肺癌
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37 巻, 1 号
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  • 藤村 重文, 古瀬 清行
    1997 年 37 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 柿澤 公孝, 山口 豊, 柴 光年, 白澤 浩, 清水 文七
    1997 年 37 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発1生肺非小細胞癌47例につきPCR-SSCP分析をもちいp53遺伝子突然変異の検出を試みた.12例 (25.5%) に遺伝子変異を認め, うち3例は喫煙との関係が示唆されているG-T Transversionであった.
    p53遺伝子の変異の有無とT, N, M各因子とのあいだに有意な相関は認められず, p53遺伝子変異群に有意に扁平上皮癌が多く認められた.また47症例中, 正常組織原発巣, 転移リンパ節組織がともに得られた8例に対しそれぞれ変異の検出を行った.2例において原発巣および転移リンパ節に変異が検出されたが, 正常クローンと変異クローンの比率を比較するために原発巣, 転移巣それぞれにつきp53の正常バンドと変異バンドのシグナルの比率を測定した.結果は2例ともに原発巣, 転移巣のあいだに差を認めなかった.p53の変異の有無は進行度, 転移と明確な関係はないものと思われた.
  • 木村 文平, 城所 達士, 橋爪 満, 時光 昭二, 高岡 和彦, 山岸 光夫, 村田 嘉彦, 佐藤 信英, 高野 智子, 井上 修一
    1997 年 37 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1991年から93年に東京の7ヵ所の地域病院に入院した原発性肺癌403例を検討した.平均年齢は70歳, 臨床病期は1期28%, II期3%に対しIIIA期16%, IIIB期22%, IV期28%, 不明3%と進行癌が多かった.治療では対症療法のみ施行例が43%と多かったが切除例は34%を占めた.発見動機は不明2%を除き自覚症状発見56%, 検診発見15%, 他疾患診療中発見27%の3群に分類され, 各群につきI期+II期の割合は13%, 57%, 56%で症状発見群のみ有意に低かった.各群の切除率は20%, 68%, 43%で各群間に有意差を認め, 症状発見群が最も低かった.慢性疾患にて地域病院を定期的に受診する患者は症状発見群の患者の40%を占めた.地域病院にて呼吸器担当医を中心とした診断システムを形成し, 種々の疾患にて受診する患者に発生する肺癌を症状発現以前に発見することにより治療成績向上を期待できる.
  • 石綿高度曝露地域からの報告
    片山 正一, 中野 喜久雄, 平本 雄彦, 早川 正宣, 中村 憲二, 岸槌 健太郎, 井内 康輝
    1997 年 37 巻 1 号 p. 23-32
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    国立呉病院において経験した悪性中皮腫症例は21例 (担癌生存1例, 15剖検例含む) であり, その7割以上は石綿関連職歴を有していた.当院における中皮腫剖検例の全剖検例に占める比率は全国例に比較して多く, 殊に昭和60年~ 平成元年度の5年間では1.12%を示し, 全国例の5倍以上の頻度を示した.中皮腫剖検例において検出しえた石綿繊維はクロシドライトが最も多く, 次いでアモサイトであり, この両者で全体の8割を占めた.石綿繊維数は昭和63年度までに剖検した6例では平均2200万本/グラム肺であり, 平成元年度以降に剖検した7例の平均200万本/グラム肺の10倍以上にのぼり, 中皮腫発生までの潜伏期間を考慮すれば, 戦前, 戦後の高度石綿曝露が推定された.昭和年代の中皮腫は曝露された石綿量が大量であり, 原発部位, 組織型も多彩であるのに対し, 平成年代のそれは曝露石綿量が1/10程と少なく, 原発部位は胸膜, 組織型は上皮型が多いことが判明した.
  • 組織学的腫瘍効果判定との比較検討
    瀬戸 眞由美, 栗山 啓子, 木戸 尚治, 黒田 知純, 児玉 憲, 土井 修, 眞崎 規江, 宝来 威, 安藤 正幸
    1997 年 37 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    放射線または化学療法後に外科切除された原発性肺癌において, 従来の腫瘍径による腫瘍効果判定に加え, 形態や内部構造の変化をCT, MRIにて検討し, 病理組織標本と対比検討した.対象21例中, 従来の判定基準での有効 (PR) 12例中5例に組織学的著効 (Ef.c), 不変 (NC) 9例中5例に組織学的中等度有効 (Ef.2) 例が認められ, 従来の判定基準では過少評価する傾向が認められた.PRと判断された症例のうち, Ef.cであった5例は形態上は全て不整形に縮小し, 5例中4例に造影剤増強効果の消失がみられた.1) 縮小率50%以上であること, 2) 類円形から不整形への形の変化を伴う縮小であること, 3) 造影剤増強効果が消失することはEf.cの可能性があると考えられる.
  • 気管支内視鏡を用いて
    瀬戸 貴司, 千場 博, 深井 祐治, 稲吉 厚, 蔵野 良一
    1997 年 37 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    [目的] 原発性肺癌の胸水症例で, 胸腔穿刺胸水検査にて細胞診陰性であった症例を局所麻酔下に気管支内視鏡を用いた胸腔鏡検査を行い検討した.[対象] 原発性肺癌の診断が確定した症例で, 画像診断上, 腫瘍の胸壁浸潤が認められず, 胸水が滲出性で, ADAが低値 (40IU/l以下), リンパ球が優位, 細胞診が陰性であった19例 (17例が肺癌の担癌症例で2例が肺癌切除術後症例) を対象とした.[結果] 担癌例の11例, 術後例の1例に病理組織学的に肺癌浸潤の診断が得られた.非特異的炎症が6例に認められ, ドレナージ以外の特別な治療なしに胸水の再貯留は認められなかった.[考察] 胸水中の悪性細胞が陰性であった症例には, 高率に非悪性胸水症例が含まれていた.気管支内視鏡を用いた胸腔鏡検査は極めて簡単な操作で, 主たる合併症なしに施行することが可能で, 臨床病期診断, 治療方針決定に重要な情報を得ることが可能になると考えられた.
  • 肺癌との鑑別を中心に
    塩谷 清司, 山田 耕三, 尾下 文浩, 野村 郁男, 野田 和正, 田尻 道彦, 石橋 信, 亀田 陽一, 金子 昌弘, 杉村 和朗
    1997 年 37 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺野小型病変の質的診断基準を確立する目的で, 最近約3年間に切除され病理学的に非癌性病変の確定診断が得られた20mm以下の肺野小型病変23例について, 術前のthin-sectionCT画像とその病理所見を対比検討した.CT画像は, 術前2週間以内に通常の造影CT画像を撮影した後に, helical scan CTで深吸気保持下に病変部を中心に撮影し, 2mm幅, 2mm間隔のthin-section CT画像を再構成した。描出条件は統一し, 画像所見と病理所見を対比するために切除肺はCT方向に割を入れた.画像的には充実型と含気型に大別可能であり, 前者は良性腫瘍, 肉芽腫, 一部のfocal fibrosisであり, 後者は全てfocal fibrosisであった.充実型病変, 含気型病変共に辺縁所見のみでは肺癌との鑑別がつきにくいものも, 肺血管の関与の仕方を解析することにより, ある程度肺癌との鑑別が可能であると考えられた.
  • 庄村 遊, 島本 亮, 日置 巌雄, 安達 勝利, 徳井 俊也, 高尾 仁二, 谷 一浩, 並河 尚二, 矢田 公
    1997 年 37 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    教室では過去17年間に縦隔腫瘍症例を153例経験しており, うち肺腫瘍との合併症例は5例で, これらについて検討を加えた.
    男性2例, 女性3例, 年齢は35歳から76歳で, 診断は胸腺腫と肺癌症例2例, 縦隔嚢胞性腫瘍と肺癌症例2例, 胸腺腫と肺過誤腫症例1例であった.全例手術症例で, うち合併切除は3例であり, 70歳以上の高齢者2例は手術侵襲を少なくする目的で縦隔腫瘍は良性と判断し切除せず肺腫瘍のみ切除し, 術後, 縦隔腫瘍に変化はみられなかった.開胸方法は縦隔腫瘍と肺腫瘍のどちらの切除を重視するかで違いがあり, 胸骨正中切開法, 前側方切開第4肋間開胸法, 後側方切開第5肋骨床開胸法を施行した.
    この5例の検討により, 縦隔腫瘍に肺腫瘍を合併した症例では症例の背景因子, 術前診断, 腫瘍部位を考慮して手術術式を決定すべきであると考えられた.
  • 春日 郁馬, 市瀬 裕一, 米丸 亮, 加藤 治文, 外山 圭助
    1997 年 37 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原因不明の白血球増多を伴った肺癌症例を調査し, それらの患者の血清G-CSF値を測定し, 併せて腫瘍細胞からのG-CSF産生の有無について検討を行った.5年間に入院した肺癌症例147例のうち, 白血球増多をきたした症例が77例存在し, そのうち33例は明らかな感染症や骨髄転移のないものであった.また147例中11例 (7.5%) は白血球数が20,000/mm3以上の高値で, そのうちの6例 (4.1%) は30,000/mm3以上の値を呈した.白血球増多33例の血清G-CSF値を測定したところ6例が高値を示した.組織型別には大細胞癌2例, 腺癌2例, 扁平上皮癌2例で, このうち腺癌と扁平上皮癌の症例はいずれも低分化型であった.なお小細胞癌で高値を示したものはなかった.また33例の腫瘍組織を抗GCSF抗体で染色したところ, 血清G-CSF値が高値であった大細胞癌, 低分化扁平上皮癌, 低分化腺癌の3例で腫瘍細胞が陽性反応を示し, G-CSF産生肺癌と診断した.
  • 森 公介, 山本 和彦, 川井 治之, 羽場 礼次
    1997 年 37 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    患者は52歳男性.増強する呼吸困難, 血疾にて入院し, 胸部X線像にて, 左下葉に径8cm大の腫瘤を認めた.胸部CT像では腫瘤の内部に広範なびまん性の点状石灰化像が認められ, MRIでは腫瘤はT1強調像で高信号, T2強調像で低信号を呈していた.頸部, 縦隔および肺門のリンパ節転移巣と推定される結節内にCTで比較的均一な石灰化像を認めたが, thin-slice CTではこれらの石灰化像は微細で, リンパ節の辺縁にそって沈着していることが判明した.頸部リンパ節生検より砂粒体を伴う腺癌が証明された.気管支鏡では左下幹に浸潤および多発性小白色結節を認め, この白色結節も病理学的に砂粒小体の集族であった.肺腺癌が砂粒体を伴い, CT上腫瘍内のみならず転移リンパ節内にも広範にびまん性の小石灰化像を呈することは極めて稀である.
    腫瘍内嗽リンパ節内の石灰化像は砂粒体を念頭におきthin-slice CTでの詳細な分析が必要である.
  • 草島 義徳, 瀬川 正孝, 中村 裕行, 杉原 政美, 斉藤 勝彦, 島崎 栄一
    1997 年 37 巻 1 号 p. 75-82
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胸郭内原発 (肺1例, 縦隔2例, 胸壁1例) のMalignant fibrous histiocytoma (MFH) の4例を報告した.男性3例, 女性1例, 平均年齢65歳で全例に炎症所見を認めた.腫瘍マーカーとして血清フェリチン値を測定した2例では, 腫瘍の増大とともに血清フェリチン値の上昇が観察された.4例の腫瘍組織内フェリチン分布を免疫組織化学的に検討した結果, 腫瘍細胞の胞体および腫瘍内外に浸潤する組織球に陽性に染色された.フェリチンは腫瘍細胞から, あるいは随伴する炎症反応により産生されると考えられ, MFHの腫瘍マーカーとなり得る可能性が示唆された.4例とも増殖速度が極めて速く, 術前診断が困難であった.2例に切除術を施行したが, 全例の最長生存期間は7ヵ月で極めて予後不良であった.より早期の, 開胸生検による確実な組織診断と手術, 放射線, 化学療法を組み合わせた積極的な集学的治療が必要である.
  • 内田 安司, 井上 昭一, 横井 豊治
    1997 年 37 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胸腺腫の極めて稀な遠隔転移を経験した.症例はアジソン病でヒドロコルチゾンを投与中の66歳の女性で, 胸部X線で右肺門部に腫瘤影を認めた.画像上, 縦隔腫瘍の胸腺腫あるいは奇形腫と診断して手術を施行した.腫瘍は肺, 心嚢に浸潤しており胸腺全摘術を施行した.病理組織診断は混合型胸腺腫であった.胸腺腫摘出2年6ヵ月後に嘔気, 嘔吐, 全身倦怠感が出現した.当初はアジソン病の悪化と診断して治療したが, その後に頭痛意識障害が出現したため頭部CT検査を施行し, 左小脳半球にheterogeneously enhancedmassを認めて摘出術を施行した.摘出した脳腫瘍と既往の胸腺腫はいずれも免疫組織化学的に, keratin, Leu-7が陽性だったため, 浸潤型胸腺腫の脳転移と診断した.転移性脳腫瘍摘出後3年を経過したが, 再発の兆候はなく外科的切除は有効であった.
  • 桜井 雅紀, 西尾 誠人, 唐渡 敦也, 林 泉, 渡辺 孝宏, 古江 増隆
    1997 年 37 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は36才の男性で1995年9月に当院を受診, 精査にて肺腺癌 (T4N2M0, stage IIIB) と診断されcisplatin 5mg/bodyの連日投与を併用した胸部放射線照射が施行された.治療中筋力の低下, 顔面および指節間関節背側の特徴的皮疹から皮膚筋炎と診断された.皮膚筋炎はprednisoloneで一時軽快したが, 肺癌は胸腰椎に骨シンチ陰性の転移, さらには肺肝に多発性転移をきたし, 症例は入院から約7ヵ月後に死亡した.36才でありながら皮膚筋炎と肺癌を合併したまれな症例である.
  • 金藤 睦実, 山田 耕三, 野田 和正, 田尻 道彦, 亀田 陽一
    1997 年 37 巻 1 号 p. 93-98
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は喫煙歴のある, 74歳の男性である.左胸痛を主訴に近医より紹介され, 胸部X線写真で左上葉に空洞を伴う異常陰影を認めた.画像所見では当初肺結核を疑ったが, 術前の病巣擦過細胞診において肺癌と診断されたため, 左上葉切除術を施行した.切除肺の病理所見では空洞内腔面に低分化扁平上皮癌と乾酪壊死を伴う肉芽腫性病変が混在しており, 同時に壊死部に抗酸菌も認め, 後にMycobacterium aviumであることが判明した.術後9ヵ月経過した現在, 肺癌および肺非定型抗酸菌症ともに再発は認めていない.肺癌と肺非定型抗酸菌症が同一病巣内に共存した例は我々が検索し得た範囲内では認められない.高齢者の増加に伴い非定型抗酸菌症の全抗酸菌症中に占める割合が増加しており, 本症例は肺癌と非定型抗酸菌症の合併例の診断に寄与すると考え報告する.
  • 吉田 成利, 木村 秀樹, 岩井 直路, 鈴木 実, 山口 豊, 松嵜 理
    1997 年 37 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    極めて稀な肺良性腫瘍である肺のbenign clear cell tumorの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.本腫瘍はLiebowらが1963年に初めて報告した腫瘍で本邦ではこれまでに20例が報告されているにすぎない.患者は63歳, 女性.腫瘍は右S9bに存在し, 確定診断が得られず胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.組織学的に胞体内にグリコーゲンを含む淡明な細胞が充実性に存在していた.免疫組織学的にはHMB-45が陽性で, S-100蛋白, EMA, factor-VIII, サイトケラチン, クロモグラニン, アクチン, NSE, ビメンチンなどは陰性であった.本腫瘍の発生起源は不明で, 本症例についても起源の推察はできないが, 免疫組織化学的検討が進めば可能になると考える.
  • 松山 まどか, 佐々木 春夫, 佐野 暢哉, 清蔭 恵美, 宇山 正, 門田 康正
    1997 年 37 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    患者は57歳, 男性.43歳時, 結核検診で胸部異常陰影が出現し, 翌年精密検査を受け, 肺結核として治療・経過観察を受けていた.しかし陰影は次第に増大し, 陰影出現から14年目に腺癌と診断され, 手術が行われた.腫瘍は粘液産生性で, 組織像では気管支腺の構造を模倣する腺管型腺癌の部分と乳頭型腺癌の部分が混在していた.
  • 小橋 吉博, 河端 聡, 宮下 修行, 中島 正光, 二木 芳人, 松島 敏春
    1997 年 37 巻 1 号 p. 111-116
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌が消化管に広汎に転移をきたすことはまれである.私たちは消化管に多発性に転移をきたした肺腺癌2例を経験したので報告する.第1例目は半年前に縦隔リンパ節転移を伴う肺癌の切除歴のある59歳の男性で著明な貧血のため入院した.内視鏡検査で胃体部に隆起性病変を7個認め, 生検組織で切除した肺腺癌と同じ組織像が得られた.入院2ヵ月後に死亡し, 剖検では十二指腸, 空腸, 回腸, 大腸に広汎な転移を認めた.第2例目は半年前に肺腺癌と診断され化学療法の治療歴のある65歳の男性で, 脳転移による左下肢麻痺で入院した.入院1ヵ月後から下血が出現し, 消化管を精査=したところ, 十二指腸から空腸にかけて4ヵ所に隆起性病変を認めた.3ヵ月後に死亡し剖検で肺腺癌の消化管転移と診断された.
  • 1997 年 37 巻 1 号 p. 117-131
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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