高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
Online ISSN : 1880-6554
Print ISSN : 1348-4818
ISSN-L : 1348-4818
26 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
第29回総会 会長講演
原著
  • 水田 秀子
    2006 年 26 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/01
    ジャーナル フリー
    呼称において多彩な誤りを呈した 1 例を検討した。症例は 77 歳,女学校卒の女性,クモ膜下出血による左側頭葉損傷後に失語症を呈した。理解は聴覚・視覚とも良好だった。自発話は構音障害なく流暢で,喚語に窮することはあるも,錯語はほとんど認めなかった。呼称では,形式性錯語 ( formal paraphasia ) ・意味性錯語・音韻性錯語・混合性錯語 ( mixed paraphasia ) などの多様な錯語を呈した。また,同時に目標語の音形の一部が産生される現象が顕著に認められた。復唱は保たれ,呼称にみられる誤りをまったく認めなかった。音読ではかなは保たれたが,漢字音読では呼称に似た誤りを呈した。漢字語の意味理解は良好だった。本例の示した呼称の詳細と経過の検討から,本例に認められた形式性錯語は,音断片と類似の基盤を有し,目標語彙の音韻形式の喚起にかかわる障害がその一因と推察された。さらに,形式性錯語の産生を促した要因に関し内的モニターなどの観点から考察した。
  • 原田 浩美, 能登谷 晶子, 中西 雅夫, 藤原 奈佳子, 井上 克己
    2006 年 26 巻 1 号 p. 16-24
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/01
    ジャーナル フリー
    われわれは,健常高齢者における神経心理学検査の測定値を求めるために,65 ~ 85 歳の 92 名の対象に神経心理学検査を実施し,成績と年齢,教育年数との関連を調べた。年齢および教育年数によって階層化した各群別成績を求め,群間比較を行うことにより測定値の有用性を示した。 かなひろいテスト (無意味綴り,物語) とTrail Making Test (part A,part B) の成績は年齢,教育年数の双方ともと有意に関連した。300 語呼称検査の成績は年齢と有意に関連した。 Mini-Mental State Examination,N 式精神機能検査—物語再生項目 (直後再生,遅延再生) ,Rey-Osterrieth 複雑図形検査 (模写,直後再生) は,年齢と教育年数の双方に影響されなかった。本研究で検討した神経心理学検査成績の解釈をするとき,年齢と教育年数の影響を考慮に入れる必要があることがわかった。
feedback
Top