日本地域共生ヘルスケア学会誌
Online ISSN : 2759-4084
最新号
日本地域共生ヘルスケア学会誌
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • インタビュー調査に基づく質的内容分析
    平松 幸子, 小笠原 知枝, 兼澤 あゆみ, 小林 由里, 河合 まゆみ, 児玉 拓
    2024 年 1 巻 2 号 p. 1-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/22
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,在宅認知症高齢者のエンドオブライフと家族を支援する訪問看護師のスト レス要因を明らかにすることである。4年以上の訪問看護の経験と在宅認知症高齢者のエンド オブライフケアの経験をもつ訪問看護師19名を対象とした。半構造化面接法を用いてナラティ ブデータを収集し,質的記述的研究の手法を用いて分析した。在宅認知症高齢者と家族への支 援を通して感じる困難感,不安,負担感に関する語りを,類似の文節ごとにコード化しカテゴ リー化した結果,ストレス要因として10カテゴリーと29サブカテゴリーが抽出された。 10カテゴリーは,【認知機能低下に伴う日常生活上の支障への対応】【看護介入に対する在 宅認知症高齢者の理解困難】【認知症高齢者と家族の情緒不安定な言動】【家族の認知症に対す る受容の難しさ】【在宅医療・看護ケアの見直しにかかる費用負担の困難さへの対応】【意思決 定を代行する家族への支援上の困難さ】【意思疎通ができない認知症高齢者の看取りに対する 家族の混乱】【多職種連携の困難さ】【多岐にわたる業務の繁忙に伴う疲労】【幅広い看護実践 に必要な知識・技術の不足】であった。  上記のストㇾス要因について,その類似性と関連性を考察した結果,認知症に伴う中核症状 と周辺症状への対応上の困難,在宅療養の継続上の困難,家族によるエンドオブライフの支援 上の困難,訪問看護の業務上の特徴から生じる困難に4分類された。これらの4観点から訪問 看護師のストレス要因に対処する必要性が示唆された。
  • 堀川  尚子
    2024 年 1 巻 2 号 p. 11-19
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/08
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は施設で暮らす定住外国人高齢者に関わった介護職におけるEnd of life Care, 以下「EOLC」)の実態とその要因分析である。介護職に質問紙にてEOLCの困難さの実態を χ2検定,要因分析は質的研究にてカテゴリー化した。その結果,「言葉の壁」で困難さを感 じ(p=007),「家族の関係性」でかかわりがない介護職は困難さを感じていた(p=023)。 ま た , EOLCに関する要因は,【多言語コミュニケーション力の弱さ】,【ニーズを達成するためのケア】, 【多様な文化を理解しようとする態度】の3つのカテゴリーが抽出された。本研究によって介 護職員のEOLCは言葉の壁と家族の関係性に困難さを感じていた。要因は多言語コミュニケー ション力の弱さを感じつつ,穏やかな療養生活が営めるように多様な文化を理解しようと努め, 定住外国人高齢者のニーズを達成しようと寄り添うケアを意識していることが示唆された。 キーワード:定住外国人高齢者,EOLC,介護職員
  • 橋本 容子
    2024 年 1 巻 2 号 p. 21-29
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/08
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究の目的は,慢性疾患患者に対するエンド オブ ライフケアでの意思決定支援におけ る看護師の認識の構造を明らかにすることである。研究方法は,医学中央雑誌Web版,CiNii Reserch,Google Scholar,PubMed, CINAHLで検索した,慢性疾患患者に対するエンド オブ ラ イフケアにおける看護師の意思決定支援の内容とその思いに関する国内文献から,分析の選定 基準を満たす6文献を対象に,Noblit&Hareらの方法論に準拠し質的メタ統合を行った。その結果,慢性疾患患者のエンド オブ ライフケアにおける意思決定支援の看護師の認識は4つのカテゴリに統合された。意思決定支援において看護師はどのような状況においても【患者の価値観を尊重】すること,【家族との関係性(が患者に及ぼす)影響】があること,【今を大切にした関わり】が重要であること,【(看護師)自身が患者に与える影響】があることが明らかとなった。看護師は患者の個別性を尊重した意思決定支援の重要性を理解している一方で,看護師自身が患者に与える影響も自覚しており,より効果的な意思決定支援に向けた方略の検討が課題であるといえる。 キーワード:意思決定支援,慢性疾患患者,エンド オブ ライフケア,看護師の認識,質的研究のメタ統合
  • 笠谷  武史
    2024 年 1 巻 2 号 p. 31-40
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/08
    ジャーナル オープンアクセス
    ケアマネジャーが要支援・要介護認定者に行っているアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の促進とACPの阻害因子との関連を明らかにすることを目的とした。ケアマネジャー230人を分析対象とした。要支援・要介護認定者に対するACPの促進とACPの阻害因子の構造を確認する為に因子分析を行った。ACPの促進とACPの阻害因子の平均得点の比較には対応あるt検定を行った。ACPの促進とACPの阻害因子と関連について重回帰分析を行った。ACPの促進は要支援認定者より要介護認定者の平均値が有意に高かった。要支援・要介護認定者ともに「ACPの促進」と「ケアマネジャーの阻害因子」との間に負の関連が,「ACPの促進」と「利用者の阻害因子」との間に正の関連が認められた。 キーワード:Advance Care Planning,ケアマネジャー,ACPの促進,ACPの阻害因子
  • 河合 まゆみ
    2024 年 1 巻 2 号 p. 41-49
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/08
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,訪問看護師の認知症患者遺族に対する支援の実態を踏まえ,訪問看護師がグリーフケアをどのように認識しているかを,明らかにすることである。  訪問看護師57名を対象に質問紙調査を実施した。質問紙はグリーフケアの実態とグリーフケアに関する認識を問うた。その結果,訪問看護師は認知症患者遺族に対し,死後四十九日までに,自宅訪問や電話相談などの支援を実施していた。認知症遺族から受けた相談内容は,生活に関わる相談15件,これまで行なってきた介護や代理意思決定に関わる相談14件,認知症の症状に関わる相談8件,喪失に関わる相談7件,身体に関わる相談7件の合計51件であった。 訪問看護師が認識するグリーフケアに関する記述内容を,コード化し,カテゴリ化した結果,23サブカテゴリから7カテゴリが抽出された。それらは,【否定的・肯定的な感情や思いの表出支援】【思いや悲しみへの共感と寄添い】【認知症患者の人格を尊重した代理意思決定の肯定】【認知症の進行に伴う介護疲労への労い】【遺族間で思いを共有する機会の提供】【今後の生活に向けた社会的資源の活用】【認知症の特徴と悲嘆プロセスに関する教育的支援】と命名された。 キーワード:グリーフケア,訪問看護師,認知症,遺族,内容分析
  • 加藤  由加
    2024 年 1 巻 2 号 p. 51-60
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/08
    ジャーナル オープンアクセス
    目的: 勤労者のアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)の認識や実践状況と対象者の 特性との関連を明らかにすることを目的とした。 方法:A健康保険組合に所属する勤労者649名に自記式質問紙調査を実施した。 結果: 有効回答の得られた426名のうち,ACPの認知度では知らない407名(96.0%)であり,年代別・世帯構成・介護経験の有無の項目で有意に関連していた。ACPの賛否では賛成187名(44.3%)であり,性別・年代別・自分の健康観の項目で有意に関連していた。ACPの開始年齢に関する認識と個人特性においては有意な関連はみられなかった。ACPの実践状況は実施したことがある12名(2.9%)であり,兄弟姉妹数・世帯構成・介護経験の有無・親の健在状況の項目で有意に関連していた。 結論: 勤労者のACPの認知度や実践状況は低い結果であったが,ACPに賛成が半数,ACPの実践に意欲ありが88.1%とACPに関して理解を示していることが示唆された。そのため,今後ACPに関する情報を提供する機会を設けることでさらに理解が深まり,ACPを推進することができる可能性が示唆された。 キーワード:勤労者,アドバンス・ケア・プランニング,認識,実践
feedback
Top