日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
7 巻 , 1 号
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総説
  • 近藤 忠一
    2017 年 7 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/15
    [早期公開] 公開日: 2017/11/30
    ジャーナル フリー

     急性骨髄性白血病(AML),急性リンパ性白血病(ALL),骨髄異形成症候群(MDS)に対する根治的治療として,同種造血幹細胞移植が有効な治療手段であるが,依然として,移植後再発は克服すべき課題の一つである。そのため,通常の骨髄破壊的前処置であるシクロホスファミド・全身放射線照射(CY/TBI)に大量シタラビン(HDCA)を追加する強化前処置が抗腫瘍効果を高める目的で開発されたが,その有用性については明らかになっていない。日本造血細胞移植学会のレジストリーデータを用いて,CY/TBIとHDCA/CY/TBIの予後を後方視的に比較解析を行った結果,骨髄系腫瘍,ALLに対して,臍帯血移植(CBT)ではHDCA追加による予後改善がみられたが,骨髄移植・末梢血幹細胞移植(BMT/PBSCT)では予後改善がみられなかった。今後,前向き試験による検証が待たれる。

研究報告
  • 川島 雅晴, 矢野 真吾, 齋藤 健, 横山 洋紀, 町島 智人, 島田 貴, 矢萩 裕一, 小笠原 洋治, 杉山 勝紀, 髙原 忍, 南 ...
    2018 年 7 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/15
    ジャーナル フリー

     チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)時代に同種造血幹細胞移植を受けた14例の慢性骨髄性白血病(CML)患者の治療成績を解析した。年齢の中央値は42歳(20-66歳),移植時病期は第1慢性期(CP1)が3例,第2慢性期(CP2)が8例,移行期(AP)/急性転化期(BP)が3例で,2例に血縁骨髄,1例に血縁末梢血幹細胞,4例に非血縁骨髄,7例に臍帯血を移植した。移植後の3年全生存率(OS)は71%で,病期別の3年OSはCP1 67%,CP2 75%,AP/BP 67%(P=0.925)であった。またBPで発症した6例はTKIの投与により全例CP2が得られ,3年OSは83%であった。TKIの登場により,BPで発症した患者の移植成績が改善される可能性が示唆された。

  • 宮村 大治郎, 姫島 美幸, 門手 和義, 永井 勝信, 蘆澤 正弘, 賀古 真一, 神田 善伸, 八重田 淳
    2018 年 7 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/15
    ジャーナル フリー

     同種造血幹細胞移植(以下,同種移植)患者に対する理学療法の実施判断に関するアンケート調査を行い,同種移植患者に対する理学療法の現状と今後の課題について検討することを目的とした。対象は全国の同種移植患者に対する理学療法を実施している65施設とし,2014年6月に郵送による質問紙調査を行った。調査項目は,理学療法士が判断に迷う患者の病状とその対応方法,同種移植患者に対する理学療法についての学習方法やその不安感など22項目とした。49施設より回答が得られた(回収率75%)。理学療法の実施の可否の判断に迷う病状として,発熱,嘔気・嘔吐など21項目が挙がり,一部の施設では各施設独自の対処方法を作成していた。同種移植に関する知識について不安を持つ理学療法士が多かった。また,理学療法の実施判断についても一般化されたものがないため,今後効果的な介入を行うためには標準的なプログラム作成の検討が必要である。

回顧録
  • 正岡 徹
    2018 年 7 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/15
    ジャーナル フリー

     1960年代の白血病の死亡率は100%であった。我々は白血病が治るとは夢にも思わず,苦痛を少なく,見送ることが治療目標であった。大阪成人病センターで1963年成人急性白血病の治癒例を経験し,白血病治療の希望が生まれた。化学療法での効果が不十分で骨髄移植に進んだ。無菌室,成分採血,抗ウイルス剤,抗真菌剤,免疫抑制剤,コロニー刺激因子など多くの新薬の開発導入とともに適合同胞間骨髄移植は1984年から急速に成績が改善した。設立請願署名運動をうけて骨髄バンクが設立され,次いで臍帯血バンクも設立され,これの基盤強化を図る 「移植に用いる造血幹細胞の適切な供給の推進に関する法律」 も制定された。これには多くの方々の善意と支援がささえになっている。

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