日本ハンセン病学会雑誌
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69 巻 , 2 号
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  • 中田 登
    2000 年 69 巻 2 号 p. 61-69
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    らい菌を含め抗酸菌はヒトに対して病原性を持つものが少なくないが、脂質に富む厚い細胞壁を有し酸やアルカリに強いなど、他の細菌と異なる性質を有しており、病原性の本体については不明な点が多い。本稿では、その病原性に関わっている因子について現在までに知られている知見をまとめてみる。Mycobacterium aviumなどにはプラスミドを持つものがあり、プラスミドの存在と集落の形態、薬剤耐性との関連が疑われているが、らい菌と結核菌にはプラスミドの存在は報告されておらず、病原性に関与するすべての遺伝子は染色体上に見られる。抗酸菌の病原性に関与する因子はこれまでいろいろと論じられてきたが、その多くは他の病原細菌で同定されたビルレンス因子との相同性に基づくものであった。主要な病原性抗酸菌は共通して増殖がおそく、変異株の分離とその解析に多くの時間を要する点も研究の上で障害であったと言える。しかし、近年分子生物学的手法の発達により、抗酸菌の病原性に関与する因子について直接的な証拠が示されるようになってきている。本稿では他の病原細菌における機能からの類推だけではなく、実験的にそのビルレンスへの役割が示されたものを中心に、抗酸菌の宿主細胞への侵入・増殖に関与する遺伝子について論じる。
  • 山田 毅
    2000 年 69 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    Studies on recombinant BCG (rBCG) which my group carried out so far were reviewed. Recombinant BCG which secreted a antigen-fused foreign antigen was constructed and tested for its ability to induce protective immunity. Thus, rBCG secreting merozoite surface protein I (MSPI) of Plasmodium yoelii efficiently protected the infection more than recombinant MSP 1 mixed with artificial adjuvant RAS or IFA did. rBCG which secreted excess amounts of antigen 85 complex A inhibited the multiplication of M. leprae in the footpads of mice. rBCG which secreted a antigen-fused IL-2 stimulated peritoneal exudate cells of mice resulting in enhancing killing a bladder cancer cell line in vitro.
  • 小林 和夫, 笠間 毅
    2000 年 69 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    細胞性免疫は炎症性/免疫担当細胞群およびサイトカインネットワークから構成され、細胞内寄生性病原体である抗酸菌に対する宿主感染防御に貢献しているが、他方、細胞性免疫は病変形成にも関与、すなわち、組織障害を招来し、諸刃の剣である。抗菌化学療法薬であるrifamycin系薬は抗菌活性のみならず、宿主細胞のステロイド受容体に結合し、抗炎症作用を発揮する。従って、抗菌化学療法と免疫介入療法から構成される併用療法は「最大の防御と最小の病変形成」を誘導することができ、難治性抗酸菌感染症の制圧に有望な戦略である。
  • 光山 正雄
    2000 年 69 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    結核菌、らい菌、リステリアなど、いわゆる細胞内寄生菌は、宿主のマクロファージに貧食されてもその細胞内殺菌に抵抗し、また殺菌機構を持たない非食細胞系細胞内に侵入して生存増殖する。化膿性感染を起こす細胞外寄生菌の多くは、食細胞の細胞内殺菌に抵抗できないので、貧食をエスケープするために莢膜で異物識別を免れようとするが、宿主のオプソニン抗体があれば貧食が進行する。さらにこの種の菌は何らかの毒素を産生して病像を形成するので、毒素中和性抗体は宿主防御に極めて有効である。一方、細胞内寄生菌の大半は貧食に抵抗せず、むしろ好んでマクロファージ系食細胞に取り込まれるようにみえ、病像に直接関与する毒素の産生も著明ではない。従って抗体が産生されても宿主防御には役立つことがなく、T細胞依存性の防御免疫が重要となる。
  • 中田 光
    2000 年 69 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    HIV-1 infection is a major cause of worldwide epidemic of tuberculosis. HIV-1 infection, even in its early stages, markedly reduces effective immune response to M. tuberculosis. In Japan, the cumulative number of the patients reported is 131 by the end of 1999 with 10 to 20 annual new cases. Most of Japanese cases are advanced AIDS patients with low CD4 number less than 100/ml. The peak of Japanese patient age is 40 to 60 years old, whereas that of foreigners is 20-30 years old, suggesting that most Japanese cases are recurrent tuberculosis. There is increasing clinical evidence that coinfection with M. tuberculosis accelerates progression of AIDS. We found that, in vivo, HIV-1 load and mutation increase in involved lung segments in patients with pulmonary tuberculosis. The promotion of HIV-1 production is not only due to activated translocation of a nuclear factor, NF-kB, but also due to reduced inhibitory factor, C/EBPb 16 kD which binds to HIV LTR and represses the transcription of HIV-1..
  • ムワナタンブェ ミランガ, 福西 征子, 矢島 幹久, 鈴木 慶治, アシデュ キングスレイ, エツァフェル サムエル, 山田 宣孝, 浅野 ...
    2000 年 69 巻 2 号 p. 93-100
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    ここに3例のブルリー潰瘍の臨床病理学的知見につき報告します。症例はガーナ国出身の9才と23才の女性と47才の男性で、臨床的には皮膚に結節状の病変と潰瘍病変に加えて潰瘍性病変を伴う結節性病変がみられた。
    病理組織学的には真皮内にリンパ球や類上皮細胞の増殖と脂肪壊死のみられる脂肪織炎を認めた。また3症例に共通した病変として神経病変と共に血管炎が観察された。特に進行例ではミコバクテリアが真皮層と皮下組織に局在し原田氏法で確認され、PGL-1に陽性反応を示した。今後、潰瘍形成性のミコバクテリアの感染が他のミコバクテリアにより発生する病巣とどのように異なるかについての解析が必要である。
  • 石田 裕, Lorella Pecorini, Elena Guglielmelli
    2000 年 69 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    皮疹を認めず、末梢神経症状のみを呈する純神経型ハンセン病(pure neuritic leprosy or PN)はバングラデシュ南部では稀ではない。1994年から1998年の当施設の新患登録統計1,741名中では141例(8.10%)がPNと診断された。この内1例は診断の誤りとして登録を抹消された。また、3例は、経過中に明らかな皮疹を認めたため他の病型に変更された。このためPNの占める割合は137例(7.87%)であった。これらの経過中に皮疹を認めた3例について、詳細を報告した。ハンセン病コントロールにおける住民に対する啓発活動の中で、PNは無視されがちであり、それゆえ発見も遅れ勝ちである。このため末梢神経麻痺による障害度も高い。ことにPNの中で、経過中に皮疹の存在を認める症例や、初診時に皮疹の存在を見落としている症例が少数存在することがあり、治療も変更せざるを得ないことがあるので、注意を要する。
    症例1は、25才のベンガル人男性。広範囲なBLの皮膚浸潤を初診時に診断できなかった例であり、多発性神経症状よりWHO/MBを開始した。初診時の菌検査は4+(3箇所の平均値)であった。治療開始4ヶ月後、ENLを併発し、同時に皮膚の浸潤も確認された。
    症例2は、症例1の子、7才男児。初診時、皮疹を認めず、右側の尺骨神経炎を起こしていた。WHO/MBとステロイド剤による治療開始の9ヶ月後にBTと思われる皮疹を初めて確認した。皮疹確認時の菌検査は陰性であった。
    症例3は、35才のベンガル人男性。初診時、右側の尺骨神経、総腓骨神経、後脛骨神経の腫脹と圧痛を認めた。菌検査は陰性であった。PN/PBとしてWHO/PBの治療が開始された。5ヶ月後、両側の前腕に数個の知覚麻痺を伴う境界不明瞭な脱色素斑を認めたため、診断をBT/MBに変更し、WHO/MBの治療をやり直した。
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