高CEA産生型の場合に予後の指標となりえた.IAP値はCEA値とは必ずしも相関性を示さないが, 一般的免疫能を反映していると考えられ, 特に進行肺癌では, 1.000μg/ml以上を示す場合は強い免疫能低下状態を示した.進行肺癌の予後不良と良好例におけるIAP値の指標にっいて述べた.
  • 安倍 隆二, 生嶋 宏彦, 池原 幸辰, 中川 潤
    1981 年 21 巻 5 号 p. 565-567
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌患者の免疫遺伝学的背景を追求することによって, 発癌機序はもとより, 予後や治療との関係をも研究されている.そこで, 原発性肺癌患者41例を対象にHLA-A, B抗原の検索を行った.その結果, 肺癌患者ではBW16の減少が有意であった. (P<0.05) 組織型別にみて, 腺癌, 扁平上皮癌共に有意な抗原は認められなかった.肺癌発症に関与する免疫遺伝素因はPolygenicなものであることが推定される.
  • 君塚 五郎, 大和田 英美, 林 豊
    1981 年 21 巻 5 号 p. 569-576
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    SyriangoldenhamsterにUICCアスベストを気管内に週1回, 12週間投与し, 肺の組織学的変化について検索した.アスベろトによる変化は末梢細気管支に始まり, 次第に周囲の肺胞に広がる.肺胞は急性の炎症性細胞から6週では単核の大型の細胞や多核巨細胞等が多くなってくる.肺胞壁は炎症性滲出物で肥厚し, 22週には好銀線維, 32週には膠原線維の増加がみられた.またこれらの病変に一致して上皮の増生もみられた.
  • 日本肺癌学会肺癌X線病型分類委員会
    1981 年 21 巻 5 号 p. 577-587
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌のX線病型分類は, 肺癌学会の前身である肺癌研究会が発足した1960年から検討が開始され, 2・3の試案を重ねた後, X線分類委員会によって1966年正式に決定されたものが使用されて来た.
    1973年, 肺癌に関する諸分類・規約などを見直す作業が始められ, X線病型も委員会の構成をかえて改訂案の作製に入り, 1981年第22回日本肺癌学会総会において承認された.
    X線病型を分類するにあたっては, 分類原理をどこに置くかが重要である.肺癌に関しては, 発生部位・組織型・進展様式と進展度などを把握し得るものが必要と考えられ, 近年, 単純X線像並びに断層像の範囲で可成りの情報が得られるようになって来ている.
    けれども, 分析技術の問題なども含めて, 広い範囲で普遍的に活用されるためには未だしの感がある.
    このような現状を考慮に入れて, 従来の分類から一歩を進め, 診断の精度・X線像の分析能力の向上を目的として, 併せてTNM分類と関連性を持たせ, X線学的にとらえられる所見を記号で表わす “X線像分類” を作製した.
    将来, 肺癌の病態を反映した病型分類あるいは, 肺結核症における学研分類のように治療を目的と.した場合の病型分類などに発展することを期待し, 大方の御試用とさらなる改訂への御意見をいただければ幸いである.
  • 日本肺癌学会手術記載検討委員会
    1981 年 21 巻 5 号 p. 589-591
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1980年に, 肺癌手術記載の改訂が行なわれ, 新しい視点からの分類や規則によって手術記録がなされることになった.主点は,
    (1) リンパ節の地図作製と番号付け.
    (2) 肺内リンパ節, 肺門リンパ節, 縦隔リンパ節の区分決定.
    (3) リンパ節廓清の程度, 範囲の設定.
    (4) 手術の根治期待度の分類の改訂.
    である.
    1981年の肺癌学会総会時に行なわれた手術記載委員会において, こまかい記載要項を要領よく, また, 落ちのないように記入できるような記載用紙, worksheetの様なものがあると良いという強い要望があった.それにこたえて, 国立がんセンターの記載用紙に若干の追加, 改訂, 補足を加えたものをここに “肺癌” に掲載させていただくこととなった.
    御試用の上改善すべき点を御指摘いただければ幸いである.
  • 1981 年 21 巻 5 号 p. 593-596
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 21 巻 5 号 p. 597-609
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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