肺癌
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36 巻, 3 号
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  • 瀬戸 貴司, 千場 博, 深井 祐治, 蔵野 良一
    1996 年 36 巻 3 号 p. 213-219
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    目的;CEA高値を呈した肺小細胞癌症例の生物学的特性及び細胞形態を検討した.対象;抗癌化学療法が4クール以上施行された原発性肺小細胞癌50例を対象とした.結果;高CEA症例は治療効果が期待出来ないが, 生存期間が長い傾向が認められた.穿刺吸引細胞診のパパニコロウ染色標本上, 腫瘍細胞は細胞間結合性が強く, 大型で好酸性に染まる核小体の出現が高率であった.考察;CEA高値を呈した肺小細胞癌症例の中には生物学的特性及び細胞形態から, 純粋な肺小細胞癌からは区別されるべき細胞群が含まれている可能性が示唆された.
  • 大友 幸二, 河端 美則, 宇田川 忠, 樋口 一恵, 山田 博之, 橋本 尚子, 岩井 和郎
    1996 年 36 巻 3 号 p. 221-227
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ディーゼル排出ガス粒子8mgをFischer344雌ラットの気管支内に注入し, 形成された肺腫瘍の組織発生を知るために免疫組織化学的な検索を行った.対象は15個の腺癌と9個の腺腫で, 腺癌は分化度別, 胞巣別に亜分類した.抗サーファクタントアポ蛋白 (以下抗SA) 抗体が41%以上の細胞に陽性な腫瘍は腺癌15個中10個であった.抗クララ細胞抗体が41%以上の細胞に陽性な腺癌は1個のみで, この腺癌は同時に抗SA抗体にも92%の細胞が陽性であった.腺腫でも抗SA抗体陽性率は腺癌同様 (9病変中6病変が41%以上の細胞に陽性) の陽性率を示したが, 抗クララ細胞抗体の陽性率は腺癌よりもやや高値を示した.ディーゼル粒子による肺腺癌および腺腫は末梢にある上皮細胞特にII型肺胞上皮由来が推測された.
  • 向田 尊洋, 青江 基, 伊達 洋至, 森山 重治, 安藤 陽夫, 清水 信義
    1996 年 36 巻 3 号 p. 229-235
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1965年より1994年まで当科において手術を施行した女性肺癌患者415例 (26.8%) を対象とし臨床病理学的に男性肺癌被手術群と比較検討した.女性肺癌患者は増加傾向にあり, 男性と比べ, 若年層に多く, 腺癌, 末梢発生, 集検発見が多く, 腫瘍径は小であった.女性肺癌被手術群の5生率は58.0%であり, 男性のそれに比べ有意に良好であった.組織別根治度を検討するに腺癌根治群のみ男性に比し有意に5生率が良好であり, 腺癌非根治群, 扁平上皮癌では有意差はなかった.女性肺癌患者の予後が良好な原因は, 末梢発生で腺癌が多く集検発見が多いので, 早期発見が容易なためと思われた.喫煙習慣で重喫煙者に扁平上皮癌の比率が高く, 喫煙者数, 扁平上皮癌数は共に増加していたが, 全体に占める割合は低下しており, 喫煙が女性肺癌に及ぼす影響は男性と同様に扁平上皮癌の増加には関係しているが, 女性肺癌を増加させる直接の原因とは考えにくいと思われた.
  • 福島 一雄, 河端 美則, 内山 隆司, 中島 由槻
    1996 年 36 巻 3 号 p. 237-244
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    病理学的に限局性の広がりを示すusual interstitial pneumonia (Lo-UIP) 病変の頻度, および同病変と肺癌の関連の解析を目的に, 過去19年間の肺癌手術例を検討した.原発性肺癌例776症例 (778病巣, 男561例, 女215例) における切除肺組織、中, Lo-UIP病変は128症例で認められた (16.5%).その頻度は近年増加する傾向にあり, 最近4年間の平均では肺癌切除病巣数全体の25.1%であった.Lo-UIP病変を認めない肺癌例に比べ, Lo-UIP病変を認めた例は男性の比率が高く, 肺癌病巣部位は下葉に多く, 組織型では扁平上皮癌や小細胞癌の比率が高かった.Lo-UIP病変を認めた128症例中17例 (13.3%) においては, 癌病巣中心がLo-UIP病変内にあり, 17例全例男性であったが組織型は腺癌が過半数を占めた.このような症例では線維化と癌発生の間に密接な関連が推測された.
  • 伊豫田 明, 宮元 秀昭, 浜田 哲郎, 原田 龍一, 坂尾 幸則, 羽田 圓城
    1996 年 36 巻 3 号 p. 245-251
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    縦隔リンパ節郭清を伴う拡大胸膜肺全摘術を行ったびまん性悪性中皮腫6例における, 臨床像, 術前診断方法, 手術方法, 病理, 予後に関し検討した.男性4例, 女性2例で平均年令53.3才.全例部位は右側.臨床症状は呼吸困難3例, 胸痛, 咳, 無症状各々1例であった.術前診断方法として胸膜生検5例, 胸腔鏡を1例に施行し, 全例に確定診断を得た.胸腔鏡施行例は胸腔鏡挿入部に組織学的浸潤が認められた.病理組織は, 上皮型3例, 2相型3例で, 2相型の3例はいずれも縦隔リンパ節転移を認めた.拡大胸膜肺全摘術施行時には縦隔リンパ節郭清は必要と思われた.手術関連死亡はなく全例術後経過良好であった.予後は, 上皮型の3例はいずれも再発なく生存中であり最長4年である.局所再発, 遠隔転移を起こした2例は2相型であった.組織学的に上皮型は2相型と比較して予後良好な傾向にあった.
  • 杉山 彰, 片山 元之, 小久保 光治, 立山 健一郎
    1996 年 36 巻 3 号 p. 253-259
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胸水型肺癌10例に対してチューブドレナージを行い, MMC+OK-432の注入による胸膜癒着術を施行した.治療前後に造影CTを行い, 癒着術後の所見を検討した.全例に胸水のコントロールがえられ, 再貯留は1例に認めた.副作用は熱発, 胸痛が主なものであり, 十分な効果が得られた.Catheter挿入期間は8~23日 (平均13日) 死亡7例の生存期間は最長415日, 中央値273日であった.造影CTを前後に行い, 中枢性の無気肺の有無, 病期を確定し, 5例に放射線治療の併用によってより効果をあげた.癒着術後には胸膜肥厚が生じ, 次第に肺容量の減少をきたす.また癌性リンパ管症を3例, 胸壁浸潤を1例に認めた.治療方針については予後が限られており, 短期治療が大事である.
  • 山田 耕三, 礒部 威, 加藤 雄二, 尾下 文浩, 野村 郁男, 野田 和正, 石井 治彦, 田尻 道彦, 亀田 陽一, 金子 昌弘
    1996 年 36 巻 3 号 p. 261-270
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近約3年間に神奈川県立がんセンターで切除された原発性肺癌240例の中で, 通常の胸部単純X線写真ではその原発巣の指摘が困難でX線CT検査を契機に発見された肺野型肺癌30例について, CT画像および病理所見をretrospectiveに解析した.内訳は男性16例, 女性14例であり, 年齢は39~79 (中央値66) 歳であった.発見動機は自覚症状を有した例は5例のみであり, 他疾患経過中が8例, 残りは検診を目的としてCTが施行された.CT画像は淡い低濃度型と辺縁明瞭な充実型に大別され, 前者では病変と既存肺野との濃度差が少ないことが, 後者では肺門部の血管, 心臓および骨組織との重なりによりX線写真では病変の描出が困難であった.病理所見は25例 (83%) が1期であり, うち低濃度型例が21例 (70%) を占めた.以上よりCTで発見された肺癌, 特に低濃度型例は早期肺癌が多く, CT検査の検診への導入と低濃度型例の発見が治癒する肺癌の発見につながることが示唆された.
  • 國武 律子, 桑野 和善, 川崎 雅之, 萩本 直樹, 野元 吉二, 中西 洋一, 光冨 徹哉, 原 信之
    1996 年 36 巻 3 号 p. 271-276
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺腺癌, 扁平上皮癌におけるDNA傷害あるいはアポトーシスをTerminaldeoxynucleotidyltransferase (TDT) mediatedbiotin-dUTPnickendlabeling法 (TUNEL法) を用いて検出し, 免疫組織染色によって検出したp53蛋白の発現との関連性について検討した.対象は原発性肺癌切除例23例 (腺癌11例, 扁平上皮癌12例) で, 検索にはホルマリン固定, パラフィン包埋切片を用いた.TUNEL陽性細胞は23例中6例 (26%) に検出され, p53の発現は23例中12例 (52%) に認められた.TUNEL陽性群におけるp53陽1生例 (4/6例) とTUNEL陰性群におけるp53陽性例 (8/17例) の間に有意差を認めなかった.今回, p53の発現とTUNEL染色の結果に相関が認められなかったが, アポトーシスにはp53の他, 多くの因子や経路が関与するためと考えられた.
  • 小林 琢哉, 佐藤 功, 川瀬 良郎, 高島 均, 田邉 正忠, 中元 賢武, 前田 昌純
    1996 年 36 巻 3 号 p. 277-283
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺野末梢型肺癌と鑑別が困難で開胸肺生検あるいは胸腔鏡下生検が施行された7例の限局性炎症性病変 (器質化肺炎3例, 陳旧性肺結核4例) について, その胸部CT像を検討した.術前の胸部CT像では肺野末梢型肺癌に共通する所見を示したため, 従来の肺既存構造と病変の関係に基づく解析のみでは両者の鑑別が困難な場合があった.鑑別診断のためには炎症性病変を示唆する所見, すなわち病変周囲の随伴陰影, 気腫性変化, 胸膜肥厚, 気管支拡張, 気管支壁肥厚および病巣内側に向かって凸の辺縁などの所見の解析が重要と考えられた.
  • 西川 正憲, 松本 裕, 池田 大忠, 大久保 隆男, 中谷 行雄, 北村 均
    1996 年 36 巻 3 号 p. 285-289
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は49歳, 男性.呼吸困難, 胸痛, 気胸で発症.8ヵ月後, 呼吸困難と咳漱の増悪を主訴に当科を初診.胸部単純写真にて右胸壁腫瘤を認め, 経皮的腫瘍生検にて混合型びまん性悪性胸膜中皮腫と診断した.Cisplatinを主体とした多剤併用化学療法を5クール施行後, 温熱併用放射線療法を追加し, 著明な腫瘍縮小効果を認めた.自覚症状出現後2年5ヵ月, 治療開始後1年8ヵ月の現在, 生存中である.びまん性悪性胸膜中皮腫の予後は一般に不良であるが, 化学療法や温熱併用放射線療法などを組み合わた治療が有効である可能性が示唆された.
  • 山田 俊介, 小坂 昭夫
    1996 年 36 巻 3 号 p. 291-295
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は36歳男性. 胸骨近傍に認めた3cm大の有痛性腫瘤は胸部CT及び術前生検で悪性軟部腫瘍を疑わせた. MRIで胸骨骨髄腔内にT1強調像で低信号を, ガドリニウム造影で高信号を呈する腫瘤陰影を認めたが, 胸部CT, 骨シンチグラムでは胸骨浸潤所見なく, 診断及び治療目的で胸骨の一部を含めた広範腫瘍切除術を行った. 腫瘍は一部胸骨と第2, 3肋軟骨に浸潤しており, 病理診断は核分裂像を多く含む平滑筋肉腫であった. 切除した胸骨の骨髄腔は腫瘍細胞で充満し, 胸骨部断端陽性と診断された. 再手術は胸骨亜全摘出術を行った. 胸骨骨髄浸潤の範囲はMRI所見とほぼ一致するものであった. 術後化学療法を行ったが, 再手術から12ヵ月目に局所再発を認めた. 切除後, 抗癌剤の投与を行い, 現在外来にて経過観察中である.
  • 菊間 英樹, 小林 英夫, 永田 直一, 青木 輝浩, 相田 真介, 玉井 誠一
    1996 年 36 巻 3 号 p. 297-301
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性. 検診で胸部X線上異常影が指摘され, 当院入院となった. 画像上, 右S4に2.8×2.2cmの境界明瞭な結節影が認められ, 経気管支生検にて乳頭状腺癌の診断が得られたため, 右中葉切除術を施行した. 肉眼所見上, 腫瘍の大部分は白色の粘液で占められ, 嚢胞様構造を呈していた. 光顕像では, 豊富な細胞外粘液中に, 小塊状の癌細胞が, 少数散在性に浮遊する像が認められ, 粘液結節性腺癌と診断した. 電顕的には腫瘍細胞のほとんどが多数の腫大したミトコンドリアで特徴づけられるoncocyte様の細胞であり, 気管支腺への分化が示唆された. 粘液結節性腺癌は, 細胞成分が少ないため術前診断が困難とされているが, 本例では腫瘍の中枢側に乳頭状腺癌の部分が認められ, 生検で同部が採取されたものと考えられた.
  • 小鹿 猛郎, 向山 憲男, 服部 典子, 鈴木 雅之, 都築 豊徳, 纐纈 博
    1996 年 36 巻 3 号 p. 303-306
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は46歳女性で, 前縦隔の巨大腫瘤 (最大径18cm) による呼吸困難で当院緊急入院し, 経皮的針生検にて小細胞癌と診断された. CBDCA 300mg/m2 (day1), VP16 100mg/m2 (day1, 2, 3) の化学療法を2クール行い, 腫瘍は著明に縮小した. また右乳癌 (浸潤性乳管癌, 2cm大) もあるため, 胸腺全摘, 右非定型的乳房切断術の一期的手術を施行した.小細胞癌は胸腺以外の組織から離れており他に原発巣を認めず胸腺原発と診断された. 右 乳癌は腋窩リンパ節転移をIa領域に認めたが, 縦隔にはリンパ節転移を認めなかった. 胸腺小細胞癌と乳癌との同時重複癌の報告は極めて稀であり, 今回調べた限りでは認めなかった.
  • 西辻 雅, 坂東 琢磨, 安井 正英, 藤村 政樹, 渡辺 洋宇, 松田 保
    1996 年 36 巻 3 号 p. 307-312
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    49歳の女性. 主訴は胸部異常陰影と乾性咳漱.胸部X線像にて, 右中葉に浸潤影を認め徐々に進展した. 当科で細気管支肺胞上皮癌と診断し, 原発巣切除術を行ったが, 5ヵ月後対側肺に空洞を伴う結節影が多発性に出現し, 喀痰細胞診より肺内転移および再発と考えた. 空洞陰影は増大し, 呼吸不全で死亡した. 多発性空洞病変を形成する肺癌の肺内転移は稀だが, 本症例ではその機序として細気管支への腫瘍細胞浸潤による, チェックバルブ機構が考えられた.
  • 土井 健司, 難波 隆一郎, 松井 律夫, 清水 雅史, 末吉 公三, 楢林 勇
    1996 年 36 巻 3 号 p. 313-317
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は58歳女性で, 検診での胸部単純X線像にて, 右中肺野に直径約1cmの孤立性円型腫瘤影を認めた.胸部CT像, 胸部MRI像, 気管支鏡所見にて悪性所見はなかった.気管支動脈造影にて, 数条の腫瘍血管の増生と腫瘍濃染の持続を呈した.肺201T1-SPECTでは早期像での高度集積を認め, 後期像で消失した.以上の成績から肺硬化性血管腫を疑い, 腫瘍核出術を行い, 病理組織学的に確定診断を得た.
  • 自験7例と本邦126例
    中川 勝裕, 安光 勉, 古武 彌宏, 福原 謙二郎, 上島 成幸, 小川 達司
    1996 年 36 巻 3 号 p. 319-324
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    7例の肺癌小腸転移手術例を経験した. 全例男性, 開腹時平均年齢は61歳, 5例は肺切除術後, 2例は肺切除術適応検討中の緊急開腹例であった. 組織型は5例が大細胞癌, 2例は腺癌. 開腹時症状は貧血のみ1例, 下血4例, イレウス1例, 穿孔性腹膜炎1例であった. 術前腹部超音波検査, イレウスチューブ造影が転移部位検索に有用であった. 開腹術後, 2例が非担癌状態で3年以上生存しているが, 他の5例は5ヵ月以内に死亡した. 肺癌小腸転移手術例の本邦報告例は126例有り, その予後は非常に不良で開腹術後1年未満に88%が死亡していた. 比較的予後良好な症例の特徴は, 肺原発巣が手術されていること, 開腹時腹腔内リンパ節転移を認めないことと考えられた. 自験長期生存2例も肺切除術後で, 腹腔内リンパ節転移を認めなかった.
  • 河南 里江子, 河村 哲治, 木本 てるみ, 中原 保治, 望月 吉郎
    1996 年 36 巻 3 号 p. 325-330
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は57歳, 男性。肺腺癌 (cTIN2M1: Stage IV). CBDCA+MMC+VDSによる17回目の化学療法時, azasetron静注約5分後に激しい左前胸部痛を訴え, 緊急入院となった. 心電図上II, III, aVFのST上昇が認められたが, 冠拡張剤投与にて速やかに改善した. azasetron投与時のみ胸痛が誘発され, azasetronにより誘発された下壁の冠動脈攣縮による狭心症と考えた. Treadmill運動負荷試験では, 虚血性変化を認めなかった. 多発性肺転移による呼吸不全で4ヵ月後に死亡, 剖検にて器質的な冠動脈狭窄は認めなかった. 5-HT3受容体拮抗型制吐剤の循環器系への副作用の報告は稀であるが, 冠動脈への影響も念頭に置く必要があると考えられた.
  • 1996 年 36 巻 3 号 p. 331-335
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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