日本ハンセン病学会雑誌
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82 巻 , 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 渡辺 弘之
    2013 年 82 巻 3 号 p. 83-98
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
     ベトナムはWHOのハンセン病削減目標値を達成したものの、社会復帰が困難な状況に置かれた患者・元患者が多数存在しており、そうした患者群の生活状況やニーズについて明らかにされていない。本稿では包括的健康関連尺度であるSF-36v2を使用し、ベトナム国内2か所の病院の患者群と一般群のQOLを測定した。10-29歳代の若年患者層においては日常役割機能 (身体)、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能 (精神) の各下位尺度スコアが一般群と比較して有意に低かった。一方、中高年齢層になると患者群と一般群との間に有意差のみられる項目は少なく、患者群と一般群にはほとんど差がないという結果となった。病院間の比較では日常役割機能 (身体)、日常役割機能 (精神) の項目に有意差がみられ、自立支援プログラムを実施している病院における患者群の各下位尺度スコアが有意に高かった。患者のQOLを高めるためにはこうしたプログラムの利用も有効であると考えられる。
  • 新山 智基
    2013 年 82 巻 3 号 p. 99-105
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は、トーゴ共和国のブルーリ潰瘍の実態と、現地での国際支援の展開、また、隣国ガーナ共和国・ベナン共和国を比較対象とした支援モデルを明示し、国際機関 (WHO)・政府・NGOの3者間の連携・関係性を明らかにしていくことである。
     1998年に設立されたGlobal Buruli Ulcer Initiativeの方針により、トーゴ共和国でもNational Buruli Ulcer Control Programmeが策定された。しかし、その実態は、国内の情勢不安や国家予算の脆弱さから、機能していたとは考えにくい。本格的に機能し始めたのは、DAHW (Deutsche Lepra-und Tuberkulosehilfe、ドイツ) やHandicap International (フランス) の支援組織が活動を開始した2007年以降である。
     一般的に、感染症対策における支援機関には、国際機関や被援助国の政府、援助国の政府、NGO、企業などが挙げられる。ブルーリ潰瘍支援に関しては、現在のところ、WHO、被援助国の政府、NGOが挙げられる。これらの組織が、それぞれの役割を果たしながら、各国において連携・関係性を保っている。今回の一連の調査からトーゴ共和国では、不安定な国家情勢や予算の不足による進捗の遅れにより、国家プログラムが隣国のガーナ共和国・ベナン共和国に比べると十分機能せず、NGOが実施の肩代わりをしているのが実態で、隣国とは異なる支援モデルが展開されていることが明らかとなった。
ミニレビュー
  • 牧野 正彦
    2013 年 82 巻 3 号 p. 107-110
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
      A novel recombinant BCG (BCG-DHTM), that was deficient in urease, expressed with gene encoding the fusion of BCG-derived HSP70 and M. tuberculosis-derived major membrane protein (MMP)-Ⅱ, was constructed for use as a vaccine against tuberculosis. BCG-DHTM efficiently activated dendritic cells (DC) to induce cytokine production, including IL-12, TNFα and IL-1β and phenotypic changes. The DC infected BCG-DHTM was more potent in activation of naïve T cells of CD4 and CD8 subsets than those infected vector control BCG. The activation of naïve T cells by BCG-DHTM was closely associated with phagomal maturation, and that of naïve CD8+ T cells by BCG-DHTM was induced by the activation of cytosolic cross-presentation pathway. Further, BCG-DHTM seemed to activate naïve CD4+ T cells and naïve CD8+ T cells by antigen-specific fashion. The primary infection of BCG-DHTM in C57BL/6 mice for 12 weeks efficiently produced T cells responsive to in vitro secondary stimulation with MMP-Ⅱ HSP70 and H37Rv-derived cytosolic protein and inhibited with multiplication of subsequently challenged M. tuberculosis in lungs at least partially.
      The effect of BCG-DHTM as a vaccine for tuberculosis is not fully convincing and need the improvement, however, our strategy in the development of new recombinant BCG for tuberculosis seems to provide useful tool.
  • ─Th1分化誘導型ペプチドによる細胞障害性記憶T細胞の分化誘導機構の解析─
    田村 敏生, 下袴田 陽子, 牧野 正彦
    2013 年 82 巻 3 号 p. 111-117
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
      The effectiveness of a vaccine against tuberculosis and leprosy is mainly judged by its capability to induce memory CD8+ cytotoxic T cells (CTL). It has been reported that ‘help’ from CD4+ T cells is required to induce memory CTL.
       However, how CD4+ T cells instruct or support memory CTL during priming phase has not been resolved in detail. Therefore, we examined the helper function of CD4+ T cells in CTL differentiation.
      Peptide-25 is the major T cell epitope of Ag85B of Mycobacterium tuberculosis. We found that this peptide induced the expression of T-bet and TATA box binding protein-associated factor that can induce the chromatin remodeling of ifn-γ gene, and as a result induced Th1 differentiation even in the absence of IFN-γ and IL-12. Next, we established an in vitro CTL differentiation system using Peptide-25, Peptide-25 specific CD4+ T cells, OVA specific CD8+ T cells and splenic DC. By using this system, we found that CD4+ T cells activated DC even in the absence of IFN-γ and CD40 ligand association, and the activated DC induced the functional differentiation of CTL. To identify the regulatory factors for DC activation, we analyzed the gene expression profile of helper CD4+ T cells and identified 27 genes.
      Taken together, these results suggest that the inducing factors for Th1 differentiation are not indispensable to induce the functional differentiation of CTL.
  • ─ 抗酸菌の休眠と薬剤耐性機構 ─
    松本 壮吉
    2013 年 82 巻 3 号 p. 119-122
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
      Instead of rapid multiplication, pathogenic mycobacteria, such as Mycobacterium tuberculosis are likely to have acquired slow but long life. Host immunity affords desirable non-competitive environment for M. tuberculosis in human lungs, where this pathogen slowly grows or arrests growing, which avoids rapid loss of living places. Mycobacterial DNA-binding protein 1 (MDP1), a unique histone-like protein associating mycobacterial GC-rich DNA, has pivotal role in realizing such slow life and pathogenesis including drug tolerance to isoniazid.
  • 梅村 正幸, 松崎 吾朗
    2013 年 82 巻 3 号 p. 123-132
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
     未だに世界中の人々を死に至らしめる最も大きな原因は感染症であり、病原性マイコバクテリアの代表である結核菌の感染も再び猛威を拡げ、感染症研究に大きな期待が掛けられている。結核菌感染症のなかでも特に肺結核はその発症頻度が高く、しばしば致命的な疾患に陥るにもかかわらず、肺における感染防御メカニズムは不明瞭な点が多い。この結核菌に対する免疫監視メカニズムと結核菌の病原因子の相互作用を理解し、結核菌感染症における免疫応答の分子基盤を整理および再構築することが、免疫制御による結核の予防ならびに治療法の開発に繋がると考えられる。本稿では、結核菌感染症における病原体側あるいは宿主側の視点からの感染制御メカニズムを概説すると共に、最近注目されているIL-17A/IL-23系の役割について解説する。
その他
  • - Weekly epidemiological record, No.35, 2013, 88, 365-380 -
    森 修一
    2013 年 82 巻 3 号 p. 133-142
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
     現在、WHOにより行われている「ハンセン病による負荷のさらなる軽減のための強化された世界戦略(2011年‒2015年)」は新規患者中の第2級障害の患者の減少を指標として遂行されている。2012年に報告された新規患者は232,857人で前年より6,231人増加した。これはWHOの世界戦略が患者の早期発見を中心に進展した結果であり、南東アジア地域とアフリカ地域で報告が増加している。人口10万人あたりの新規患者中の第2級障害の患者の割合は2010年には0.23であり、本戦略では2012年には0.17を目指したが、実際には0.25と予想より増加した。
  • 後藤 正道, 野上 玲子, 岡野 美子, 儀同 政一, 四津 里英, 石田 裕, 北島 信一, 甲斐 雅規, 石井 則久, 尾崎 元昭, 畑 ...
    2013 年 82 巻 3 号 p. 143-184
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
     日本ハンセン病学会・医療問題委員会・治療指針と治癒判定基準に関する小委員会 (指針委員会) では、学会としての標準的なハンセン病治療指針を2000年に作成し、2006年に改訂を行った。今回の改訂では、新しい抗菌薬、サリドマイドの保険適用、薬剤耐性の遺伝子検査、慢性疼痛・神経障害性疼痛の治療を新たに加え、他の部分にも手を加えた。治療の基本は変更なく、少菌型ではWHOの多剤併用療法 (MDT) 通りに6ヶ月間のWHO/MDT/PBを採用し、多菌型 (MB) については、 (A) MBで治療前に菌指数BI (3+) 以上の場合、原則としてWHO/MDT/MBを2年間継続する。経過中の皮疹の吸収が良好で2年間終了時点で菌陰性であれば、維持療法なしで1年間の経過観察をする。2年間終了時点で菌陽性ならば、あと1年間すなわち計3年間のWHO/MDT/MBを行い、その後は菌陰性で活動性病変がなくなるまで、ジアフェニルスルホン+クロファジミンなどの2剤以上の組合せで維持療法を行う。皮疹の吸収が遅ければ耐性菌の可能性を検討する。また、(B) MBで治療前にBI(3+)未満あるいは発症後極めて早期(6ヶ月以内)でBI(3+)以上の場合には、原則としてWHO/MDT/MBを1年間行う。治療開始後1年以内に菌陰性化して活動的臨床所見がなければ、維持療法なしで経過観察とする。菌陽性あるいは活動性臨床所見があれば、WHO/MDT/MBをあと1年間行うこととした。
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