高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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25 巻 , 1 号
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第27回総会 会長講演
  • 鹿島 晴雄
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2005 年 25 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/06/09
    ジャーナル フリー
    これまでかなりの期間にわたり, 筆者らは前頭葉機能とその障害に関する臨床的検討を行ってきたが, これまで考えてきたこと, 得られた若干の知見を振り返り, 今後の課題など述べた。まず, 5つの障害の形式 [概念ないし “セット” の転換の障害 (高次の保続), ステレオタイプの抑制の障害, 複数の情報の組織化の障害, 流暢性の障害, 言語 (意味) による行為の制御の障害] とそれぞれの神経心理学的検査法に関する研究を述べ, 神経心理学と精神病理学をつなぐ試みとして, 前頭前野 (外側穹窿部) 梗塞例の症状に関する報告を紹介した。さらに, 現在と今後の課題として, 前頭葉機能障害の包括的バッテリー (BADS) と前頭葉眼窩部損傷の評価法, また統合失調症と前頭葉機能障害に関する見解を述べた。
原著
  • 米倉 康江, 篠原 幸人, 山本 正博, 並木 博
    2005 年 25 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/06/09
    ジャーナル フリー
    著者らは, 作動記憶理論と項目反応理論という理論的基盤に立脚した痴呆患者の神経心理学的検査 (TKW式検査) を開発したが, この検査は痴呆の重症度診断と病態の判別に有効であった。本研究では, より簡便な方法を確立し, 臨床現場での有用性を高めることを目的として, 以下の分析を行った。被検査者数を前回の2倍に増やし, 前回同様の理論的分析を行うとともに, 病型判別力, 既存の検査法との併存的妥当性を確認した。そのうえで, 臨床場面での効用を高めるために, 5つの選定基準により, 6種類のコンサイス版を作成した。その結果, コンサイス版のすべてが重症度診断に有効であり, また, そのなかの1つが病型判別に高い精度を示した。また, 上記の基準にさらに最大デマンド数を加えて, 単一の下位検査項目を用いるシングル版を作成した結果, 「階層構造的分類1」が重症度診断において, また, 「漢字の仲間はずれ 『村』」が病型判別において高い精度を示した。
  • 岡村 陽子, 原 行弘
    2005 年 25 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/06/09
    ジャーナル フリー
    慢性期の患者では認知機能の新たな改善が期待されないためか, 認知リハは行われない傾向にある。本症例では発症後10年以上が経過しているが, 注意訓練を主体とした認知リハの結果, 認知機能の改善が認められた。症例は1991年12月もやもや病, 脳出血の発症から高次脳機能障害を呈した33歳の女性。認知リハ開始前の初期評価において全般的な知的低下, 記憶力の低下, 注意力低下が認められたため, 段階的に注意賦活訓練, 視覚認知訓練, 代償手段活用訓練を, 1ヵ月に1度の外来訓練に, 家庭で行う課題を併用して実施した。認知リハ後は知的機能, 注意力, 記憶力に改善がみられ, 日常生活でも記憶の代償手段の利用が可能となった。訓練前評価から個々に見合った認知リハ計画を立案し推進することが, 改善に寄与したと思われた。慢性期の患者に対しても, 集約的な認知リハの遂行で高次脳機能の維持や改善が可能であると推察される。
  • 森田 秋子, 小林 修二
    2005 年 25 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/06/09
    ジャーナル フリー
    失語症患者の知的機能が基本ADLに与える影響をパス解析を用いて検討した。対象は, 脳血管障害初発発作から3ヵ月以内にT病院に入院した80名の失語症患者。基本ADLはバーセル・インデックス (以下BI), 失語症重症度は標準失語症検査 (以下SLTA) 総合評価点, 知的機能はレーブン色彩マトリックス (以下RCPM) を用いて測定した。各機能は入院時, 3, 6ヵ月時に測定した。年齢, 発症から入院までの期間, 身体機能についても考慮に入れたモデルを作成し, パス解析を実行した。その結果, 寄与率は66~76%と高くモデルは適合した。入院後いずれの時期のBIに対しても, 影響を与えたのはSLTAではなくRCPMであった。失語症患者の基本ADLを予測するために重要なのは知的機能であり, 失語症の重症度ではないことが明らかになった。失語症患者の基本ADL改善のために, 知的機能へのアプローチの重要性が示唆された。
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