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家城 隆次, 工藤 翔二, 岡村 樹, 平山 雅清, 植竹 健司, 木村 仁, 加勢田 静, 池田 高明, 深山 正久, 小池 盛雄
1991 年 31 巻 1 号 p.
1-6
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
過去13年間の肺癌における組織型の比率の変遷について検討を行った. 対象は1976年~1988年の13年間に当院で病理組織学的に診断の確定した肺癌患者, 955名 (男711名, 女224名) で, 腺癌患者が45%, 扁平上皮癌患者が33%であった. 肺癌患者は増加しており, その組織型においては, 扁平上皮癌比率の減少と腺癌比率の増加がみられ, その傾向は特に1981年以降, 扁平上皮癌と腺癌の比率逆転という事態になった. この変遷は, 性別や年齢構成の変化によるものではなかった. 1983年までの日本TNM肺癌委貝会の患者登録からみても全国的に腺癌の比率が増加していることが推察される. 従来, 扁平上皮癌が腺癌より多いと言われていたが, 近年では, 腺癌の方が多くなっている可能性が示唆された.
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SIADH症例を中心として
中西 洋一, 日浦 研哉, 加藤 收, 黒木 茂高, 青木 洋介, 山田 穂積
1991 年 31 巻 1 号 p.
7-15
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
41例の小細胞肺癌患者中, 5例 (12.2%) がSIADHと診断された. 5例中4例で血漿ADH値の上昇がみられた. 残る1例でも培養細胞上清にADH活性が確認された. 血漿ADH値は臨床経過とよく相関し, 腫瘍マーカーとしての有用性が示唆された. のべ18例のSCLC患者血中のADH, ACTH, グルカゴン, カルシトニン, コーチゾール, 11OHCS, ソマトメヂンC値を測定した. 測定例中全例で11OHCSが上昇し, 腫瘍による異所性分泌が示唆された.
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野沢 悟, 中島 喜章, 畠山 忍, 永井 明彦, 来生 哲, 江部 達夫, 荒川 正昭
1991 年 31 巻 1 号 p.
17-24
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
1986年12月から1988年12月まで, 新潟肺癌化学療法検討会に参加した22施設で, 進行期非小細胞肺癌102例について, CDDP+VDSを基本にした4種類のregimenによる無作為比較試験を行った. 奏効率と50%生存期聞は, それぞれ, CDDP+VDS (CV) 群17.4%, 31週, CDDP+VDS+MMC群31.8%, 50週, CDDP+VDS+IFX (CVI) 群50.0%, 58週, CDDP+VDS+ADM群17.6%, 50週であった. CVI群は, CV群に比し, 奏効率と生存曲線の上で有意な差を認めた.
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高木 由紀
1991 年 31 巻 1 号 p.
25-39
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
ディーゼルエンジン排出ガスの発癌性を検索するために総計1316匹のF-344ラット (SPF) を用いて, 長期吸入実験を行った. その結果, 炭粉沈着量に相関した過形成性病変の発生を認め, その定量解析により各濃度群間に有意差を認めた. さらに, 粒子除去群では対照群との間に有意差が無かったことから, 炭粉粒子との関連性が強く示唆された. 腺腫, 癌を含む原発性肺腫瘍の発生率は低く, 大型エンジンの最高濃度群にのみ発癌性を認めた.
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古武 彌宏, 岡田 貴浩, 尹 亨彦, 末岐 博文, 奥村 明之進, 中川 勝裕, 安光 勉, 福岡 正博, 森野 英男, 菊井 正紀
1991 年 31 巻 1 号 p.
41-46
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
大阪府立羽曳野病院外科において, 18年間で治療した27例の肺多発癌を対象にして, 当院での診断基準, 治療成績について論じた. 診断法は, Warren and Gates, および, Martini and Melamedの基準に, 病理組織学上の早期性, 分化度, Subtype, 細胞形態, 脈管浸潤, Scarの程度, 同一葉内の腫瘍の個数等を加味し, 肺内転移と鑑別した. 同時性肺多発癌の5年生存率は, 33.3%で, 単発癌に比し遜色なく, 診断基準, 治療法の妥当性を示した.
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柴田 和男, 山川 洋右, 鳥居 敬, 水野 力, 正岡 昭
1991 年 31 巻 1 号 p.
47-52
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺多発癌においてはいまだ診断や治療に関する幾つかの間題が存在する. 我々は1989年10月までの期間に一側性7例, 両側性2例, 計9例の同時性肺多発癌を経験したので臨床的検討を加えて報告した. 多発癌の診断では諸家の基準を用いてもなお転移癌との鑑別困難な症例が存在した. 治療面では両側性多発癌に問題が多いが, 外科手術に化学療法や気管支鏡的治療を組合せることにより比較的良好な予後が期待できた.
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赤宗 明久, 河村 正, 稲月 伸一, 小糸 光, 藤井 昌史, 佐伯 英行, 小池 聡之, 片岡 正明, 濱本 研, 木村 誠
1991 年 31 巻 1 号 p.
53-60
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
反回神経麻痺を契機に発見された肺癌患者19例について, 反回神経麻痺の原因となった病変の胸部単純写真と胸部断層写真, CTによる検出能を比較検討した. 胸部単純写真では, 反回神経麻痺の原因となった肺癌病変をまったく読影困難なものが1例, 見落とし易いと思われたものが2例あった. CT像では全例で反回神経麻痺の原因となった病変が明瞭に描出されていた. 反回神経麻痺を訴える患者で, 耳鼻科領域に原因となる病変を指摘できない時, 胸部単純写真では異常を指摘し得なくても肺癌が原因となっている場合があり, CT検査は不可欠と考えられた.
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渡辺 篤, 下方 薫, 野村 史郎, 坂 英雄, 堀尾 芳嗣, 南 博信, 岩原 毅, 柴垣 友久, 酒井 秀造
1991 年 31 巻 1 号 p.
61-67
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺非小細胞癌11例に対し多分割放射線療法 (1.6Gy×2/日, 週5日総計60.8Gy) と化学療法 (Cisplatin, Vinblastine, Mitomycin C) を併用した. 放射線先行群6例中PR5例, 化学療法先行群5例中PR2例であった. 副作用は食道炎が9例, 肺臓炎は7例に出現, いずれも耐容範囲内であった. 血液毒性は放射線先行後の化学療法でやや強かった. 多分割放射線療法は安全に照射でき, 化学療法との併用も可能である
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川野 裕, 木村 秀樹, 山口 豊
1991 年 31 巻 1 号 p.
69-75
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺悪性腫瘍187例に対し腫瘍細胞核の形態変化を指標とした, in vitro制癌剤感受性試験を行った. 臨床症例48例の分析では, 生存率ないしpercent tumor freeに関する検討において比較的良好な結果を得ており, 肺非小細胞癌に対する有効な術後アジュバント化学療法のレジメンを持ち得ない現在, 個々の症例に対する至適制癌剤選択の方法としての本法の有用性を示唆するものであると考える.
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高橋 典明, 弘田 達哉, 本橋 雅昭, 大嶋 康, 木下 靖, 谷川 恵, 吉信 尚, 升谷 雅行, 林 裕人, 堀江 孝至
1991 年 31 巻 1 号 p.
77-83
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
原発性肺癌患者85例について, 血清CEA, SLX, CA19-9, TPA, SCC, NSE及びNCC-ST-439を同時測定し, その診断的有用性を検討した.
肺癌での陽性率はCEAとTPAが高い値を示した. 組織型別では, SLXとNCC-ST-439は腺癌に, SCCは扁平上皮癌に, NSEは小細胞癌にそれぞれ特異性が高かった. 臨床病期別での検討では, NSEとNCC-ST-439が病期の進行とともに上昇し, 臨床病期をよく反映していた.
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1. 制癌性白金錯体のヒト肺癌細胞に対するin vitroにおける殺細胞効果の比較
米井 敏郎
1991 年 31 巻 1 号 p.
85-93
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
制癌性白金錯体の抗腫瘍効果をヒト肺癌細胞を用いてコロニー形成法により比較検討した. 抗腫瘍効果はcisplatin>254-S>carboplatin=DWA2114R=NK121の順にすぐれていた. adriamycin耐1生ヒト肺小細胞癌細胞株は, 254-S以外の白金錯体に対しては原株の1.7~4.0倍の交叉耐性を示したが, 254-Sに対しては原株の0.5倍と耐性株の方が原株よりも感受性が高かった. 以上の実験結果より肺癌化学療法における254-Sの有用性が示唆された.
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曽我 哲司, 袋井 力, 柳父 睦政, 野村 昌作, 米津 精文, 安永 幸二郎
1991 年 31 巻 1 号 p.
95-103
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
Flowcytometryにて肺癌18例の血小板表面粘着蛋白 (PA-FbgPA-FN, PA-TSP, PBTSP) と血小板サイズを測定して組織型別, 病期別に検討した. 結果はPA-Fbg, PA-FNは健常者群に比べて増加していた. PA-TSPは病期が進行しても腺癌群では値に著変はみられなかったが, 扁平上皮癌群ではIIIB期まで増加傾向がみられた. PB-TSPは腺癌群と扁平上皮癌群との間に有意差 (p<0.01) がみられた. また病期の進行とともに大型血小板の増加がみられた.
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八田 健, 坪田 紀明, 柳川 昌弘, 大林 加代子, 高田 佳木, 指方 輝正
1991 年 31 巻 1 号 p.
105-108
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
症例は44歳女性, 検診の胸部X線写真で心陰影右第1弓に接する腫瘤陰影を指摘された. 7年前の胸部写真でも同様の陰影があり, 大きさは変わらなかった. CTscanで, 腫瘤は気管と上大静脈の間にあり, 中縦隔腫瘍の診断で手術が行われた. 腫瘍の大きさは50×50×35mm, 割面は黄白色で, 病理組織検査では線維性組織球腫と診断された. 本腫瘍の縦隔発生はきわめて稀で, 我々が過去10年間で調べ得た限りでは本邦で3例報告されているに過ぎなかった.
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廣島 健三, 瀧澤 弘隆, 小形 岳三郎, 飯島 達生, 大和田 英美, 山口 豊
1991 年 31 巻 1 号 p.
109-117
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
症例1は61才の女性で18年前に子宮筋腫で子宮摘出術を受け, 肺野に多発性の結節を認めた. 結節は平滑筋細胞よりなり内部に管腔形成を有し, benign metastasizing leiomyomaと診断した. 症例2は45才の女性で2年前より子宮平滑筋肉腫で治療中であった. 肺野の結節は, 異型性が強く, 小さい結節を除き内部に管腔を認めず, 転移性肺腫瘍と診断した. また, benign metastasizing leiomyomaの報告例について文献的に考察した.
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山本 智生, 堅田 均, 阿児 博文, 成田 亘啓, 東条 尚, 飯岡 壮吾
1991 年 31 巻 1 号 p.
119-124
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
症例は32歳女性. 昭和62年1月頃より咳漱, 喀疾が続き9月当科入院胸部X線写真で右下肺野にニボーを伴う空洞様陰影を呈した肺膿瘍様陰影を認めた. 抗生物質投与するも咳漱と1日最高500m1の粘調な透明喀疾が続き陰影の増悪を認めたため, 11月右下葉切除術施行. 病理組織学的検索にて細気管支肺胞上皮癌および周辺部のリポイド肺炎と診断. 限局性で肺膿瘍様の空洞を呈した細気管支肺胞上皮癌およびリポイド肺炎の合併症例の報告は稀で, 若干の文献的考察を加え報告した.
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中山 光男, 野守 裕明, 加勢田 静, 石原 恒夫, 坂元 亨宇, 鳥潟 親雄
1991 年 31 巻 1 号 p.
125-130
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
症例は59才の男性. 胸部異常陰影を主訴として入院し, 扁平上皮癌と診断して手術を行ったが, 胸膜播種のために試験開胸に終わった.化学療法も効果なく死亡したが, 死亡前の. 血清中β-hCG値が90.4ng/mlと高値を示した.剖検で肺に絨毛癌の成分を伴う扁平上皮癌を認め, 肝, 膵, 腎に絨毛癌の転移を認めた.他に原発と思われる病巣がないため肺原発と診断した. 肺原発の絨毛癌は稀で, 若干の文献的考察を加えて報告した.
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伴野 隆久, 萩原 勁, 藤井 雅彦, 滝沢 延彦
1991 年 31 巻 1 号 p.
131-136
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
まれな孤立性気管支扁平上皮乳頭腫の一例を経験したので報告する. 症例は, 54歳男性, 咳噺・喀疾を主訴とし当センター受診. 胸部X線像は無所見であった. 症状が軽快せず, 高度喫煙者のため早期気管支扁平上皮癌の存在を疑い気管支鏡検査を施行し, 右B
4B
5分岐部に淡紅色のポリープ状隆起を認めた. 病理組織診は孤立性扁平上皮乳頭腫で, 経気管支鏡的鉗子摘除によリポリープ状隆起は完全に摘除された. 6年問経過を観察し, 乳頭腫の再発および癌化はみられていない.
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1991 年 31 巻 1 号 p.
137-154
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー