日本ハンセン病学会雑誌
Online ISSN : 1884-314X
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ISSN-L : 1342-3681
85 巻, 3 号
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原著
  • 伊波 弘幸
    2016 年 85 巻 3 号 p. 123-132
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/18
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、国立ハンセン病療養所A園 (本稿ではA園とする) における看取り看護の実践と課題を明らかにすることである。一般病院及びA 園センター (以後センターとする) 脚注1) で看取り看護の経験がある看護師4名に半構造化面接を行った。分析は、質的統合法 (KJ法) を用い、個別分析と総合分析を行った。総合分析の結果から、看護師は、家族関係が希薄な入所者と関わる中で、入所者の【家族を意識した看取り看護の必要性】を強く感じるようになっていた事が分かった。その思いを基盤に日々の看護の中で入所者のライフサポートを意識しながら【生活者の視点を重視した看取り看護】を行っており、その実践の中で【入所者の楽しみに働きかける看取り看護】が看護師の看取り看護に対する満足感や遣り甲斐に繋がっていた。しかし、センターでの看取り看護の経験が少ない看護師は、不安やジレンマを抱きながら入所者の看取り看護の実践を行っていたことが明らかになった。その中で、【看護師の看取りに関する意識の相違】と【施設として入所者を看取ることの方針の不明確さ】の課題が描出され、今後のA園における看取り看護の方向性が示唆された。

  • 渡辺 弘之
    2016 年 85 巻 3 号 p. 133-152
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/18
    ジャーナル フリー

     ベトナムのハンセン病専門治療施設・病院Xでは、ハンセン病元患者の社会経済状況改善を目的とした自立支援プログラムが実施されている。本研究は自立支援プログラムについて元患者の立場からプログラムに対する評価をフォーカスグループインタビューによって行ってもらった。

     プログラム参加者からは肯定的な変化として収入の増加や健康状態の改善などが挙げられ、無利子で事業資金の融資が受けられる点が評価された。一方、家畜の病気の流行やハンセン病を理由に買い手から値下げを要求されるなどのリスクが挙げられ、事業を行う上での困難も明らかとなった。また若年グループはプログラムに関心を抱いているが、事業資金返済に対して不安を抱いていることが明らかとなった。現行の自立支援プログラムに対しては事業資金返済開始の時期や融資額の変更などの要望が寄せられた。これらを踏まえ、元患者のニーズに沿った自立支援プログラムが必要であると考えられる。

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