外科的切除を行った最大径3cm以下の末梢肺に発生した腺癌107例を対象として, Noguchiらの分類に従って組織学的構築に基づいた分類を行い, 年齢, 性別, 病期, リンパ節転移の有無などの臨床病理学的諸因子ならびにp53蛋白の発現, Ki-67のlabeling index (L. I.) からみた増殖能との関連を探ることを試みた.Noguchiらの分類によるA, B, C, D, E, F型の症例数はそれぞれ4, 19, 46, 19, 8, 11例であった.組織型と年齢に相関はなかったが, 性別ではD型では圧倒的に男性が多いという特徴があった.リンパ節転移は, A, B型には認めず, C型には28%, D, E, F型ではそれぞれ53%, 50%, 45%に認めた.p53蛋白発現の陽性例はA, B, C, D, E, F型でそれぞれ0, 26, 43, 58, 63, 45%であった.Ki-67のL. I.の各組織型別の平均値はA, B, C, D, E, F型でそれぞれ3.4, 5.0, 12.4, 29.4, 22.8, 17.7%であった.
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