肺に原発した髄外性形質細胞腫の1例を経験した. 症例は58歳男性で検診で胸部X線異常影を指摘され精査目的に入院した. 胸部X線およびCT検査で, 右S8領域に境界明瞭な径1.5cm大の腫瘤陰影を認めた. 白血球が9900/mm
3と軽度増加を認めた以外異常なく, 経気管支鏡肺生検を施行した. しかし, 確診を得られず診断, 治療目的に試験開胸を行った. 術中迅速病理にて, 形質細胞腫の疑いがあり, 原発性肺癌に準じて右下葉切除及びリンパ節郭清術を追加した. 術後病理診断は形質細胞腫で, 成熟した形質細胞の結節性増殖が認められ, 免疫染色にてk鎖が単クローン性に染色されており, 肺原発の形質細胞腫と診断した. 形質細胞腫が髄外性に発生するものは, そのほとんどが上気道, 口腔に発生し, 肺に原発するものは稀である. 本例は肺を原発とした髄外性形質細胞腫であり, 極めて稀であるので報告する.
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