肺癌
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26 巻, 2 号
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  • 発生部位, 性, 喫煙歴との関連
    森 清志, 児玉 哲郎, 下里 幸雄
    1986 年 26 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺扁平上皮癌を対象に粘液, Secretory component (SC), Gastrin reieasing peptide, Calcitoninの有無を組織化学的に検討したところ, SCおよび粘液は, 喫煙者群では肺門部発生例より末梢発生例で陽性率が高く, 末梢発生例においては性および喫煙歴による差はなかった.非喫煙者群では, ほとんどが末梢発生であり, SC陽性率は高く, 神経内分泌細胞の分化は全く認められなかった.以上より, 末梢発生例は腺癌への分化傾向をもつものが多いといえる.
  • 西山 祥行, 矢野 平一, 西脇 裕, 北谷 知己, 松山 智治, 玉井 誠一, 児玉 哲郎, 末舛 恵一, 竹本 和夫
    1986 年 26 巻 2 号 p. 125-135
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    某クロム酸塩製造工場従業員における肺癌11例 (多発癌1例を含む) について検討した.全例男性で10例がheavysmokerであった.クロム暴露期間は17年-29年 (平均23.9年) で, 7例に鼻中隔穿孔がみられた.肺癌発生部位は各葉I-IV次気管支で, 周辺肺・気管支上皮の変化としては軽度の肺気腫がみられたのみである.組織型は扁平上皮癌9例 (うち早期癌4例) 小細胞癌3例であった.肺内クロム量は測定した7例全例で高値を示した.
  • 中村 正和, 花井 彩, 藤本 伊三郎, 松田 実, 建石 竜平
    1986 年 26 巻 2 号 p. 137-148
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    喫煙者における肺癌罹患の相対危険度は男の小細胞癌, 扁平上皮癌, 大細胞癌, 腺癌でそれぞれ10.3, 6.0, 4.4, 2.8と有意に高く, 喫煙量と肺癌罹患のリスクとの間に有意に量反応関係が認められた.女の腺癌では, 相対危険度は1.7となったが有意ではなかった.また, 喫煙開始20-24歳の男の肺癌症例では, 扁平上皮癌と腺癌で1日喫煙本数が増えるほど, 喫煙開始から肺癌診断までの期間が短縮する傾向があった.
  • 長尾 啓一, 山口 哲生, 水谷 文雄, 林 文, 角坂 育英, 渡辺 昌平
    1986 年 26 巻 2 号 p. 149-156
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    COPDに合併した肺癌症例の臨床的検討を行った.肺癌患者中, COPDがあった例は9%であった.性別では, 男性が圧倒的に多く, 年齢の中央値は69才であった.B.I.400以上の喫煙者は86%を占め, 組織型では類表皮癌が62%と最も多かった.原発部位に関しては, S1, 2, 3+S6のupper zoneに多い傾向が認められた.低肺機能のため, 切除例は9%と少なく, 無治療例が19%を占めていた.Bleomycin (BLM) 投与例における, 間質性肺炎の発生頻度はCOPD合併例と非合併例で差は認められなかった.中間生存期間は6ヶ月であった.BLM-MMC療法が施行された類表皮癌例に限定してCOPD合併例と非合併例の生存曲線を比較すると, 前者の方が予後が悪かった.死因としては, 肺感染による呼吸不全死が多い傾向にあった.
  • 斉藤 博明, 木村 秀樹, 山口 豊, 籾木 茂, 南久松 真子
    1986 年 26 巻 2 号 p. 157-165
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺中間型小細胞癌細胞を無血清培地 (HITES Medium) にて培養し, 生物学特性について検索を行った.血清培地での培養細胞との増殖曲線の比較では, 著しい差は認められず, 血清培地で認められた細胞自体の形態変化はみられなかった.また培養細胞のヌードマウス皮下移植実験では, 2ヶ月後腫瘍形成を認めた.培養上清中の腫瘍マーカーの検索では, CEA, カルシトニン等のホルモンを分泌していた.分裂細胞の染色体分析では, 正常染色体数を示す細胞はなく, 41XYを示す細胞が全体の62%を占め, 細胞集団としては, 比較的安定していると思われた.
  • 田代 隆良, 後藤 純, 黒田 芳信, 後藤 陽一郎, 明石 光伸, 那須 勝, 糸賀 敬, 長門 宏, 三浦 肇
    1986 年 26 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    大分県南部に集積する珪肺症患者, いわゆる豊後土工肺に合併した肺癌について報告した.肺癌は, 塵肺病型第3型, 第2型の重喫煙者に多く発生しており, 部位別では右下葉に多く, 組織型では扁平上皮癌, 小細胞癌が多く, 腺癌は少なかった.臨床病期III, IV期の進行例が多いことから, 珪肺合併肺癌の早期診断のため, 喀痰細胞診, 気管支ファイバースコープ検査が有用なことを述べ, 発癌機序についても考察した.
  • 和田 哲明
    1986 年 26 巻 2 号 p. 173-183
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌に対するNd-YAGレーザー治療と, ヘマトポルフィリン誘導体 (HpD) およびアルゴン・ダイレーザーによる光力学治療の治療効果を, 治療後の切除例および生検材料について病理組織学的に検討した.前者では軟骨が, 後者では粘膜上皮.平滑筋, 軟骨の各層がそれぞれ照射に対する妨害層となっていると考えられ, これらの層が癌浸潤によって消失している例では, 両者共に7-8mmの深さまで癌細胞の完全消失が得られることを認めた.
  • 肺癌およびその組織型に対する正診率の比較
    松田 実, 宝来 威, 中村 慎一郎, 西尾 浩, 佐久間 貴彦, 池上 晴通, 建石 龍平
    1986 年 26 巻 2 号 p. 185-194
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    気管支鏡下に, 可視範囲にある同一病巣に対し, 擦過細胞診と鉗子による生検組織診の行なわれた, 原発性肺癌566例を対象として, 肺癌の診断率および組織型の一致率を検討した.その結果, 擦過細胞診による陽性率は86.7%, 生検組織診による陽性率は59.7%であった.両者ともに陽性であった318例中, 細胞型の一致したものは73.6%であった.各々の検査法と, 手術または剖検による原発巣の最終病理診断を比較すると, 擦過細胞診による細胞型の一致率は83.1%, 生検組織診による細胞型の一致率は81.2%であった.
  • 辻 重行, 大野 聖子, 中村 昇, 苗村 健治, 浅妻 茂生, 中山 昌彦, 藤井 浩, 三宅 清雄, 浦田 洋二, 北市 正則
    1986 年 26 巻 2 号 p. 195-202
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    CSF産生腫瘍と考えられた悪性胸膜中皮腫の症例を報告した。症例は63才男性。咳漱・微熱を主訴に入院。胸部X線上、腫瘤陰影あり、その増大と共に著明な白血球増多を認めた。末期には白血球数は13万/mm3で成熟好中球が98%を占めていた。約5ヶ月の経過で死亡し, 剖検にて悪性胸膜中皮腫の診断を得た。患者血清及び腫瘍組織の培養上清にCSF活性が証明され, CSF産生悪性胸膜中皮腫と考えられた。
  • 小田 敏郎, 弘中 貢, 大田 迪祐, 本郷 碩, 亀井 敏昭
    1986 年 26 巻 2 号 p. 203-208
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は57才男性.肺癌の診断を受け, 右下葉切除術が施行された.病理組織学的には, 腫瘍はwater-clearな胞体を有するclearcel1により構成され, 一部には腺腔形成を示していた.術前に高値を示した血清CEAは術後正常化し, また非標識酵素抗体法では, 腫瘍細胞の胞体内に抗CEA抗血清に反応する陽性物質が認められ, 肺のadenocarcinoma of clear celltypeと診断した.この報告では主にWHO分類でlarge cell carcinomaの一亜型とされるclear cell carcinomaと本症との関連について検討し, WHO分類の問題点及び腫瘍の明細胞化現象について言及した.
  • 大嶋 義博, 坪田 紀明, Katsuhiro Sawada, 良河 光一, 山下 長司郎, 清水 雅史, 足立 秀治, 高木 佳木, 大林 ...
    1986 年 26 巻 2 号 p. 209-213
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    喀疾細胞診陽性, 胸部X線写真陰性の症例に対し, 1年2ヵ月にわたる気管支鏡による経過観察の後, 左B6早期癌と診断し, 左下葉切除を行った.術後病理診断にて左B6に発生したcarcinoma in situと判明した.気管支鏡所見は, 左B6入口部の発赤, 浮腫性変化であった.
    Occult lung cancerとくに上皮内癌は, 局在診断に多くの困難を伴うが, 気管支鏡検査を繰り返し, 局在部位を明らかにしなければならない.
  • 1986 年 26 巻 2 号 p. 215-236
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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