Human herpesvirus 6B(HHV-6B)脳炎は同種造血幹細胞移植における重要な中枢神経合併症である。中枢神経症状発症時にHHV-6B脳炎を疑う状況としてはⅰ)臍帯血移植やHLA不一致非血縁者間移植,ⅱ)移植後2〜6週目での発症,ⅲ)記憶障害や異常感覚,ⅳ)PIR,GVHD,生着症候群の先行,ⅴ)ステロイド使用下での発症,ⅵ)低ナトリウム血症があげられる。HHV-6B脳炎が疑われる場合には髄液PCR結果を待たずに治療を開始する。ホスカルネット(FCN)180mg/kg/dayでの開始が推奨される。初期治療が有効でない場合にはⅰ)治療期間延長,ⅱ)初期治療がFCN単独の場合はガンシクロビル(GCV)との併用,ⅲ)GCV単独の場合はFCNや併用療法へ変更,などを検討する。意識障害や痙攣が改善しない場合にはGCVとFCNの併用療法を考慮する。