肺癌のX線病型分類は, 肺癌学会の前身である肺癌研究会が発足した1960年から検討が開始され, 2・3の試案を重ねた後, X線分類委員会によって1966年正式に決定されたものが使用されて来た.
1973年, 肺癌に関する諸分類・規約などを見直す作業が始められ, X線病型も委員会の構成をかえて改訂案の作製に入り, 1981年第22回日本肺癌学会総会において承認された.
X線病型を分類するにあたっては, 分類原理をどこに置くかが重要である.肺癌に関しては, 発生部位・組織型・進展様式と進展度などを把握し得るものが必要と考えられ, 近年, 単純X線像並びに断層像の範囲で可成りの情報が得られるようになって来ている.
けれども, 分析技術の問題なども含めて, 広い範囲で普遍的に活用されるためには未だしの感がある.
このような現状を考慮に入れて, 従来の分類から一歩を進め, 診断の精度・X線像の分析能力の向上を目的として, 併せてTNM分類と関連性を持たせ, X線学的にとらえられる所見を記号で表わす “X線像分類” を作製した.
将来, 肺癌の病態を反映した病型分類あるいは, 肺結核症における学研分類のように治療を目的と.した場合の病型分類などに発展することを期待し, 大方の御試用とさらなる改訂への御意見をいただければ幸いである.
抄録全体を表示