肺癌
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32 巻, 1 号
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  • 正岡 昭
    1992 年 32 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 10年生存率についての検討
    磯辺 真, 西村 寛, 八塚 宏太, 葉 倫建, 足達 明, 林 明宏, 武田 仁良, 掛川 暉夫
    1992 年 32 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌の縦隔転移リンパ節対策を目的として, 術前にemulsion化した制癌剤を持続的に縦隔内に投与した.その組織学的局所効果については既に報告した如く転移リンパ節において下里らの判定基準でGrade IIaからIIIの効果を示したが, 今回これらの結果が遠隔成績を改善し得たか否かを1975年から1980年までの10年以上経過した原発性肺癌73例を対象として検討した.
    その結果, 縦隔内投与群の生存曲線は非投与群を上回り, 局所再発がやや少ない傾向にあったがいずれも有意差は無く, また病期・組織型や根治度などの諸因子別にみても有意差は得られず, 本法は転移リンパ節に対し抗腫瘍効果が得られたものの遠隔成績の向上にはつながらなかった.
  • Prospective randomized studyの成績
    桑原 修, 土井 修, 森 隆, 安光 勉, 桑原 正喜, 中原 数也, 倉田 昌彦, 相良 憲幸, 澤村 献児, 大島 明
    1992 年 32 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    非小細胞肺癌に対する術後化学療法の有効性を多施設共同無作為法で実施, 検討した. 1982年6月から1988年4月まで術後に無作為法で組織別 (腺癌: 206例, 扁平上皮癌: 205例), 病期別 (JJC 1978) に術後化学療法群 (T群) と対照群 (C群) とに割付け実施した.腺癌のT群にはI期はTegafur, II, III期はdoxorubicin (ADR) + mitomycin C (MMC) +Tegafur, 扁平上皮癌のT群にはI期はTegafur, II期はcisplatin (CDDP) + Tegafur, III期はCDDP+Tegafur+放射線治療を行った.C群には化学療法は行わず, ただし扁平上皮癌のIII期には放射線治療を行った.腺癌および扁平上皮癌についてみると, T群とC群との間には生存率, 健存率に統計学的有意差はなかった.
  • 保谷 功, 坂本 公也, 木村 功, 飯田 真理子, 田部 一秋, 倉光 薫, 木内 英則, 坂本 芳雄, 山本 恵一郎, 土肥 豊
    1992 年 32 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    進行性非小細胞性肺癌で無気肺を呈した7例に対してMVPによる全身化学療法と, 局所療法としてCDDP 50mgを用いたBAIを同時に施行した.その結果, 腫瘍縮小効果では評価可能な4例全例でPRが得られた.また, 7例中6例で無気肺の改善が平均16日で得られた.PSの低下した5例中4例で改善が認められた.以上から, 全身化学療法とBAIを同時に施行することは, 手技的に熟練を要する点を除けば無気肺型肺癌に対して有用な治療法と考えられた.
  • 川崎 雅之, 原 信之, 一瀬 幸人, 前田 和信, 麻生 博史, 矢野 篤次郎, 高森 信三, 佐藤 邦彦, 澁谷 浩二, 大田 満夫
    1992 年 32 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    国立病院九州がんセンターに入院した非小細胞肺癌非切除例807例の予後について検討を加えた.病期が進行するにつれ予後も悪くなっていたが, I, II期では低肺機能などがありながらMSTが23.5カ月, 18.5カ月と長かった.2年以上の長期生存例は全体で11%, III, IV期に限ると9%認められた.また, 年齢, 性で差は認められなかったが, 組織型別でみると大細胞癌・他に有意に長期生存例が少なかった.年代別にみると最近の5年間 (1982-86年) は予後が良い傾向があり, 化学療法, 放射線療法などの集学的治療の進歩が寄与している可能性も考えられた.
  • 自覚症状発見群との比較
    清水 信義, 安藤 陽夫, 寺本 滋, 守谷 欣明, 西井 研冶
    1992 年 32 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    過去10年間の肺癌手術例721例のうち, 集団検診で発見された肺癌は381例 (52.8%) であった.これら集団検診発見肺癌の手術成績を自覚症状で発見された肺癌例と比較し報告した.集検群では, 自覚症状群に比べ女性の比率が高く, 腺癌が67.5%, 扁平上皮癌が24.9%を占めていた.
    集検群ではT1-2症例が90%を占め, 73%はNO症例で1期症例が65.3%を占め, III期は22%であった. したがって集検群では絶対的治癒切除が多く, 5年経過例の44%が5年以上生存した. 集検群の全切除例の術後5年生存率は56.2%で, 自覚症状群の25.3%に比べ有意に良好であった.とくに, 肺野発生の腺癌で, 集検群の5年生存率は60.4%と良好であり, 集団検診の効果が高い.
  • 細胞診所見について
    岡田 守人, 坪田 紀明, 吉村 雅裕, 久保田 真毅, 室谷 陽裕, 指方 輝正, 藤原 武, 八田 健
    1992 年 32 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌手術429例のうち, 開胸時に胸水を認めた69例 (16.1%) と開胸時に胸腔内洗浄を施行した連続121例の細胞診結果について検討した.胸水細胞診陽性は69例中16例 (23.2%, 腺癌14例) であり, 洗浄液細胞診陽性は121例中5例 (4.1%, 全例腺癌) に認めた. 後者陽性例は前者陽性例と同様予後が悪く, 臨床上悪性胸水 (T4) と扱う事が望ましい. 胸水貯留を認めたが治癒切除が行い得たと思われた症例の胸水細胞診陽性率は約10%であった.また肉眼的に胸水を認めなくても手術例の約4%に洗浄液陽性例の混在することを念頭におく必要がある.
  • 赤荻 栄一, 小川 功, 船越 尚哉, 柴田 文雄, 相馬 雅行, 三井 清文, 鬼塚 正孝, 森田 理一郎, 山本 達生, 木下 朋雄
    1992 年 32 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    喀痰検診5年間の成績を踏まえて, より効率的な早期肺扁平上皮癌の発見をめざした異型扁平上皮細胞判定基準と事後指導の方法を検討することを目的とした.延べ37015名の受診者のうち, 肺癌学会分類を基にして作成した筆者らの細胞判定基準による判定C (中等度異型) からの癌の発見はなかったが, 判定D (高度異型扁平上皮および癌疑い) では, 高度異型扁平上皮の精検受診者77名から4名 (5.2%), 癌疑いでは36名から10名 (27.8%) の癌が発見された. 従って, 判定Cでは次年度の喀痰検診による追跡で十分であると思われ, 判定Dでは, 癌が疑われると判定された場合には直ちに精検が必要だが, それよりも異型が弱く高度異型と判定された場合には直ちに喀痰細胞診を再検し, 細胞異型が同様に比較的弱ければ, 以後喀痰細胞診と胸部X線写真で追跡すればよいものと思われた.
  • 小川 功, 赤荻 栄一, 三井 清文, 小形 岳三郎
    1992 年 32 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    喀痰集団検診にて発見され, 切除した30例のX線写真無所見肺扁平上皮癌32病巣を対象にして, 腫瘍の肉眼形態と気管支壁内の深達度を組織学的に検討した.腫瘍を肉眼的に腫瘤を形成する結節浸潤型と, 腫瘤を形成せず気管支表層を進展する表層浸潤型および両者の形状を併せ持つ混合型の3型に分類した. 7病巣にみられた結節浸潤型は癌の深達度が表層浸潤型より高度で, 腫瘍径3mmのものでも筋外層まで進展していた. 20病巣にみられた表層浸潤型は表層進展径が大きい程, 深部への深達度が高度であった. 特に中枢気管支発生の癌ではその関係は明瞭で, 長径20mm以下の癌ではすべて筋外層以内に癌組織は留まっていた. 5病巣の混合型は腫瘍径が大きく深達度も高かった.
    気管支早期扁平上皮癌の内視鏡検査時に肉眼形態より腫瘍深達度を予想することは, ある程度可能であり, 適切な治療法選択の一助になると考えられた.
  • 小牟田 清, 五十嵐 敢, 舛谷 仁丸, 前田 恵治, 元村 卓嗣, 小林 知加子
    1992 年 32 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    CDDPを中心とする化学療法を施行後腎機能障害を来した肺癌症例に対し, 腎機能障害の指標としてBUN. Cr. Ccrを測定しPGE1の治療効果を検討した. 化学療法には, CDDP, VDS, MMCまたはCDDP, VP-16が用いられた.PGE1は60μgを一日2回10日ないし14日間点滴投与した. その結果, 7症例中6症例に於て腎機能の改善が認められた. PGE1の治療効果を明らかにするため動物実験を行った. CDDPが投与されたICR系マウスは血清BUN, Crの高値が認められ, 組織学的に尿細管障害も明らかであった.しかし, PGE1投与はこれらの障害を防止または軽減した.以上より, CDDP投与後の腎障害に対しPGE1が治療効果を示すことが明らかとなった.今後, CDDPの投与量の改善を含めた投与方法の改良の可能性が示唆された.
  • 岩橋 徳明, 田村 伸介, 山口 桂, 中野 孝司, 波田 寿一, 東野 一彌
    1992 年 32 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    初回治療後約7年間の寛解の後再発した肺小細胞癌の一例を経験したので報告した.症例は73歳女性.昭和58年4月, 左S8の肺小細胞癌で入院, アクラシノマイシン, エンドキサン, ビンクリスチンによる化学療法と放射線療法にて寛解し, 以後約7年間にわたって再発なく経過していた.平成2年5月初旬より咳漱, 食思不振出現してきたため当院受診した.胸部X線写真で左中肺野に腫瘤陰影が認められ, 同部よりの経皮的吸引細胞診により肺小細胞癌の再発と診断した.エトポシド, アドリアマイシン, シスプラチンによる化学療法と放射線療法を施行し, 再び寛解した.現在も生存中で外来にて経過観察中である.
  • 伊藤 和彦, 後藤 真, 水沢 彰郎, 宮尾 浩美, 張 高明, 荒川 正昭
    1992 年 32 巻 1 号 p. 81-87
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は54才の女性.胸痛・対麻痺のため, 1989年7月14日, 当科入院.左S6原発肺腺癌, T4N2M1, stage IV, PS4と診断し, CDDP+VDS+IFXによる全身化学療法を行った.悪化の判定で, 胸水由来の腫瘍細胞とリンパ球を用いたin vitro sensitized (IVS) 細胞による養子免疫療法を行った.その後, 化学療法の直後に養子免疫療法を併用し, 約半年間quality of life (QOL) を保ちつつ, 病態の安定が続いた.養子免疫療法の併用は, 重篤な副作用もなく, 肺癌の集学的治療の一手法としての発展が期待される.
  • 平井 宏和, 足立 秀治, 酒井 英郎, 楠本 昌彦, 糸氏 英一郎, 河野 通雄
    1992 年 32 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    気管支粘膜下転移を来したDermatofibrosarcoma protuberans (DFSP) の一例を気管支鏡所見を中心に文献的考察を加えて報告する.症例は62才男性, 右第3指間のDFSPを切除後, 頻回に局所再発を繰り返し, 更に胸膜及び気管支壁に転移を来した.気管支鏡では, 表面平滑な白色の腫瘤を認め, 気管支内腔やspurなど, 正常の気管支構造を保ったまま進展していた.腫瘍の主な転移経路としてはまず, 末梢肺-胸膜に血行性転移を来し, その後潅流リンパ路を介して, 肺門リンパ節に転移し, さらに肺門リンパ節から気管支粘膜下に直接浸潤したものと考えられた。腫瘍は非常に緩徐に発育し, 気管支粘膜を保ちながら粘膜下に広範囲に進展したと考えられた.
  • 加藤 信秀, 佐々木 忠, 長谷川 洋一, 千保 純一郎, 山崎 史朗, 小松 壽, 亀田 典章, 蛭田 啓之, 野中 博子
    1992 年 32 巻 1 号 p. 95-107
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近我々の経験した肺原発悪性線維性組織球腫 (MFH) 4例について臨床病理学的検討を行った. 全例男性で高喫煙歴があった. 全例赤沈が亢進し, 血清鉄が低値を示した. 腫瘍マーカーでは, フェリチン, 免疫抑制酸性蛋白 (IAP) が高値を示した. 放射線治療を行った症例ではフェリチン, IAPが治療効果と関連して変動を示した. 2症例で白血球増多がみられ, サイトカインとの関連が示唆された. 術前の生検診断に際しては免疫組織化学染色が有用であり3例中2例でMFHと診断し得た. 予後は極めて不良で外科療法, 化学療法, 放射線療法にもかかわらず全例診断後1年以内に死亡した. 剖検では, 全例局所再発もしくは遠隔転移を認めた. 今後の集学的治療の確立が課題であろう.
  • 小幡 賢一, 内田 和仁, 檀原 高, 泉 浩, 益田 貞彦, 植草 利公
    1992 年 32 巻 1 号 p. 109-114
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は, 血痰が主訴の70歳男性.胸部X線写真で左肺門部に突出する腫瘤影と左下葉末梢に多発する結節影を認めた.気管支鏡検査で左下幹入口部をほぼ完全閉塞する腫瘤を認め, 同部からの擦過細胞診で原発性肺扁平上皮癌の診断をえた.しかし, 末梢肺野の結節影の診断は, 超音波ガイド下穿刺生検を反復したが確定できず, 左肺全摘術をおこなった.術後, 左下葉末梢の21個の結節影は扁平上皮癌であることが明らかになった.本症例で注目されたことは, 転移巣の数の多さ・大きさ, そして, これらの転移巣が3種の異なるサイズに分類されたことである.このことは同一肺葉内に反復して発生した, 肺動脈を介しての転移と考えられた.
  • 城戸 泰洋, 長谷川 英之, 坂本 洋, 綿貫 祐司, 西川 正憲, 岩渕 啓一
    1992 年 32 巻 1 号 p. 115-119
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は46歳女性.良性肺腫瘍として2年間経過観察後, 増大傾向があることから手術を施行した.腫瘤は左S8で胸膜直下に存在し, 容易に核出できた.病理所見はwhorl formationを示す類円形細胞の増生とpsammoma bodyを, 電子顕微鏡ではinterdigitation, desmosomeとintermediate filamentsを認め, 定型的なmeningotheliomatous meningiomaの像を呈していた.頭蓋内, 脊髄内に腫瘤を認めず, 肺原発の髄膜腫であった.
  • 1992 年 32 巻 1 号 p. 121-149
    発行日: 1992/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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