肺癌
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26 巻, 4 号
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  • 沈 士栄, 林 豊, 菊池 典雄, 河野 俊彦, 栗山 喬之, 渡辺 昌平
    1986 年 26 巻 4 号 p. 359-372
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌剖検例にみられた肺感染症, 特に肺炎 (46例) の病理組織学的な特徴について検索を行なった.これらの症例に見られた肺炎は急性像から器質化に至るまでの種々の組織像を示し, 炎症の推移の観点から6種の型に分けられた.個々の症例には種々の組織像が混在しているが, その多数が線維化への過程を示していた.広範な器質化肺炎を呈する例の多くは, その所属気管支に腫瘍による気道の通過障害のあることが形態学的に確認された.
  • 坂本 廣子, 片上 信之, 李 英徹, 石原 享介, 岩崎 博信, 梅田 文一, 中井 準
    1986 年 26 巻 4 号 p. 373-379
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    本院で非観血的治療を受けた肺癌症例357例の内, 33例 (9.2%) が2年以上生存例で平均年令は66.9±9.75才であった.非観血的治療例の2年生存率は, S.48年~S.52年の3.8%に比較してS.53年~S.57年は12.4%と増加した.組織型別の2年生存率は扁平上皮癌11.0%, 腺癌9.3%, 小細胞癌8.6%, 大細胞癌6.1%であった.治療法別では腺癌を除くと放射線と化学療法併用の奏効例が多く, 扁平上皮癌ではBAIと放射線療法併用例が多かった.
  • 森 清志, 江口 研二, 森山 紀之, 土屋 了介, 児玉 哲郎
    1986 年 26 巻 4 号 p. 381-390
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌切除例125例につき, 従来のX線写真単独と胸部CT所見を加味した術前病期stagingの診断成績をprospectiveに比較検討した.また, CT所見についてはretrospectiveに解析し, 胸部CTの有用性を検討した.CT併用により臨床病期診断率は44%から58%と向上がみられた (P<0.05).隣接臓器への浸潤に対するCTの正診率は81%であった.CTによる肺門リンパ節の検出率は低かった.縦隔リンパ節ではCTの正診率は74%であり, 組織型による差は認められなかった.リンパ節転移陽性とするCT上のリンパ節の大きさは, 1×1cm以上とするのが組織型を問わず妥当と考えられた.
  • 大岩 孝司, 斉藤 博子
    1986 年 26 巻 4 号 p. 391-395
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    転移性肺腫瘍20例に対して経気管支針吸引細胞診を行い, その診断的意義を検討した.全体の陽性率は17例, 85%で, うち5例は本法により原発巣の推定も可能であった.気管支鏡無所見群16例のうち, 胸部X線写真上陰影の最大径が30mm以下の9例に対しても, 8例, 89%の陽性率を得た.本法は気管支壁を貫いて検体の採取が可能であることより, 転移性肺腫瘍に対しても優れた細胞診断法であることが確認された.
  • 松島 敏春, 原 宏紀, 安達 倫文, 岸本 寿男, 守屋 修, 川西 正泰, 矢木 晋, 川根 博司, 副島 林造, 加藤 収
    1986 年 26 巻 4 号 p. 397-402
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    私共が最近10年間に経験した肺癌患者374名の, 肺癌確診前の臨床経過を分析した.その結果, 集団検診が発見動機と何らかのかたちで関与したもの (I群) 83名 (22%), 自覚症状があって医療機関を訪れたもの (II群) 278名 (74%), 他疾患にて受診中に偶然に発見されたもの (III群) 13名 (4%) であった.
    肺癌の切除率は, II群においては僅か9%であり, I群では27%であった.I群の中でも, 自覚症状がなく早く診断のついた群 (Ia) では55%の切除率であったのに対し, 自覚症状があって集検を受けた群 (Ib) では10%にすぎず, II群の切除率と差がなかった.
    肺癌との確診を得る迄に医療機関で3カ月以上を要した, 所謂doctor'sdelayがI群で8%, II群で22%, 両者合わせて30%であった.
    自覚症状があって医療機関を訪れたり, 異常を指摘されたのに放置していたという, 所謂patient'sdelayが64%, doctor'sdelayが30%にみられ, 集検発見, 早期確診のwithout delayは6%にすぎなかった.
    このことより, 肺癌を早く発見するためには, 1.大衆の啓蒙, 2.医療機関での診断技術の向上, 3.集検方法の改善 (withoutdelayで切除率が55%であったことによる), の順に重要であることが考えられた.
  • NK活性とDNCB反応の組合わせについて
    北村 曠, 三上 理一郎, 坂口 泰弘, 米田 尚弘, 堅田 均, 前川 純子, 西川 潔, 成田 亘啓
    1986 年 26 巻 4 号 p. 403-409
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌未治療患者58例について, NK活性とDNCB反応を検索し, 両者の組合わせによる免疫スペクトルを4群に分け, 免疫能と臨床病態との関係を検討した.A群は一般状態 (PS) が良好で, 遠隔転移が少なく, 82%の高率で治療が期待できるが, BないしC群, D群と免疫能の低下に伴って, PSの悪化と病期の進展がみられ, D群は全例治療不可能であった.この新しい免疫スペクトルは, 患者の予後の推則と治療方針の決定に有用である.
  • 吉澤 正文
    1986 年 26 巻 4 号 p. 411-420
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺小細胞癌剖検例156例を病理組織学的に燕麦細胞型oat cell type (OAT), 中間細胞型intermediate cell type (INT), 混合型燕麦細胞癌combined oat cell carcinoma (COM), 小細胞型未分化癌undifferentiated carcinoma, small cell type (UD) に亜型分類しCOM以外の三亜型間の差異を検討した.化学療法に対する反応はOAT, INTがUDより良好であった.UDと他の二亜型の鑑別には生検や細胞診材料での組織像・細胞像の分析に加え免疫組織化学的検討が有用であることが示唆された.
  • 沓沢 智子, 高崎 雄司, 塩谷 寿美恵, 太田 保世, 山林 一
    1986 年 26 巻 4 号 p. 421-426
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は64才男性.主訴: 胸腰痛.現病歴: 昭和58年2月頃より胸腰痛出現持続.胸部X線像にて右第3肋骨腫瘤と右側胸水を指摘された.胸水は淡黄色で, 多数の骨髄腫細胞を認めた.血中IgD1850mg/dl, 胸水lgD350mg/dlであった.胸水を伴う骨髄腫は極めて稀で, 本邦では15例が報告されているにすぎず, 本邦例の文献的考察を加え, 報告する.
  • 岡野 昌彦, レシャード カレッド, 乾 健二, 神頭 徹, 和田 洋己
    1986 年 26 巻 4 号 p. 427-432
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    才女性, 2年前より咳徽, 喀疾が続くため当科受診.右下葉の拡張所見と支配血管の異常を認め, 右下葉切除術を施行.病理所見は平滑筋の異常増殖と一層の円柱上皮で形成されたクレフトの形成を認め, 右下葉にのみ浸潤したび慢性線維平滑筋腫性過誤腫と診断した.通常, 本症は肺野に多発類円型の腫瘤を形成し, 子宮筋腫を合併することが多い.しかし自験例は, 特異な形態を持ち, 肺の平滑筋腫性病変を分類する上で貴重な一例と考えた.
  • 松村 晃秀, 門田 康正, 中原 数也, 大野 喜代志, 藤井 義敬, 橋本 純平, 北川 陽一郎, 城戸 哲夫, 前田 元, 池田 正人, ...
    1986 年 26 巻 4 号 p. 433-438
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    中間気管支幹に発生した脂肪腫を経験したので報告する.症例は58歳の男性で, 咳嗽・膿性痰・発熱を主訴として受診したが, 肺結核症のため左上葉切除と胸廓成形術を受けた既往歴があり, 混合性の呼吸機能障害を認めたため, 気管支鏡下に切除を行ない, 断端をNd-YAGレーザーにて焼灼した.本邦では現在まで11例の気管支脂肪腫が報告されているが, 気管支鏡下に切除された報告はなく, 低肺機能の症例では有用な治療法と考えられる.
  • 横田 章, 神代 尚芳, 伊藤 正己, 金子 正, 山下 憲一
    1986 年 26 巻 4 号 p. 439-443
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    才男性, 左肺上葉原発の大細胞癌で胸壁に連続浸潤を認めた (StageIII-T3N0M0).シスプラチン単剤投与 (100mg/m2/回) 4回実施しpartial responseを示した.外科的補助療法として左上葉胸壁合併切除施行.切除標本内に悪性細胞は全く認められなかった.本例のように画像上はpartial responseであっても実質的には腫瘍細胞の完全消失が認められる例もあることが示唆される.
  • 笠松 紀雄, 橋爪 一光, 篠崎 克己, 滝口 裕一, 半沢 儁, 和田 源司, 佐藤 展将, 岡本 一也
    1986 年 26 巻 4 号 p. 445-451
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    文献上, 稀とされる孤立性気管支乳頭腫の1例を報告する.症例は75才, 男性.再発性の肺炎症状を主訴に入院.左上葉気管支入口部に腫瘤を認め, 経気管支鏡的生検にて孤立性気管支乳頭腫の診断を得た.本症例は十二指腸潰瘍穿孔のため死亡した.剖検後組織学的検索で, 腫瘍基底部の腫瘍細胞に強い異型性を認め, 上皮内癌と診断された.非若年者に生じる孤立性気管支乳頭腫は, 癌腫の合併率も高いため, 可能な限り外科的摘除が必要であると再認識させられた.
  • 1986 年 26 巻 4 号 p. 453-474
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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