日本ハンセン病学会雑誌
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67 巻, 2 号
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  • RAM PYARE SINGH
    1998 年 67 巻 2 号 p. 263-268
    発行日: 1998年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    Leprosy is a dynamic disease model in which distinct Mycobacterium leprae- responsive T cell subsets play an important role in host defense and control clinical and immunological spectrum. Th1 cells are associated with tuberculoid leprosy patients that have strong M. leprac -specific CMI-DTH responses. Th2 cells are expressed in lepromatous leprosy patients that are characterized by strong humoral immune responses and lack of T cell responses. Recently cytokines are thought to play immunoregulatory role in both the protection and immunopathogenesis of the host. Recombinant cytokines for immunotherapy have been used for controlling mycobacterial infections including leprosy. The diversity of T-cell subsets contributing to Th1 and Th2 cell derived cytokines, other major cytokines of the immune system, their sources, modes of action and possible therapeutic potentials are discussed.
  • 吉原 博幸
    1998 年 67 巻 2 号 p. 269-276
    発行日: 1998年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
  • 成田 稔, 小野田 育代, 時崎 掬子, 茅野 タヅ子, 高崎 敬子, 坪倉 功子, 須波 紀久美
    1998 年 67 巻 2 号 p. 277-285
    発行日: 1998年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    柄沢のボケの臨床的判定法を基本にして、老人たちと最もかかわりの深い看護婦や介護員らにとってわかりやすい5段階評価票を作成し、全生園と愛生園との65歳以上の老人を対象に痴呆の有病率を調査した。 その結果は、生理的なボケを含むと考えられる軽の軽を除くと、全生園の14.39%に対して愛生園は5.72%と極端な差を認めた。この理由を、両隣との交流に難のある全生園と、それが容易な愛生園との不自由者棟の造りの違いから考えてみた。また一般の老人に比較して、ハンセン病療養所では痴呆の有病率がかつては低かったにもかかわらず、最近では逆に高いか、あるいは高くなりつつあるのは、絶対隔離の時代に培われた孤独に耐える強い精神力が、40年、50年の長い年月を経て次第に弱まり、そこを支える子どもや孫が傍にいないことに関連づけてみたが、今後いっそうの検討が必要であろう。
  • 中村 昌弘, 松岡 正典
    1998 年 67 巻 2 号 p. 287-291
    発行日: 1998年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    シリコンスライド上にらい菌を塗抹し、NK-180培地に投入して、30°Cで培養すると、肉眼的にも、光学顕微鏡的にも、電子顕微鏡的にも、明らかな増菌像が認められた。この所見はPCRによるDNAの増加によっても支持された。
     この増菌像は抗らい剤によって阻止され、37°C培養では30°C下におけるほど、明瞭ではなかった。但し、明瞭な増菌像が認められるのに相関するATPの増加は全く無く、むしろATPは培養日数と共に直線的に消失した。このことは、らい菌が細胞内で増殖する過程で生体より獲得した持ち込みのエネルギーを増菌に使用し、消費し尽くした結果と考えられる。従って、増菌は極めて限られたものと考察した。
  • 日本におけるハンセン病の基本治療はどうあるべきか
    尾崎 元昭
    1998 年 67 巻 2 号 p. 297-303
    発行日: 1998年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    現在のハンセン病治療は,1)多剤併用,2)外来診療,3)治療期間短縮,4)らい反応のコントロール,5)合併症・後遺症の予防と治療,を基本としている。しかし,日本では必ずしもこれらの原則に従って化学療法が行われてきたとはいえない面がある。
     ハンセン病の治療はこの10年あまりの間に大きく変化してきたにもかかわらず,日本では1981年の治療指針1)以降,1989年の病型・病勢表示の改訂2)以外には診療指針の提示が行われなかった。医師は個々にそれぞれ工夫した治療法を用い,新らしい薬や治療法も個々に,なし崩し的に導入されてきたのが実情である。どこでも,どの患者にも同じ質の医療が提供されるシステムを作ろうとしなかった点では,個々の化学療法担当者も学会もともに責任を果たしてこなかったといわざるをえない。
     ここに日本のハンセン病治療の問題点や今後の課題について報告するが,化学療法だけでなく,これからのハンセン病対策にも学会が積極的に関わっていくことを提言したい。
  • 日本におけるハンセン病の基本治療はどうあるべきか
    後藤 正道, 宮城 茂樹, 瀧澤 英夫, 北島 信一
    1998 年 67 巻 2 号 p. 305-311
    発行日: 1998年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    わが国におけるハンセン病治療の現状を知るために、最近行われた3種類の全国調査すなわち1994年の厚生省化学療法研究班(瀧澤報告、71例)、1997年のその追跡結果(宮城報告、59例)、1996年のハンセン病患者数調査研究班(後藤報告、130例)の調査結果を比較・解析した。その結果、わが国では新患・再発症例のほとんどに二剤以上の薬剤の併用がおこなわれており、その中でもWHOの推奨するリファンピシン(RFP)とダプソン(DDS)、あるいはそれにクロファジミン(B663)を加えたいわゆるMDT方式の組み合わせが新患では約半数に、再発では約1/3に用いられていた。投与量や投与間隔についてもMDTに従うものが多いものの、少量投与も行われていた。また、40%の症例で治療経過中にキノロン剤(オフロキサシンOFLX)が使用されていた。瀧澤報告では境界反応が7例、ENLが6例あり、経過中約2割にこれらのらい反応が起こっていた。薬剤そのものの副作用は少ない。少数例をきちんと治療できる環境にあるわが国において、当初から神経炎や反応が起こっている症例の後遺症を減少させるための、B663単剤治療で開始する治療試案を提示する。
  • 日本におけるハンセン病の基本治療はどうあるべきか
    細川 篤
    1998 年 67 巻 2 号 p. 313-327
    発行日: 1998年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    ハンセン病の治療方法で最も大切と考えられる点の一つは末梢神経障害に基づく知覚障害を含め後遺症を可能な限り残さずに治療することであると考えられる。同疾患は抗酸菌である病原菌(Mycobacterium leprae)による慢性肉芽腫性感染症であり一般の感染症に比較して長期の化学療法を要することと,同病原菌の神経親和性のために破壊された菌体成分による末梢神経炎が多様な後遺症の原因となると考えられており他の感染症の治療の様に病原菌の殺菌がそのまま同疾患の治療(治癒)とならないケースがあり,主としてこれらの2点がハンセン病の治療を困難なものとしていると考えられる。この課題に対して琉球大学医学部附属病院皮膚科外来で行って来た化学療法の概略について,また検討中の補助的な治療のうち末梢循環不全に伴う後遺症の予防を試みている症例やその治療として末梢循環改善剤を投与している症例およびerythema nodosum leprosumなどleprosy reactionの抑制する可能性を期待し漢方製剤を投与している症例などについて若干のコメントを加えて報告した。
  • Yutaka Ishida, Sr. Lorella Pecorini, Sr. Elena Guglielmelli
    1998 年 67 巻 2 号 p. 329-343
    発行日: 1998年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
  • 日本におけるハンセン病の基本治療はどうあるべきか
    小原 安喜子
    1998 年 67 巻 2 号 p. 345-351
    発行日: 1998年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    ハンセン病(以下ハ病と略す)医療は既に指摘があったとおり大きく変動している。今、医療史の検証にたえる化学療法を形成することは、ハ病医療に携わる者への時代的課題といえよう。国の内外に蓄積されている基礎研究の成果、臨床経験を結集してこの課題を担い、国際化の進む日本でグローバルなハ病コントロール完了に向けて責任を果すことに努める学会であることを願う。
     ハイチ共和国中部は、最初からMDT-WHOにより治療が行なわれた。又、WHOが提案した教育入院を実施した数少ない地域の一つである。コントロール開始から15年になるこの地のハ病に関わって6年、ここで経験したことを化療を軸にふり返ると共に流行パターンについての考察を試みる。
  • 日本におけるハンセン病の基本治療はどうあるべきか
    畑野 研太郎, 松木 孝之, 牧野 正直
    1998 年 67 巻 2 号 p. 353-360
    発行日: 1998年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    バングラデシュにおけるハンセン病治療の前後における末梢神経障害率の変化を検討した。早期診断を行なっている優秀なプログラムにおいては、治療中に障害率はわずかながら改善されている。しかし、MBケースの初診時障害率は依然高い。また、MBケースの治療中には、72%の症例に神経炎を起こすエピソードが見られ、治療後2年以上の観察期間にも、15%の症例がこれらのエピソードを持つことが観察された。
     また、邑久光明園における最近10年の再燃例の中から、再々燃例の前回再燃時の投薬について検討した。これらの投薬方法では、おおむね一回投与量が少なく、長期投与がなされる傾向が見られた。RFPでは投与密度が高く、DDS・B663では投与密度が低い傾向があった。
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