末梢型肺腺癌の脈管侵襲と予後との関連を検討した. 1989年1月から1999年12月までに切除した末梢型肺腺癌344例全例を対象とした. 平均観察期間は42カ月, 5生率は68.2%であった. 脈管侵襲別の5生率は, ly0v0群96%, ly0v1群75%, ly1v0群75%, ly1v1群65%, ly2, 3 and/or v2, 3 (以下lyv2-3) 群37%で, ly0v0群の予後は明らかに良好であった.ly0v0症例の97%はI期症例で, ly0v0症例はIA期症例の51%, IB期症例の23%を占めたが, IIA期以上の症例にはわずかであった. IA期症例の脈管侵襲別の5生率は, ly0v0症例98%, ly0v1症例100%, ly1v0症例96%, ly1v1症例84%, lyv2-3症例68%と, IA期症例においても脈管侵襲が軽度な症例の予後は良好であった. ly0v0症例の腫瘍径別の5生率は, 腫瘍径が20mm以下で96%, 21から30mmで96%, 31mm以上でも93%と, 腫瘍の大きさにより予後に差を認めなかった. ly0v0症例における縮小手術の5生率は100%で, 標準術式の5生率96%と比べても遜色は無かった.
脈管侵襲の有無は簡便かつ客観的で, 重要な予後因子であると考えられた.
抄録全体を表示