肺癌

肺癌の化学療法による白血球減少に対するOK-432の抑制効果

桑野和善, 麻生博史, 矢川克郎, 重松信昭

1988 年 28 巻 7 号 p. 835-841
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.835

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肺癌患者に対する化学療法の2回目以後の投与は, その副作用である末梢血白血球の減少により制限を受ける場合が多い.我々は, OK-432の白血球増多作用に注目し, 抗癌剤の2回目以降の投与時にOK-432を併用し, 末梢血白血球数のNadirを観察した.その結果, OK-432を併用しなかった26例は, 2回目以降のNadirは1回目に比較して有意に低下したが, 併用した13例は, 1回目と2回目以降のNadirに有意差を認めなかった.従って, OK-432は, 抗癌剤を繰り返し投与する際にしばしば認められる白血球減少を抑制し, さらに感染合併の危険率を低下させることが示唆された.

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肺癌細胞の産生するtissue plasminogen activatorの肺転移形成に及ぼす影響

相良憲幸, 中野敬次, 犬房春彦, 原聡, 相澤真澄夫, 黒岡一仁, 波江野善昭, 安富正幸

1988 年 28 巻 7 号 p. 843-847
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.843

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癌の転移に関与する因子には癌細胞側因子, 宿主側因子, 両者の相互作用などがあるが, 今回, 肺癌培養細胞3株を用い, 癌細胞側因子 (血小板凝集育旨, plasminogen activator産生能) とnude mice皮下移植での肺転移形成能との相関について検討した.血小板凝集能, urokinase産生能は3株共に見られたが, 自然肺転移を生じるKUM.LK-2細胞はtissue plasminogen activatorをも産生しており, この物質の産生能が肺転移形成に関与していると推測された.

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肺癌におけるランゲルハンス系細胞の出現とその意義について

三宅弘章

1988 年 28 巻 7 号 p. 849-855
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.849

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原発性肺癌50例と転移性肺癌5例の腫瘍細胞のケラチン (KR) に対する反応とランゲルハンス系細胞の出現をみるため, 免疫ペルオキシダーゼ法を施行した.細気管支肺胞癌 (BAC) の腫瘍細胞はしばしば抗KR抗体に陽性となり, 多数のS-100 (+) 樹状細胞 (DC) が14例中13例 (92*9%) に出現した.また, S-100 (+) DCは癌組織型に関わらず, 腫瘍周囲のリンパ球浸潤部に出現し, 腫瘍免疫機序に関与している可能性が示唆された.

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原発性肺癌における²⁰¹Tlシンチグラフィの臨床的検討

藤井忠重, 金井久容, 広瀬芳樹, 田中正雄, 平山二郎, 半田健次郎

1988 年 28 巻 7 号 p. 857-868
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.857

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原発性肺癌153例に²⁰¹Tlシンチグラフィを実施し, その臨床的意義を検討した.原発巣における²⁰¹Tl集積は153例中139例 (90.8%) に認められ, ²⁰¹Tl投与量に対する原発巣全体の集積量の割合は平均0.27±0.18%であった.²⁰¹Tl集積度は多様な分布を示すが, T₂, T₃で高く, 気管支動脈血流量との関連が認められた.本法は原発巣や転移・浸潤巣の存在・拡がりの診断とともに, 上大静脈症候群, 右室肥大, 心膜液貯留, 間質性肺炎などの合併心肺病変の診断に役立つなど, 有用な特徴を有する.

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肺癌の胸膜播種のCT診断

森雅樹, 森裕二, 森拓二, 鈴木明

1988 年 28 巻 7 号 p. 869-876
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.869

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開胸手術により胸膜播種を認めた肺癌11例の術前の胸部CT像と胸部X線像を検討した. 胸壁胸膜面への播種は全例にあり, CTでは5例に胸膜面の凹凸不整像を認めた.葉間胸膜面への播種は8例にあり, CTでは7例に患側葉間部の多発小結節影所見を認めた.術中に胸水貯留が認められた4例中, CTでは2例を検出出来た.各々の所見とも胸部X線像の検出率はCTに比して低かった.CTは胸膜播種, とくに葉間への播種の診断上有用と考えられた.

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骨シンチグラフィが転移巣の検索に有用であり拡大切除術を行い得た転移性骨肉腫の1治験例

和久宗明, 小山明, 安野博, 大岩孝司, 今井均, 河端美則

1988 年 28 巻 7 号 p. 877-882
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.877

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症例は44才, 男性.38才時に左大腿原発骨肉腫に対して膝上切断術を受けている.4年を経て胸部X線写真上, 緩徐な発育を示す境界明瞭な肺内腫瘤, 胸郭内腫瘤を認め, 骨シンチグラフィにて著明な集積像を同部位に認めるところから骨肉腫の転移としてこれを肺切除, 胸壁部分切除により治療し, 病理学的に骨肉腫の転移であることを確認した.2年後に胸壁, 縦隔, 横隔膜, 後腹膜に広汎に再発を来した.やはり骨シンチグラフィにて強い集積像を認めた.アルカリフォスファターゼ値が異常高値を示した.骨肉腫転移の再燃として残存肺別除, 胸膜全切除, 心膜広汎切除, 横隔膜左半亜全切, 胸壁広汎切除をともなう拡大切除術を施行した.術後, アルカリフォスファターゼ値は正常化した.患者は再切除後2年の現在, 健在であり社会復帰できている.

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上大静脈症候群を示す悪性胸腺腫に対しcisplatin, prednisoloneが著効を示した1例

寺沢明夫, 桑田康典, 室雅彦, 上田祐造, 柏原瑩爾, 元井信

1988 年 28 巻 7 号 p. 883-888
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.883

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52才男性の上大静脈症候群を示す悪性胸腺腫に対し, 術前cisplatin, prednisolone併用化学療法を行なった.その結果, 短期間で上大静脈症候群の消失と腫瘍の著明な縮小を認め, 血行再建を要せず全摘術可能となった.さらに術後照射5040radと6ヵ月後に予防的cisplatinの追加投与を行なったが, これら集学的治療によって術後9ヵ月現在, 再発の徴なく生存している症例を経験したので報告した.

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乳癌根治術24年後に肺転移を診断し切除した1症例

藤原清宏, 桑原修, 土肥英樹, 花田正人, 田口鐵男, 藤田昌英

1988 年 28 巻 7 号 p. 889-894
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.889

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66歳女性.1984年某病院で左下葉S⁶に異常陰影を指摘され, 結核腫として治療されたが増大傾向あり.当院に1986年8月入院気管支鏡で左B⁶に腫瘍を認め, 粘液癌と診断.既往歴に1963年乳癌根治術あり.両者が同一の粘液癌であることから乳癌肺転移が考えられた.一側肺単発で他に遠隔転移がないため, 9月11日左下葉・気管支管状切除を施行した.乳癌根治術24年後に肺転移を診断し切除した症例は極めて稀である.

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Roentgenographically occult triple lung cancerの一例

伊藤哲思, 加藤治文, 小中千守, 三浦弘之, 早田義博, 海老原善郎

1988 年 28 巻 7 号 p. 895-900
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.895

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Roentgenographically occult triple lung cancerの一例を経験したので報告する.症例は67才の男性で重度喫煙者である.第1癌は左B¹⁺²_a+bに喀痰集検で, 第2癌は左B⁶, 第3癌は右B²_abに各々follow up中に発見された.本症例は, 患者が手術拒否のため3癌とも光線力学的治療が施行され治癒し得たが, このように外科的切除以外でも治癒する症例も少なからず報告されてきており, 今後の治療の選択に問題点を投げかける一例といえる.

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AFP産生肺癌の一例

起塚裕美, 杉村和朗, 杉原正樹, 児玉光史, 石田哲哉, 野原隆彦

1988 年 28 巻 7 号 p. 901-905
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.901

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症例は64歳男性.胸部写真で腫瘤影を認め, 経皮肺生検により低分化型腺癌と診断した. 血清AFPは20500ng/mlと上昇していたが, 血液学的, 画像診断上も肝腫瘍を疑わせる所見は認められなかった.治療と平行して変化している点から肺癌細胞がAFPを産生していることが強く疑われた.手術標本中残存腫瘍細胞は酵素抗体法により染色され, 腫瘍細胞がAFPを産生していたことが確認された.本邦13例目のAFP産生腫瘍の1例を報告した.

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BAI後に腫瘍の大半を喀出した肺門部肺癌の1例

西村嘉裕, 酒井忠昭, 池田高明, 深山正久, 小池盛雄

1988 年 28 巻 7 号 p. 907-911
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.907

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症例は56歳の男性.左完全無気肺で発見され左主気管支を閉塞する扁平上皮癌であった. BAI (MMC 10mg) 施行後左肺全摘術を行なった.切除標本では左主気管支を閉塞する腫瘍は認められず, 上下葉の分岐部直下外側壁内にとどまる1.0×0.7×0.6cmのポリープ状の腫瘍が認められただけであった.症例は術後5年4カ月再発の徴候なく健在であるが, 病理組織学的所見から左肺全摘術の必要はなく, 気管支形成術が応用できた症例であった.

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支部活動

1988 年 28 巻 7 号 p. 913-925
発行日: 1988/12/20
公開日: 2011/08/10

DOIhttps://doi.org/10.2482/haigan.28.913

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