肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
36 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 児玉 明久, 丸田 力, 泉山 一隆, 坂口 俊也, 河野 通雄
    1996 年 36 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    神戸大学放射線科にて原発巣に対して40Gy以上の放射線治療を行った非小細胞肺癌非切除例167例の7つの予後因子 (性, 年齢, 病期, 病理組織照射線量, 化学療法, 一次効果) について検討を加えた.全症例の2年生存率とMSTは22%と13ヵ月であった.単変量解析では病期のI, II期がIV期に対して, また病理組織の腺癌が他の組織型に対し有意に予後が良かった. 2年以上の生存は40例 (24%) で, それ以下の生存群との間では前者に病期のI, II, IIIa期と病理組織の腺癌が有意に多く認められた. 観察期間20~25ヵ月の多変量解析では明らかな有意な因子は認めなかった.
  • 奥崎 健
    1996 年 36 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    L-myc遺伝子を含む染色体1p32領域に肺癌の転移に関連する遺伝子が存在することが予測される. そこで肺癌剖検症例17例の原発巣と転移巣について1p32領域のLoss of Heterozygosity (LOH) の検索を行った. 原発巣では4例 (24%), 転移巣では12例 (71%) においてLOHを認め, 転移巣で有意に高率 (p=0.015) であった. L-myc遺伝子のEcoRI切断部位における多型別にみると, Sアレルを有する症例でこの傾向を顕著に認めた. 染色体1p32領域に肺癌の転移抑制に関連する遺伝子が存在する可能性が示唆された.
  • 西阪 隆, 武島 幸男, 井内 康輝
    1996 年 36 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    マスタードガス障害者と対照例の気道上皮にみる過形成性・化生性病変, 異形成および上皮内癌について, 各病変の構成細胞のAgNORs数とPCNAのL.I. (Labelingindex) からみた増殖能を検討した. 杯細胞化生 (増生) を除く過形成性・化生性病変は, 正常上卑に比べて有意に大きい平均AgNORs数とPCNAのL.I. を示したが, この中では中間細胞増生の値が最も高かった. マスタードガス障害者と対照例を比較すると, 前者において基底細胞増生と中間細胞増生がより高い値を示した.異形成では, 過形成性. 化生性病変より高いAgNORs数PCNAのL.I. を示し, 異型度が増すに従い高い値を示した. 核分裂指数からみると, 中等度以上の異形成, 上皮内癌は, 軽度異形成及び過形成性・化生性病変より高い値を示した.
  • 柴 光年, 山口 豊, 光永 伸一郎, 飯笹 俊彦, 安川 朋久, 柿沢 公孝, 山本 直敬
    1996 年 36 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近24年間にわれわれの施設において経験した腺様嚢胞癌切除11例の診断, 外科治療成績につき検討した. 内視鏡所見は本腫瘍に特徴的で内視鏡下生検により全例で術前診断が得られた. また内視鏡所見は腫瘍の浸潤様式を推定するのに有効であった. 気管発生の腺様嚢胞癌4例では術前に内視鏡下レーザー照射による気道開大術が臨床症状の改善および手術術式の決定に有効であった. 気管および主気管支発生例では, 手術術式は気道形成術が施行されたが, 切除断端陽性例が多数を占めた.断端陽性例にたいしては60Gy程度の術後放射線照射により良好な局所コントロールが得られた. 手術予後はおおむね良好で, 気管分岐部切除後に縫合不全を来した1例を除く5年生存率は100%, 平均生存期間は89.8月であった.
  • 古田 雅也, 早川 和重, 斉藤 吉弘, 中山 優子, 片野 進, 桜井 英幸, 高橋 健夫, 今井 礼子, 三橋 紀夫, 新部 英男
    1996 年 36 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    当科で1981年から1990年6月までに, 肺門縦隔を含めた根治照射を行った臨床病期NO非小細胞肺癌17例について, 予防的な肺門縦隔照射の意義を検討した. 患者の年齢は59-80歳 (平均72歳), 男: 女=15: 2, T因子はT1が3例, T2が7例, T3は6例, T4が1例, 組織型は扁平上皮癌が11例, 腺癌が8例であった. N0診断は胸部単純写真・断層写真にて明らかな肺門縦隔リンパ節腫大の認められないことによった. 原発巣への照射に加えて, 肺門縦隔部に40Gy以上の予防照射を施行することにより, 扁平上皮癌症例の全例で肺門縦隔部では腫瘍は制御された. また腺癌症例では1例のみ肺門部再発がみられた. 画像上NOと診断された症例の中には病理病期N1-2症例がまぎれこむことを考えると, 40Gyの肺門縦隔照射は, 少なくとも扁平上皮癌に対してはsubclinicalなリンパ節転移の制御に寄与しているものと推察された.
  • 山田 博之, 河端 美則, 大友 幸二, 坂本 祥一, 中島 由槻, 北川 寛, 菅原 勇
    1996 年 36 巻 2 号 p. 131-137
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    marker for adenocarcinoma than CEA.脂質, fucosylceramideに対する抗体であるPC47Hが, 肺腺癌のマーカーとして有用であるかどうかを既存の腫瘍マーカーである抗CEA抗体と免疫組織化学的に比較検討した. また, 抗ヒトLactoferrin, 抗surfactantapoprotein, 抗ヒトClaracell 10k Daproteinの各抗体を腺癌細胞亜型のマーカーとして使用した. 対象として肺腺癌71例 (高分化35, 中分化22, 低分化14病変, 男性48, 女性23例, 平均年齢62.4歳) を用いた. PC47Hは癌細胞の表面ならびに細胞質にびまん性に顆粒状に陽性であり, 高分化, 中分化では100%, 低分化でも92.9%の陽性率を得た. 一方CEAでは高分化, 中分化において85%以上の陽性率を示すも低分化では50%にとどまった. これらの結果からPC47Hは肺腺癌の組織型マーカーとして優れていると考えられた.
  • 田中 真人, 大多和 正樹, 蝶名林 直彦, 斎木 茂樹
    1996 年 36 巻 2 号 p. 139-145
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    腫瘍壊死内部に肺アスペルギルス症を合併した肺癌の1例を報告した. 症例は62才の男性で, 主訴は血痰. 近医で胸部X線上, 肺化膿症を疑われ, 約1カ月間抗生剤投与を受けたが改善せず, 肺癌が疑われ当院に紹介された. 左肺腺癌の診断で上葉切除が施行された. 病理組織は低分化型腺癌であったが, 腫瘍中心部の壊死内部にアスペルギルス感染を認めた. 肺癌とアスペルギルス感染の同所合併例は, 内外の報告を併せても24例だが, その殆どは空洞形成型肺癌であり, 本症例のように空洞非形成型では4例目である.
  • 竹田 雄一郎, 清家 正博, 河内 重人, 渡辺 達郎, 工藤 翔二, 仁井谷 久暢
    1996 年 36 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    今回, 我々は片側性同時性肺三重多発癌の一手術例を経験した. 症例は69歳, 男性で, 咳漱と血痰を主訴として来院した. 胸部画像診断上, 右S2a, S2bとS6cに腫瘤影を認めた. 気管支鏡検査, 画像診断から肺三重多発癌と診断し手術療法を実施した. その病理学的診断では各々, 大細胞癌 (S2a), 腺癌 (S2b) および扁平上皮癌 (S6c) の診断であった. 肺の多発性腫瘤影に対しては各々について検討し, 多発癌の可能性も考えて診断し, 治療方針の決定をする必要があると考えられた.
  • 高月 清宣, 高田 佳木, 加堂 哲治, 大林 加代子, 坪田 紀明, 指方 輝正
    1996 年 36 巻 2 号 p. 155-159
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は53歳の女性で, 平成5年9月に他院にて子宮筋腫の診断のもとに単純子宮全摘術, 両側卵巣摘除術を受けた. その時の胸部単純写真にて右上肺野に斑状影が認められ, 胸部CTでは上葉に境界明瞭辺縁平滑な腫瘤を認めた. 気管支ファイバースコープにても確定診断には至らなかった. 4ヵ月後の胸部単純写真では腫瘤影は明らかに縮小したがその5ヵ月後には再増大を認め, 当院にて右上葉切除術を受けた. 切除標本では紡錘形の細胞が束状となり, 縦横に交錯して増殖しており核の形は不整形で, 大小不同がみられmitosisも多発していたことから, 平滑筋肉腫と考えられた. 他院での子宮摘除標本の再検索でも同様の所見であったことから, 子宮平滑筋肉腫の肺転移と診断した. また, 摘出組織のエストロゲンリセプターは陽性であり, 子宮平滑筋肉腫においてもホルモン調節機構が腫瘍の増殖の過程に影響する症例が存在し, ホルモン療法の可能性が示唆された.
  • 大道 和宏, 有田 健一, 今岡 尚子, 坂本 直子, 杉原 基弘
    1996 年 36 巻 2 号 p. 161-168
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺小細胞癌症例 (LD1例, ED2例) に対しPBSCT併用大量化学療法を施行した. 導入化学療法によりCRあるいはgood PRが得られた症例を対象とした. 導入化学療法はCDDP, VP-16を使用し, その骨髄回復期にG-CSFを併用して末梢血幹細胞を採取した. 大量化学療法はCBDCA, VP-16を通常の約5倍量投与した. 投与終了後3日目に凍結保存していた幹細胞を移植した. いずれの症例も造血回復は速やかであり安全に施行できた. 転移が広範であった1例は治療開始後9ヵ月で死亡したが, 2例は元気で社会復帰を果たしている. CRと思われる症例が早期に再発し生存期間が延びない現状では, 特にLD症例は, 奏効率を高めると同時に真のcureに導く努力が必要であり, その為にも本治療法は今後早急に検討されるべきである.
  • 池谷 朋彦, 杉山 茂樹, 星 永進, 荒井 信吾, 安西 吉行
    1996 年 36 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺に原発した髄外性形質細胞腫の1例を経験した. 症例は58歳男性で検診で胸部X線異常影を指摘され精査目的に入院した. 胸部X線およびCT検査で, 右S8領域に境界明瞭な径1.5cm大の腫瘤陰影を認めた. 白血球が9900/mm3と軽度増加を認めた以外異常なく, 経気管支鏡肺生検を施行した. しかし, 確診を得られず診断, 治療目的に試験開胸を行った. 術中迅速病理にて, 形質細胞腫の疑いがあり, 原発性肺癌に準じて右下葉切除及びリンパ節郭清術を追加した. 術後病理診断は形質細胞腫で, 成熟した形質細胞の結節性増殖が認められ, 免疫染色にてk鎖が単クローン性に染色されており, 肺原発の形質細胞腫と診断した. 形質細胞腫が髄外性に発生するものは, そのほとんどが上気道, 口腔に発生し, 肺に原発するものは稀である. 本例は肺を原発とした髄外性形質細胞腫であり, 極めて稀であるので報告する.
  • 矢満田 健, 羽生田 正行, 宮澤 正久, 吉田 和夫, 金子 和彦, 天野 純
    1996 年 36 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は51歳男性で1983年6月23日左肺癌にて左上葉切除術およびリンパ節郭清が施行された. 組織学的には高分化型腺癌でpT2NOMO, stageIの診断であった. その後肺再発にて, 初回手術の3年6ヵ月後に左下葉部分切除術を, その4年8ヵ月後に左のCompletion Pneumonectomyを, さらにその1年9ヵ月後に右肺上葉の部分切除術をと, 3回の肺再発にて初回手術を含め合計4回の肺切除を施行した. 本症例は組織学的所見を考慮し, すべて初回手術時の再発肺癌と診断したが, 再発に対する積極的な再手術により本例のように比較的良好な予後を呈する症例が存在するので, 呼吸機能の評価で可能であれば, 積極的な外科治療が必要と思われる.
  • 1996 年 36 巻 2 号 p. 183-209
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top