造血細胞移植後は重度の口腔粘膜障害を認めることが多い。我々が行った造血細胞移植後の専門的口腔ケア(professional oral health care,POHC)介入開始前後における患者の口腔粘膜障害の変化についての調査と,考察した結果を報告する。造血細胞移植を受けた107例について,口腔粘膜障害の重症度に影響する要因を,年齢,性別,移植治療前からのPOHC介入の有無,幹細胞ソース,前処置の強度,移植歴,放射線全身照射量,移植後メトトレキサート(MTX)の有無,performance status(PS),再発リスクで検討し,ロジスティック回帰分析を行った。その結果,口腔粘膜障害には移植前からのPOHC介入の有無(
p=0.006オッズ比0.307)と,MTXの有無(
p=0.007オッズ比3.291)が関係していた。今回の調査結果は,移植前から行うPOHCや患者への口腔衛生指導が口腔粘膜障害軽減に有効であることを示唆するものであった。
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