本研究では小学5年生と一般大学生を被験者として用い, 走幅跳の助走における歩幅の視覚的制御がどのように行われているかを検討した。
その結果, 大学生では助走初期の加速時期の後には運動プログラムによるステレオタイプ的な助走が現れるが, 小学生では加速時期終了後にも歩幅の変動が大きく, ステレオタイプ的な助走がみられなかった。
助走中の歩幅の最大標準偏差では, 小学生は踏切地帯150cmと50cmの場合, 個人間において踏切4-1歩前に大部分が分布していたが, 踏切地帯20cmの場合には踏切10-1歩前までの広範囲に分布していた。それに対して, 大学生は踏切地帯150cmの場合, 個人間において踏切8-1歩前の広範囲に歩幅の最大標準偏差が分布したが, 踏切地帯50cmと20cmの場合には踏切4-1歩前にそれが分布した。
さらに, 小学生では走幅跳の助走中の歩幅の伸縮が走行周期の立脚相と遊脚相の両者の時間的変動に依存していた。一方, 一般大学生では歩幅の伸縮は遊脚相の時間的変化に依存していた。
本研究の結果は, 走幅跳のパフォーマンス・レベルに係わらず, 踏切前に歩幅の視覚的フィードバック制御が行われているといえる。しかし, 小学生では歩幅の変動が遊脚相と立脚相の両方の変動に影響されているから, 大学生のように, 運動の自由度を減少できず, 狭い踏切地帯では踏切動作の制御が困難であったと考えられる。
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