【目的】近年、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の普及に伴い、過度または不適切な利用が睡眠障害や抑うつ、 不安などの心身の健康問題と関連することが報告されてきた。SNS 依存を健康リスクとして扱う際には、 集団全体を対象とする一次予防(集団戦略)と、 高リスク者に焦点化する介入(高リスク戦略)の重みづけや併用を検討する必要がある。その基盤として、 介入対象の潜在構造が連続的に分布する次元的構造か、 質的に異なる集団を含む非連続的構造かを実証的に明らかにする必要がある。しかし、SNS 依存傾向の潜在構造をタクソメトリック分析により検証した研究は見当たらない。本研究は、 日本の一般成人を対象に SNS 依存傾向の連続・非連続性を検討し、健康科学的支援方略の検討に資する基礎的知見を提示した。
【方法】大学生を含む一般成人 1,788 名が Social Networking Addiction Scale 日本語版(SNAS-J)に回答した。突出、気分変容、耐性、離脱症状、葛藤、再燃の 6 つの下位尺度得点を指標として、MAMBAC、MAXEIG、L-Mode の 3 手法によるタクソメトリック分析を実施した。経験データと、 連続モデルおよび非連続モデルを仮定して生成したシミュレーション・データの一致度を Comparison Curve Fit Index(CCFI)で数量的に評価した(CCFI<.45 を連続、CCFI>.55 を非連続)。
【結果】3 手法のいずれにおいても、 経験データは連続モデルと高い一致を示し、 非連続モデルに特徴的なピークや多峰性は確認されなかった。CCFI は MAMBAC=.313、MAXEIG=.350、L-Mode=.283 であり、すべて .45 を下回った。平均 CCFI は .315 であった。
【結論】SNS 依存傾向は、 健常群と質的に断絶した病理として分離される構造ではなく、SNS 利用が社会生活の一部となりつつある現代の一般成人において、 程度の差として連続的に分布する健康リスクとして位置づけられる。本知見は、 二分法的評価に依拠した対象選定に偏らず、 集団戦略を基盤としつつ脆弱な集団への補完的支援を併用する健康支援の設計を検討する理論的根拠を与える。
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