高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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42 巻, 1 号
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会長講演
特別講演
  • 中島 八十一
    2022 年 42 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル フリー

      高次脳機能障害支援の公的な仕組みは準備期間を含めて 20 年の歴史を持つ。この間に研究者が学術上の見解を整理するだけでなく法令上の枠組みを理解しながら仕組みの構築と運用を経験したことは支援の将来展望に向けて最も重要なできごとである。さらには研究者に本質的にこれを実行する能力があること, 学会にはこれらの活動を支えるプラットホームの役割があることが示された。
      障害者支援の目標点を社会参加においた場合, 就労を最終目標に設定可能な障害程度の事例では, 病院を退院した後の行政の支援は比較的よく整備されてきた。その一方でそれより重症度の高い者の社会参加に向けた支援は今なお十分とは言い難い。現況に鑑みれば, その点でのインフォーマルな様式も含めて民間および当事者自身の活動には瞠目すべきものがあり, 今後これらを公的仕組みのなかにどのように取り入れ, 発展させていくかが課題である。

原著
  • 酒井 康生, 木佐 俊郎, 加藤 友未, 多久和 美里, 朝日 敏幸
    2022 年 42 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル フリー

      麻痺側上肢の自己所有感を喪失した脳梗塞の 1 症例の 5 ヵ月間のリハビリテーション経過を報告した。症例はプッシャー症候と左半側無視が先行し, 身体パラフレニアに伴う言動は発症 2 ヵ月過ぎてから出現した。療法士は患者の患肢の誤帰属感に支持・共感的に接しつつ, 患側上肢を含む動作を全身が映せる姿勢鏡で見せながら身体図式と身体イメージの強化を行った。その際に身体の自己所有感を高めるため大きな鏡を用い, 鏡を通じて療法士とともに腕を見ることで三人称の視点を作り, その後, 直接自分で腕を見ることで一人称の視点に汎化するために, 両視点を結ぶ感覚運動統合能力の改善を図った。その結果, 改善が難しい症例もあるとされる身体パラフレニア症候の消失に至った。以上のような改善が起こった背景について, 関連する諸文献を参考に, 考察を行った。

  • 冨居 泰臣, 大槻 美佳, 長谷川 直哉
    2022 年 42 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル フリー

      【目的】転倒を繰り返すパーキンソン病 (PD) 患者に関連する要因を, 転倒に対する自己効力感と罰の認知の視点から検討する。【対象・方法】 PD 患者 19 名を過去 1 年の転倒歴から 2 群 (非転倒群・転倒反復群) に分類した。罹病期間, Hoehn & Yahr Stage 分類 (H & Y) , 服薬状況, Movement Disorder Society Unified Parkinsonʼs Disease Rating Scale (UPDRS) の Total・Part 別得点・Retropulsion Test・姿勢と歩行 (PIGD) 等, Functional Balance Scale (FBS) , 機能的自立度評価法 (FIM) , アイオワギャンブリング課題 (IGT) ・日本版 Falls Efficacy Scale (FES-J) ・日本版 Montreal Cognitive Assessment (MoCA-J) 等の 2 群間比較を行った。【結果】FIM cognition / 社会的交流 / 問題解決・MoCA-J・IGT が転倒反復群で有意に低値であった。FES-J は有意差がなかった。多変量解析では, FIM 問題解決のみが有意な項目として選択された。【考察】繰り返す転倒には注意機能や作動記憶の低下, 転倒に対する自己効力感の問題や罰の認知の低下が影響している可能性が示唆される。

  • 玉井 智, 八鹿 綾香, 長 秀男, 土橋 隆俊, 佐藤 宏朗, 橋本 圭司
    2022 年 42 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル フリー

      小脳腫瘍切除術後の後遺症として, 緘黙, 感情障害, 運動障害性構音障害, 認知機能障害, および言語障害が生じることがあるが, これらは小脳性無言症 (cerebellar mutism syndrome : CMS) として知られている。今回, 小脳炎発症後に同様の機能障害を呈した症例を経験したので, 主に, 認知・言語機能について報告を行った。本例は 9 歳 9 ヵ月時に発熱で発症し, 小脳炎と診断された。発症数日後より緘黙状態を呈したが, 発症 4 ヵ月目に緘黙は改善を示し始め, 発症 7 ヵ月後には抑揚の乏しい非流暢な単語レベルでの表出も認められるようになった。しかし, その後も感情・行動障害, 運動障害性構音障害, 認知機能, 言語機能の低下は残存した。言語・コミュニケーション面の症状は主に, 語想起の低下, 自発話での発話量の低下, 文構造の拙劣さなどであった。発症後の時間経過のなかで本例なりの機能改善は認められたが, 同年齢の児の平均と比較すると認知面, 言語面ともに継続的な成績低下を示していた。本例を通して, 小脳炎による小脳病変によっても CMS に類似する後遺症が生じることを示し, 加えて, 小脳炎後の認知機能, 言語機能の障害把握の重要性, および個別的かつ長期的なリハ介入の必要性について考察した。

  • 鴫原 和昭, 藤井 正純, 芥川 奈央, 二村 美也子, 大井 直往
    2022 年 42 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル フリー

      脳腫瘍術後, 職場復帰を含めた真の意味の QOL 維持には, 単純な運動だけでなく, より高次の運動機能の温存が求められる。覚醒下手術は, 言語・単純な運動機能評価を中心に普及が進んでいるが, より高次の運動機能を評価する手法は確立されていない。我々は, 覚醒下手術の, 主に頭頂葉の術中高次運動機能評価として, PEG&COIN 課題とスポンジコントロール課題の 2 つを開発し, 連続 4 例で検討した。 前者は把握と注視下到達動作の, 後者は体性感覚に依存した動作の評価法として, 電気刺激によるマッピング (機能の有無を調べること) と術中の運動機能のモニタリング (機能状態を評価すること) 両者の目的で用いた。前半の 2 例では, PEG&COIN 課題のみを実施したが, 術後体性感覚依存動作の障害を認めた。 両者を併用した後半 2 例では術後の巧緻運動温存が可能であった。頭頂葉性の高次運動機能評価として両者の併用が有用であると期待される。

第45回 日本高次脳機能障害学会学術総会講演抄録 一般演題
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