日本ハンセン病学会雑誌
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原著
  • 木原 満子, 近藤 晶子
    2024 年 92 巻 3 号 p. 71-77
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/06
    ジャーナル フリー

     ハンセン病後遺症による視覚障害者は、手指の変形や感覚障害のためロービジョンケアツールの使用が難しい場合が多い。症例の特性に応じた補装具や生活環境の提案でロービジョンケアを動機づけ、QOLの向上を目的とした。

     視覚障害2~6級(ロービジョン者)26名と、障害等級に該当しないが見え方に不自由を感じる者(視覚困難者)18名に対し、聞き取り調査をし、効果があると思われる補装具の処方や使用の工夫、居住空間の安全確保、日常活動の利便性の獲得を検討した。

     聞き取り調査で羞明はロービジョン者で半数、視覚困難者では約90%が不自由を感じていた。読み書きは介助があるため不自由の訴えは少ないが、食事配膳位置は2~3級で確認が難しくなる。聞き取り後、残存視覚を活用する訓練をおこなった。

     ロービジョンケアで残存視覚を最大限活用する援助をすることにより、高齢化に伴う社会活動の低下を防ぐことが期待できると思われた。

ミニレビュー
  • 四津 里英
    2024 年 92 巻 3 号 p. 79-88
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/06
    ジャーナル フリー

     2022年6月に、世界保健機関(World Health Organization: WHO)は極めて重要なガイダンス「皮膚に関連する顧みられない熱帯病を統合的に制御・管理するための戦略的枠組み」を発表した。皮膚に関連する顧みられない熱帯病(skin-related neglected tropical diseases)、すなわち皮膚NTDsは、皮膚に症状や徴候を示すNTDsの一群で構成され、少なくとも9つの疾患または疾患群が含まれる。疾患別の縦割りアプローチから脱却し、可能な限りこの共通の特徴に基づいた相乗効果的な対策をとることで、より大きな保健上のインパクトを達成することを目的としている。多角的な側面をもつハンセン病は、戦略的枠組みの中で紹介されている20の横断的分野(cross-cutting areas)全てに該当し、統合的アプローチがもたらす効果が特に期待される疾患である。本稿は、この枠組みがもたらす、特にハンセン病対策における可能性に注目し、その実践的な機会について述べる。

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