日本ハンセン病学会雑誌
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68 巻 , 3 号
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  • David M. Scollard
    1999 年 68 巻 3 号 p. 147-155
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    らい菌の末梢神経感染はハンセン病の組織病理学的診断の決め手であり、本疾患の最重要課題であるにもかかわらず、その経路と菌局在のメカニズムが分かっていない。一方、実験的らい菌感染アルマジロはらい性神経炎のモデルとして近年注目されて来た。モデルではらい菌の早期主要局在部位は神経周膜である。そこで、らい菌局在に関係する周膜細胞を確認するため神経の毎1cmの44組織片について抗酸菌を識別し、電子顕微鏡で検討した。
     結果は596組織片の36%に抗酸菌を認め、らい菌は40%の周膜血管と75%のリンパ管および25%の神経内脈管(血管とリンパ管)に見られた。神経周膜と神経内の所見を比較すると、神経周膜脈管へ神経内感染よりも早くらい菌集積が起こる事が示唆される。かかる周膜内栄養脈管への菌集積は機械的なストレスや炎症の軽度の悪化でも神経内菌血症と乏酸素血症のリスクを大いに高める。また以上の所見は早期からみられ、特異的ならい菌の末梢神経への局在に、らい菌またはらい菌を貧食したマクロファージと末梢神経脈管内皮の接着の関与があることを問題提起している。
  • 中村 昌弘
    1999 年 68 巻 3 号 p. 157-163
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    1972年、著者により無細胞液体培地において鼠らい菌の増殖が達成されて以来、それに関与する因子について著者らは多くの研究結果を報告してきた。その中で、鼠らい菌増殖達成の鍵はα-ケトグルタール酸(α-kg)であると強調してきたが、その後の研究結果より、α-kgはその添加により培地のpHを鼠らい菌増殖に至適のpHに調整したのが主なる効果で、鼠らい菌増殖に最重要で必須の鍵は液体培地においても、卵黄固形培地と同じく培地の至適pHであることが明瞭になったので、今までの主張を訂正する。また、鼠らい菌増殖用液体培地(NC,NC-5)として構成されたその他の添加物、例えば,チトクロームC、システイン、ヘミンなどもすべて増殖促進物質の域を出ないものと推測される。それよりも卵黄抽出物の添加が鼠らい菌の増殖に極めて有効であることが判明した。
  • 王 麗姫, 和泉 眞藏, 賀 華, 藤原 永年, 斎田 典夫, 矢野 郁也, 小林 和夫, 巽 典之
    1999 年 68 巻 3 号 p. 165-174
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    結核菌より分離・精製したコードファクター(trehalose 6,6'-dimycolate)を抗原とする酵素抗体法により、スメァ陽性並びにスメァ陰性ハンセン病患者65名の血清抗コードファクターIgG及びIgM抗体価を測定した。健常人60名の血清抗体価(100%陰性)と比較したところ、スメァ陽性患者21名中21名(100%)が陽性、スメァ陰性患者44名中37名(84%)が陽性であった。このことは、ハンセン病の血清診断に汎用されてきたphenolic glycolipid-Iを抗原とする凝集反応に比して感度及び特異性が優れており、かつ、再現性も良く、簡便なことからハンセン病の迅速血清診断に適しているものと考えられる。臨床的に、明確に病型分類可能であった34例について、抗コードファクター抗体価を比較したところ、抗体価はLL>BL>BT型であり、体液性免疫反応の程度と並行して変動することが明らかとなった。さらに、単一サブクラス(α,メトキシ又はケト)ミコール酸からなる半合成コードファクターを用いて患者血清との反応性を検討したところ、ハンセン病患者では、α-ミコール酸コードファクターに最も高い反応性を示し、ケトミコール酸コードファクターにも反応性がみられたが、結核菌に特有のメトキシミコール酸コードファクターには反応性が極めて低かった。単一サブクラスのミコール酸からなるコードファクターを抗原とする酵素抗体法はハンセン病の鑑別診断に有用であることが示唆される。
  • 福西 征子
    1999 年 68 巻 3 号 p. 175-184
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    Recently, Buruli ulcer is emerging from the West and Central African countries. The disease come up with necrotizing and immno-suppressive type ulcer in the skin, subcutaneous tissue and bone, infected by Mycobacterium ulcerans, and shows indolent chronic course as mycobacterial infection, like tuberculosis and Hansen's disease. After the transmission to human, the lesion is usually single and begin as firm, painless, subcutaneous nodule and on any area of human body skin, though most frequently on lower limbs.
    In countries of West Africa, it is suspected that the disease should be spreading most widely in Ghana. During April and June 1999, Ghana Health Service pick up the new patients by nation-wide examination.
    The author visited Ghana twice at March and September 1999 and made on-the-spot inspections not only at a community and Ga district Health Service Center in Accra region but also at St.Martin's hospital in Agroyesum, Amanse west district, Ashanti region. At the time, the author did see the present state of Buruli ulcer, i.e. health and medical enlightenment.
    This report, includes the results due to undergoing nation-wide examination on Buruli ulcer at 2 District in Ghana (List 1 and 2), the present states of the patients and the enlightenment provided by the staffs of Ga district Health Service Center (Photografs 1 ?? 14).
    Staffs working for WHO and Ghana Health Service are tackling to Buruli ulcer problems, but conditions of the patiens are very hard because these patients must live in tropical wetlands, poor health, poor medical and poor economic conditions.
  • Dilvani Oliveira Santos, Katrien Lorré, Mark de Boer, Hugo van ...
    1999 年 68 巻 3 号 p. 185-193
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    Cell surface expression and release of the tumor necrosis factor receptor (TNFR type I) was analyzed after stimulation of peripheral blood mononuclear cells (PBMC) with Mycobacterium leprae (M. leprae) or lipopolysaccharide (LPS). A transient spontaneous expression of TNFR type I on the surface of PBMC was observed. Two hr after activation with LPS, a significant reduction of TNFR type I expression was detected: Release of TNFR type I by M. leprae or LPS-stimulated PBMC was evaluated with an enzyme-linked immunoabsorbent assay. This release occurred relatively later (20 to 40 hr) than the secretion of TNF alpha which reached high levels between 8 to 20 hr after activation.
    Thalidomide, a potent drug for the treatment of erythema nodosum leprosum episodes by inhibiting TNF alpha production, had no influence on the TNFR type I expression. Similar results were obtained with pentoxifylline.
    It is concluded that the release of TNFR type I by M. leprae or LPS-stimulated PBMC may counteract the pro-inflammatory activities of TNF alpha, by reducing the systemic toxicity of this cytokine in leprosy.
  • 石田 裕, 尾崎 元昭, Lorella Picorini, Elena Guglielmelli
    1999 年 68 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は、29才、ベンガル人男性、家族歴では父親がL型ハンセン病を発病している。1990年2月、23才時、両下腿前面と左臀部に知覚脱出を伴う低色素班を、また右尺骨神経と大耳介神経に肥厚を認め新患登録された。菌検査は陰性であった。境界群(BT)として、まずDDS100mg/dayが2週間ずつ2回、計4週間投与されただけで、その後、患者は1992年2月まで約2年間治療を中断した。1992年2月からWHO/MBを始めたところ再び6ヶ月間治療を中断した。しかし、1992年8月からはほぼ定期的にクリニックを訪れ1994年7月に治療を終了した。しかし、unsupervised doseをどの程度服用したかは非常に疑問であった。1992年9月には右尺骨神経炎を起こしたため副腎皮質ステロイド剤を服用した。1995年12月頃よりほぼ全身に新しい知覚脱出を伴う低色素班を生じたため、1996年3月クリニックを再受診した。皮疹の臨床像は境界群(BT)に似ていたが、多数であり、組織検査では、未分化群の像を示した。菌検査は陰性であった。このためRifampicin(450mg)とOfloxacin(400 mg)を28日間投与したところ全ての皮疹の消退を見た。その後、2年半皮疹その他の症状の再発を見ていない。この症例は菌検査が陰性であることより再発(relapse)ということは出来ず、再燃(recurrent)というべきであろう。その理由は不明であるが、ドーマントによる再燃が最も考えやすい。一方、宿主側のらい菌に対する免疫応答の変化をも考慮する必要がある。WHO/MDTの実施に当たっては、菌検査陰性の症例の中でMBに相当する症例にPBを投与した結果と見られる再燃が時々見られる。今回、菌陰性患者でMDT/MBの不規則な服用後の再燃を経験したので報告した。なぜ皮疹の病理組織が未分化群の像を呈したのかは不明であった。今後、同様な再燃例がPB例やMBの中途脱落者の中から起きる可能性があると考えられる。
    (この症例報告の要旨は、第69回日本ハンセン病学会総会サテライトシンポジウム(1996年4月岡山市)にて発表した。)
  • 石田 裕, Lorella Picorini, Elena Guglielmelli
    1999 年 68 巻 3 号 p. 201-205
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    22才、ベンガル人女性、L型ハンセン病の治療後の鞍鼻変菰に対し、腸骨よりの骨移植による再建手術を行なったのを機会に、ハンセン病コントロール活動の中での、この変菰の矯正の意味について若干の考察を加え報告した。
    鞍鼻は、未治療のまま長期間放置されたL型ハンセン病の患者に見うけられる。バングラデシュでは、早期発見キャンペーンとWHOの多剤併用療法の普及の結果、新規登録者における鞍鼻の頻度は激減した。しかし、後遺症として鞍鼻を持っている元患者は散見することができる。ハンセン病の後遺症の内、鞍鼻は、患者自身の身体的障害や精神的負担ばかりではなく、通常の社会生活を送る際にも大小の影響を及ぼすと考えられる。鞍鼻は、機能障害の少ない場合が多く、ハンセン病の後遺症の中でその重要度は低く見られやすい。また、他の手足や目の障害の予防の観点からも、この変形に対する対策は後回しにされやすい。しかし、鞍鼻は目につきやすい変形であるので、本症の矯正は本人にとってはハンセン病の治療と同じ程度重要である。本患者は、術後、結婚出産し、現在正常な社会生活を営んでいる。ハンセン病の後遺症は矯正出来、ハンセン病は目に見える後遺症を残さず治ることが出来ることを地域住民に示し、ハンセン病に対する間違った先入観を払拭することにより、新患発見等の地域での活動により熱心な協力を得ることが可能となる。今回の経験から、鞍鼻に対し適切な矯正術を行なうことは、患者自身はもとよりハンセン病コントロールにとっても重要であると考えられた。
  • 疋田 和生, 吉武 克宏, 田中 喜代史
    1999 年 68 巻 3 号 p. 207-211
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
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