肺癌
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31 巻, 7 号
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  • 塚本 東明, 佐藤 徹, 山田 昌弘, 山田 敬子, 長沢 正樹, 門間 正幸
    1991 年 31 巻 7 号 p. 987-993
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    過去10年間に切除した肺門部早期扁平上皮癌15例について発見動機別にその臨床像を検討した. 15例中検診発見例が5例, 自覚症状発見例が10例であった.
    検診発見5例の来院時の喀痰細胞診は疑陽性3例, 陽性2例であった. 胸部レ線像上異常なしが4例と多く, 肉眼所見は表層浸潤型3例, 結節隆起型2例でポリープ型は1例もなかった.
    自覚症状発見10例では喀痰細胞診を8例に行い, 疑陽性2例, 陽性4例であった. 胸部レ線像上二次変化像が7例と多く, 異常なしはわずか3例であった. 肉眼所見は結節隆起型が5例と半数を占め, 表層浸潤型は2例, ポリープ型は3例であった. ポリープ型の喀痰細胞診陽性は1例もなかった.
    以上の検討結果から, ポリープ型の肺門部早期肺癌は喀痰細胞診併用の肺癌検診でも発見されにくい可能性が示唆された.
  • 増永 慎一郎, 高橋 正治, 小野 公二, 平岡 真寛, 北株 義純, 阿部 光幸, 伏木 雅人
    1991 年 31 巻 7 号 p. 995-1001
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1968年8月~1989年12月に60Coγ線を用いて放射線治療を施行した胸腺腫58例, 胸腺癌3例, を対象とし検討した. 放射線治療単独11例, 術前照射1例, 術後照射45例, 術中照射併用4例であった. 胸腺腫についてはa) 術後照射及び術中照射の併用が有効である. b) 術後照射群では, operabilityが予後因子と考えられ, 全摘または亜全摘されたStageIまたはII症例と, 全摘されたStageIII症例が術後照射の適用になりうる. c) 重症筋無力症合併症例は, 非合併症例よりも予後良好であった. 胸腺癌の場合も, 全摘後に充分な線量の術後照射を施行する事によって制御し得る可能性が示唆された.
  • 佐藤 邦彦, 原 信之, 一瀬 幸人, 麻生 博史, 矢野 篤次郎, 前田 和信, 高森 信三, 川崎 雅之, 澁谷 浩二, 大田 満夫
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1003-1009
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    70歳以上の高齢者肺癌 (70歳台463例, 80歳台74例) について, 切除例, 非切除例に分け検討した.切除例では, 70歳台の5年生存率42.9%, 80歳台50.5%と69歳以下の48.8%と有意差はなかった.非切除例では, 1期でも5年生存率は13.5%と低値であった.全身状態良好なものに限って, 治療法別に生存曲線を比較したが, 放射線療法, 化学療法, 両者併用療法, 無治療群の問に全く差を認めなかった.
  • 清水 信義, 寺本 滋, 人見 滋樹, 伊藤 元彦, 和田 洋巳, 渡辺 洋宇, 岩 喬, 山田 哲司, 山本 恵一, 龍村 俊樹, 山口 ...
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1011-1019
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    西日本地区30施設の共同研究により, 肺癌の治癒切除例に対する補助化学療法の有用性を検討した.このtrialが終了した後5年の観察期間が経過したのでその成績を報告する.対象は絶対的治癒切除, 相対的治癒切除となった肺腺癌であり, A群はMMC (20+10mg) +tegafur 600mg1年間経口投与, B群はMMC (20+10mg) +UFT400-600mg1年間経口投与とした.1982年11月から1985年11月までにA群113例, B群111例の計224例が集積された.不適格例が43例であり, A群88例, B群93例を解析対象とした.背景因子には差は認めなかった.
    成績は5年生存率および5年健存率で検討した.両群の全症例の5年生存率はA群64.3%, B群55.6%で有意差は認めず, 健存率でも差はなかった.後層別解析で, N2症例において5年生存率および5年健存率とも, B群が良好であった (p=0.029, p=0.048).
  • 杉山 幸比古, 元吉 和夫, 小松 則夫, 三浦 恭定, 北村 諭
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1021-1027
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    白血球増多が著明でなく血小板数の著増をきたした肺癌2例について, 血小板増加因子の検討を行った.1例目では, 胸水中の癌細胞を株化し, その培養上清中にGM-CSFおよびIL-6の存在を確認した.2例目では尿中の造血因子の検索から, M-CSF, GMCSF, IL-3を確認した.以上の事から, 肺癌患者の血小板増多機構には, これら既知の造血因子が複合して関与している可能性が示唆された.
  • 特にOK-432とrIL-2の併用におけるキラー活性の誘導について
    原内 大作, 木村 秀, 高橋 敬治, 宇山 正, 門田 康正
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1029-1038
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    OK-432とrIL-2を用いて, 原発性肺癌31例の末梢血 (PBMC) と所属リンパ節単核球 (RLNMC) のキラー活性を調べるとともに, 両剤の併用効果を検討した.PBMC, RLNMCともに, OK-432あるいはrIL2の刺激によりキラー活性が増強したが, 両剤の同時投与ではrlL-2単独投与より低値であった.単核球をインドメタシンで処理した後, OK-432とrlL-2を同時投与すると未処理に比べてキラー活性が増強した.このことから, 両剤の同時投与において, 活性化単球から産生されるPGE、が, 早期からrlL-2の作用を抑制していると考えられた.しかし, 両剤の異時投与では, PBMCがrlL-2からOK-432, RLNMCがOK-432からrIL-2の投与で, rlL-2連続投与と同等か同等以上のキラー活性を得ることができ, rIL-2の副作用等を考慮した場合, 投与法の工夫によりOK-432とrlL-2の併用の有用性があると考えられた.
  • 陽子線照射と埋め込み式ステント留置による治療
    湯浅 洋司, 赤荻 栄一, 森田 理一郎, 鬼塚 正孝, 三井 清文, 辻井 博彦
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1039-1044
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    気管に発生する腺様嚢胞癌は気道の長軸方向に沿って進展し, かつ気道狭窄が高度となってから診断が確定することが多いためにしばしば気道確保に難渋する. 今回我々は, そのような気管原発の進行腺様嚢胞癌を経験したので報告する.
    症例1は38歳男性. 切除不能進行腺様嚢胞癌による気管狭窄に対し, 緊急に放射線 (60Co) 照射, 気管支鏡下YAGレーザー照射を施行し, 気道は充分に開大させ得た. 腫瘍の増大による気管の再狭窄に対しては陽子線照射が有効であった.
    症例2は28歳女性. 進行腺様嚢胞癌による気管狭窄に対し, YAGレーザー照射で気道開大後, 浮腫のために気道閉塞となった.挿管したまま放射線照射を施行したが, 一時軽快したものの再狭窄となった. そこで姑息的な気道確保として埋め込み式の留置ステントを用い, 良好な結果を得た.
  • 太田 伸一郎, 長島 康之, 江藤 尚, 本多 淳郎, 中島 信明, 鈴木 春見
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1045-1051
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    化学療法が奏効したが腫瘍陰影が残存したために, 大血管の置換再建を加え腫瘍を一塊として摘除した縦隔原発のセミノーマを2例経験した. 当初, 腫瘍が巨大で縦隔の大血管系を取り囲んで浸潤性に発育していたため, 根治的な外科摘除は困難と判断した. CDDP・VP-16を主体とした化学療法を施行したところ, 腫瘍の著明な縮小効果が得られたため放射線療法を追加した後, 大血管の置換再建を行い腫瘍を一塊として摘除した. 病理検索では, 症例1では腫瘍の大部分は壊死・線維化巣に置き換わっていたものの小集団の腫瘍細胞の遺残が脈管内に認められた. 症例2では腫瘍は完全に壊死・線維化巣に置き換わっており腫瘍細胞の遺残を認めなかった.
    縦隔原発セミノーマに対する化学療法の有効性が示されるとともに, 腫瘍陰影が残存した場合には, 腫瘍細胞の遺残を考慮にいれ, 大血管の血行再建術なども含めた積極的な外科摘除が必要であると考えられた.
  • 山本 眞也, 田中 聰, 小林 省二, 和田 豊治
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1053-1058
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    27歳男性.左胸腔内再発腫瘍に対して緊急開胸腫瘍摘除術を施行した.組織学的検査でMalignant hemangiopericytomaと診断された. その後, 再発腫瘍に対して, 重瘍摘除術, 心膜, 横隔膜の部分切除を伴なう左肺全摘除術および左側胸壁合併切除術を施行した. また, Cisplatin, Doxorubicin hydrochloride, Cyclophosphamideによる化学療法とLinac照射は無効で, 初回手術後9カ月目に, 右肺転移および汎発性血管内凝固症候群で死亡した.
    自験例は, 腫瘍が縦隔胸膜と連続し肺内に病変が認められない手術所見から縦隔原発と考えられた.
  • 山本 達生, 赤荻 栄一, 三井 清文, 塚田 博, 小形 岳三郎, 相馬 雅行
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1059-1064
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胸部X線写真で異常なしとされたが, 喀痰細胞診で要精査とされ, 気管支鏡検査を含む精査を行なったものの, 悪性所見が得られず, 2年の経過観察を経て診断を確定し, 切除した末梢型肺腺癌の1例を経験した. 症例は軽度の肺線維症を有する69才男性で, 病巣は右S10に存在し, 右肺下葉切除を施行した. 病理組織学的には細気管支肺胞上皮癌であった.細気管支肺胞上皮癌は, 典型的な腫瘤陰影を呈さず術前診断の困難な例が多いが, 胸部X線写真上ごくわずかな変化を呈するのみの時期に, 喀痰細胞診によって発見し得ることが知られた.
  • 高森 信三, 原 信之, 一瀬 幸人, 麻生 博史, 矢野 篤次郎, 大田 満夫
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1065-1069
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は67歳, 男性. 検診胸部X線写真にて空洞を伴った腫瘤影を指摘された. 術前確定診断は得られなかったが原発性肺癌を疑い左下葉切除を行った. 病理組織学的には空洞壁は中分化扁平上皮癌より成っており, 充実性腫瘤部は粘表皮癌様の像を呈し, さらに両者の混在ないし移行像も認められた.総合的には腺扁平上皮癌と診断したが, その組織発生において興味のもたれた空洞形成肺癌の1例であった.
  • 谷口 清英, 坪田 典之, 川口 仁, 林 栄一, 中元 賢武, 前田 昌純
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1071-1076
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は74歳男性.1期肺腺癌術後肝転移に対し, rhG-CSF併用chemotherapy (MVP療法: CDDP 80mg/m2, VDS 3 mg/m2, MMC 3mg/m2, 2週間隔, 5クール) で画像上PR (Pertial Response) を得た.化療中のCEA値を経時的に測定した結果, 腫瘍体積と有意の相関をみた.画像上PRであったがCEA値は完全に正常化した.このことは, 縮小した塊状影が腫瘍の壊死組織である可能性を示している.本症例の血清CEA値は, 予後判定のうえで再発の指標となり, 抗腫瘍効果のマーカーとして鋭敏に反応した.
    血清CEA値は画像診断の限界を補う新たな化療効果判定方法になりうることが示唆された.
  • 渋谷 知加子, 小牟田 清, 前田 恵治, 五十嵐 敢, 綾田 昌弘, 岡本 茂
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1077-1082
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は60才男性.咳漱, 呼吸困難にて発症し, 約1カ月後, 左心不全症状にて緊急入院. 入院後, 胸部X線上, 後縦隔腫瘍が指摘され, その後急速な増大傾向を示した.生前, 確定診断は得られなかった. 化学療法 (CPA, ADM, VDS) を施行したが, 治療3日後, 全経過約50日後に多臓器不全にて死亡した.
    剖検では後縦隔腫瘍は右後上縦隔より心臓後面を経て左側胸壁に達する巨大なL字型を呈していた. 組織学的所見, 特殊免疫染色より後縦隔原発悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma: MFH) と診断した.
  • 柴田 和彦, 野田 八嗣, 広瀬 仁一郎, 太田 五六, 藤村 政樹, 松田 保
    1991 年 31 巻 7 号 p. 1083-1088
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    多発結節型肺転移で発見された胸腺腫のまれな1例を報告した.症例は51歳, 男性.前胸部痛を主訴に受診, 胸部X線上転移性肺腫瘍を疑う両側肺野の多発性結節影をみ, 原発巣検索中, 胸部CTで前縦隔の腫瘤陰影を認めた.経皮的針生検, TBLBでも確診に至らず, 開胸生検を施行, 胸腺腫の診断を得た. 骨スキャンで頸椎, 胸骨, 右腸骨, 腰椎に異常集積を認め, 多発性骨転移と考えられた.化学療法, 放射線療法をを繰り返し施行した.
  • 1991 年 31 巻 7 号 p. 1089-1107
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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