肺癌
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24 巻, 3 号
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  • 特に副腎転移について
    石垣 武男, 河野 通雄, 水谷 雅子, 牧野 直樹, 田内 胤泰, 廣田 省三
    1984 年 24 巻 3 号 p. 229-238
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌の腹部臓器転移, 特に副腎転移に関して検討した.剖検例94例中71.3%に腹部臓器転移がみられ肝 (45.7%), 副腎 (41.5%) の順で特に腺癌では副腎転移は67.7%と高率であった.臨床例39例のCTを用いた検索では33.3%に腹部臓器転移がみられ, 副腎 (25・6%), 肝 (20.5%) の順で, 腺癌での副腎転移は40%と高率であった.肺癌の腹部臓器転移の検索にはCTが有用であり, 特に腺癌では副腎転移に注目する必要がある.
  • 村井 嘉寛, 北川 正信
    1984 年 24 巻 3 号 p. 239-247
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    北陸地区居住者243例の剖検肺から, 絞り法により, 26.3%の石綿小体陽性率を得た.溶解法では, 検索症例235例の陽性率は, S-3, S-6, S-10の3区域全体で見ると97.4%と, ほとんどの住民に汚染が及んでいた.区域間における石綿小体数の分布を見ると, 検索した3区域で, 動きの大きいS-3で最も多く, 次いでS-10, S-6の順であった.また, 含鉄小体を分析電顕で調べ, そのほとんどの中心繊維が石綿繊維であることを確認した.
  • 予後因子の検討
    児玉 憲, 土井 修, 岡本 信洋, 寺沢 敏夫
    1984 年 24 巻 3 号 p. 249-256
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺野型腺癌68例について, 腫瘍倍増時間 (DT) と手術時の腫瘍径から, 自然予後の指標として予測生存期間を求め, これと術後の実測生存期間との比較を行った.その結果, 現在生存観察中で実測生存期間が予測生存期間に達していない症例と他病死例を除外すると, 実測生存期間が予測生存期間を上回り, 延命または治癒効果の認められた症例は50例中35例 (70%) で, 逆に実測生存期間が予測生存期間を下回った症例は15例 (30%) であった.この予後良好群と不良群との間で比較検討を行った結果, 術前にLDHの上昇, 赤沈の充進等を示した症例や右中葉発生例に予後不良例が多く, 右下葉発生例に予後良好例が多くみられた.手術根治度別にみた場合, 非治癒手術例やN2症例でも, 約60%の症例に手術による延命が認められた.また, T因子よりもN因子の方が, 予後に大きく影響すると考えられた.
  • 藤井 義敬, 門田 康正, 中原 数也, 南城 悟, 北川 陽一郎, 三好 新一郎, 前田 元, 池田 正人, 藤本 祐三郎, 川島 康生
    1984 年 24 巻 3 号 p. 257-261
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺切除を行った転移性肺腫瘍54例の5年生存率は52.8%であった.転移巣切除後2年半経過したものは全例5年生存した.転移巣の大きさが3crn以下の症例の5生率は74.5%であった.転移巣の数と大きさを同時に評価するため, 転移巣の直径を転移巣毎に合計したscoreを算出した.このscoreは予後とよく相関した.部分切除症例は葉切, 全摘症例より長期生存した.転移巣の数, tumor-free, interva1, 原疾患は予後に有意な差をもたらさなかった.
  • 栗原 正英, 児玉 哲郎, 亀谷 徹, 下里 幸雄
    1984 年 24 巻 3 号 p. 263-272
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    発生頻度の低い非喫煙者の肺扁平上皮癌について, 喫煙者のそれとの比較検討をした.非喫煙者の扁平上皮癌の発生部位は, 喫煙者群とは明らかに異なり, 癌の家族歴でも相異を示した.手術前に補助療法が行なわれていないすべての症例の気管支上皮の病変では, 扁平上皮化生を18.6%の症例に認めたが, 喫煙の有無あるいは喫煙量とは無関係であり, 扁平上皮化生の異型度と喫煙の程度との相関関係も認められなかった.なお同時に, 男性に較べて発生頻度の低い女性の肺扁平上皮癌についても検討を加えた.
  • 丸石 秀正, 山木戸 道郎, 大成 浄志, 上綱 昭光, 稲水 惇, 石岡 伸一, 向田 邦俊, 秋山 実利, 郷力 和明, 藤田 幹雄, ...
    1984 年 24 巻 3 号 p. 273-283
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌患者の血清α2-RへG値を測定し, 健常者と比較検討した.その結果, 健常男性では年令差がみられなかったが, 女性では加齢に伴って上昇がみられた.肺癌患者は男女共に健常者より, また男性患者ではII期, III期およびIV期は1期より有意に高値であった.しかし, 男性の腺癌では.上昇を示さなかった.α2-PAGとCEAのうち一方が上昇を示した肺癌症例の多くは他方が正常範囲にあり, 両者共に上昇を示した例は少なかった.肺癌患者におけるα2-PAGの陽性率は40.6%であったが, CEAとの併用により少なくとも一方が陽性を示したものは73.0%と高率となった.α2-mGが肺癌の診断以前より上昇し, その値が臨床経過と平行した症例がみられた.α2-PAGは, 他の腫瘍Markerと組み合わせることにより, 肺癌の診断ないし経過観察の有用な指標となるものと思われた.
  • 赤荻 栄一, 佐藤 雅美, 今井 督, 斎藤 泰紀, 須田 秀一, 橋本 邦久, 仲田 祐, 佐藤 博俊
    1984 年 24 巻 3 号 p. 285-292
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    本邦報告148例の気管支カルチノイドの文献的考察と自験13例の臨床病理学的検討を行なった.
    カルチノイド症候群や尿中高5-HIAAは転移陽性例に多く, 病巣が進展したことを示す指標であると考えられた.転移は原発巣が小さいものでもみられるため大きさとは必ずしも相関せず, 組織学的異型度に関係すると思われた.従って, 転移は非定型的カルチノイドのみではなく, 定型的カルチノイドでも組織学的異型性の強い部分を持つものに多いと考えられた.
    治療の原則はリンパ節郭清を含む早期の根治的な切除である.
  • 西尾 浩, 中村 慎一郎, 宝来 威, 池上 晴通, 松田 実
    1984 年 24 巻 3 号 p. 293-299
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌22例に対し, CDDP・CTX・VCRによる多剤併用療法を行い, 小細胞癌で88.9%, 非小細胞癌で23.1%の有効率を得た.CDDPの投与法を, 5回分割投与法と1回大量投与法に分け副作用を比較検討すると, 後者は嘔気・嘔吐の持続期間が短く施行しやすい方法であった.本法は特に小細胞癌に対して有効であるが, 潜在的な腎不全と考えられる症例が3例みられ, CDDPの総投与量を制限する必要があると思われる.
  • 肺癌の早期発見と高頻度発生
    中川 健, 松原 敏樹, 木下 巌, 土屋 永寿, 菅野 晴夫, 平野 敏夫
    1984 年 24 巻 3 号 p. 301-310
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    クロム作業従事歴を有する84名の男子に対し, 喀痰細胞診を主体とする肺癌検診により6年間の追跡調査を行い6例の原発性肺癌を発見し, うち2例は重複肺癌であった.これら肺癌例は全例喀痰細胞診によってチェックされ, 5原発巣はX線写真で異常なく, また5原発巣が早期癌もしくは早期癌と推定されるものであった.当集団の肺癌罹患率は10万対1190で, 一般人と対比した相対危険度は16.6であり, 9年以上曝露者に限ると21.6であった
  • 阿部 庄作, 常田 育宏, 永井 達夫, 川上 義和, 三上 洋, 木村 清延, 大崎 饒
    1984 年 24 巻 3 号 p. 311-317
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺門部早期肺癌の発見を目的に1974年より喀痰細胞診を用いて検診を行って来た.12例の肺門部肺癌と1例の鼻腔癌が発見され, そのうち5例は肺門部早期扁平上皮癌であった.早期肺癌の発見動機は高度異型細胞の検出にあり, 中等度異型細胞の検出時には気管支鏡検査でも肺癌の局在を明確にしえなかった.喀痰細胞診により, 喫煙習慣を続けている重喫煙者を対象に, 経年的に細胞の異型度の推移を追求することが早期肺癌発見のために効率良いと思われる.
  • 岡 三喜男, 森 剛一, 平谷 一人, 河野 謙治, 船津 龍, 荒木 潤, 植田 保子, 神田 哲郎, 斉藤 厚, 原 耕平
    1984 年 24 巻 3 号 p. 319-324
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    才3ヵ月男児の小児中間細胞型肺小細胞癌を経験し、剖検し得たので, 文献的考察を加えて報告した.15才以下の小児肺癌は極めて稀な疾患で, 1953年から現在までの本邦報告例は自験例を含めて18例にすぎない.予後不良な例が多いが, 中には5年以上生存した例もあり, 稀な疾患ではあるが, 早期治療のためには, 小児呼吸器疾患の鑑別にはこれも考慮に入れるべきと考えられた.
  • 平山 雅清, 植竹 健司, 鈴木 俊雄, 工藤 翔二, 木村 仁, 鈴木 謙三, 池田 高明, 酒井 忠昭, 酒井 章次, 深山 正久, 小 ...
    1984 年 24 巻 3 号 p. 325-330
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    才男.昭和43年左腋窩部軟部組織内の鶏卵大腫瘤を摘出し, extraskeletal chondrosarcomaと診断された.その後特に異常を認めなかったが, 昭和56年健診で右中肺野に石灰化を伴う小結節性陰影を指摘された.6ヵ月にわたる抗結核療法を受けたが無効で, extraskeletal chondrosarcomaの肺転移を疑い右S-4の部分切除を行なった.病理組織学的所見は13年前のものと一致した.この肺内転移性腫瘍のダブリングタイムは約4年6ヵ月であった.
  • 1984 年 24 巻 3 号 p. 331-345
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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