日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
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最新号
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総説
  • 井上 雅美
    2020 年 9 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

     小児期に造血細胞移植を受けた長期生存者における様々な移植関連晩期合併症が報告されている。これらの晩期合併症は全身放射線照射(total body irradiation,TBI)や大量化学療法で構成される移植前処置によるものと慢性移植片対宿主病(graft-versus-host disease,GVHD)の影響によるものに大別される。特に乳幼児期に移植を受けた場合,TBIを用いない移植前処置であっても,移植前処置の影響は甚大である。小児においては移植が成長に及ぼす影響を把握し対処する必要がある。進学,就職,結婚など人生の節目を経て,次の時代を担う社会人として長い人生を歩むために,移植を経験した子どもたちをフォローアップし支援することは重要な課題である。また,長期フォローアップ体制の充実と並行して,移植関連合併症を軽減・回避するための努力を惜しむべきでない。

  • 木村 文則
    2020 年 9 巻 1 号 p. 6-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

     小児を含む若年がんに対する治療の発達によりがんを克服したがん経験者(cancer survivor)が増加している。その一方でその治療によりヒトとして本来兼ね備わっている機能の低下,殊に妊孕性の低下が大きな問題となってきている。日本癌治療学会が2017年に作成した小児,思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドラインにおいて,がん治療が最優先であるとともに,挙児希望がある場合には可能な限り生殖医療を専門とする医師を紹介することが勧められている。造血細胞移植の骨髄破壊的前処置は,高率に卵巣機能不全を惹起する。施行者は,その妊孕性への影響や妊孕性温存方法について理解するとともに,地域ネットワークのシステムを理解し,うまく活用することにより造血細胞移植後の患者の生活の質の向上に努めるべきである。

  • 橋本 大吾
    2020 年 9 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

     免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体は,T細胞の活性化に対する負のフィードバック機構を解除し,T細胞の活性化を促して抗腫瘍効果を発揮する。本邦では造血器悪性腫瘍に対し,再発難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する抗PD-1抗体(nivolumabとpembrolizumab)のみが承認されているが,今後はその他の血液疾患に対する応用が期待される。同種造血幹細胞移植においては,免疫チェックポイント阻害薬による抗腫瘍免疫がさらに増強されることが期待される一方,GVHDの増悪につながる可能性があり,安全性に細心の注意を払う必要がある。本論文では,同種造血幹細胞移植における免疫チェックポイント阻害薬の作用について,基礎研究での知見と臨床的知見の両方につき,特に本邦で現在使用可能となっている抗PD-1抗体に重点をおいて検討することとする。

  • 佐野 秀樹, 小林 正悟, 望月 一弘, 菊田 敦
    2020 年 9 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

     ハプロ移植では,同種免疫反応による重篤な移植片対宿主病の発現,移植片拒絶などの移植後早期合併症死亡が多く,歴史的にhuman leukocyte antigen(HLA)一致ドナーからの移植が推奨されてきた。一方,同種免疫反応は強いgraft versus leukemia効果を誘導するため,再発・難治性白血病へのハプロ移植の応用が期待される。治療の進歩により小児急性白血病の予後は改善してきたが,予後不良因子を有する再発例,移植後再発や治療抵抗性白血病症例の予後は非常に不良である。これらの難治性急性白血病症例を対象として,我々は2009年~2016年にT細胞充満ハプロ移植を行った39例を後方視的に解析した。単一施設の成績だが,3年全生存率は45.1%±8.5%であり,3年無再発生存割合は33.8±7.9%であった。今後は多施設による臨床試験として前方視的に評価していくことが重要である。

研究報告
  • 中澤 佑介, 中込 早苗, 安藤 尚美, 五十嵐 貴之, 原田 大, 北村 正樹, 川久保 孝
    2020 年 9 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

     造血幹細胞移植の前処置では,催吐性リスクの高い抗癌薬が投与されるため,制吐薬としてaprepitantが積極的に使用される。移植前処置で投与されたaprepitantの影響下で,移植day −1よりtacrolimusが開始されるが,aprepitantはCYP3A4阻害作用を有することからCYP3A4で代謝されるtacrolimusの血中濃度への影響が懸念される。移植前処置にaprepitantが投与された患者群25名および非投与群32名に分類し,移植day 0からday 4における体重あたりのtacrolimusの血中濃度と投与量比〔C/D比(ng・kg/mL・mg)〕の推移を比較した。移植day 0におけるtacrolimusのC/D比の平均値は,移植day −1にaprepitantの投与が終了した患者群および非投与群でそれぞれ553±161および414±138ng・kg/mL・mgであり,aprepitant投与患者で有意に高かった。tacrolimusに対するaprepitantの薬力学的影響は,aprepitantの投与終了後から1日間が特に顕著であるため,tacrolimusの血中濃度モニタリングによる評価が重要であると考えられた。

  • 清水 里佳, 粂 哲雄, 秋山 加菜, 松山 円, 鈴木 美紀, 川﨑 和広, 福田 瑞穂, 石出 恵子, 池田 宇次
    2020 年 9 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

     造血幹細胞移植の前処置には様々な抗がん薬が使用されており,抗がん薬により皮膚障害を生じることが報告されている。特に,手足症候群(hand-foot syndrome,HFS)は,抗がん薬使用により起こる代表的な皮膚障害である。今回,当施設で造血幹細胞移植前処置開始から骨髄抑制期に発現するHFSについて検討した。2011年1月から2015年12月までに当施設で同種造血幹細胞移植術を行った151名を対象に,HFSの発現について診療記録と看護記録から後方視的に調査した。HFSの発現は90例(59.6%)で認められ,total body irradiation 12Gyとフルダラビン/ブスルファンを用いた前処置は,フルダラビン/メルファランを用いた前処置に比べてHFSの発現頻度が,統計学的に有意に高かった。今回の結果を受けて,前処置ごとに患者に対して最適なスキンケアのセルフケア支援や看護支援を検討する必要がある。

短報
  • 高橋 彩, 後藤 清香, 加藤 元博, 安部 美樹子, 中村 有希, 釼持 瞳, 森田 秀一, 松本 有子, 松本 公一
    2020 年 9 巻 1 号 p. 46-49
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/15
    ジャーナル フリー

     Hematopoietic stem cell transplantation (HCT) recipients should be accommodated for at least 2-3 weeks in a protective environment with high-efficiency particulate air (HEPA) filters. Amenity is very important for the recipients who have to overcome hard condition, and comfortability during transplantation highly depends on equipment of isolated rooms. To minimize the inconvenience of recipients, several elaborating equipment is required, however, detailed information for design drawing of isolated rooms is rarely available. Thus, to newly establish two units of isolated rooms in our hospital, we visited four institutions and conducted an interview with staffs and patients/parents, for satisfied/dissatisfied points of the isolated rooms of each hospital. Based on the collected information, we established isolated rooms “kind-hearted” for both patients and medical staffs. We here share our design drawings for the isolated rooms with multiple ingenuity, which could contribute for basic information to newly establish isolation rooms.

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