【目的】本研究は、 胃ろうまたは経鼻経管による経管栄養患者に対し、 嚥下内視鏡検査(VE)および口腔機能検査を用いた評価と、 多職種連携による経口摂取支援の意義を 2症例を通して検討することを目的とした。
【方法】対象は N 歯科クリニックで管理した症例 1(67 歳、男性、胃ろう)と症例 2(99歳、女性、経鼻経管栄養)とした。VE(兵頭スコア)および口腔機能検査(口腔衛生状態、口腔粘膜湿潤度、咬合力、舌口唇運動機能、舌圧、咀嚼機能、嚥下機能)を実施し、その結果に基づき歯科医師・歯科衛生士・看護師・栄養士・介護職・家族が連携して支援計画を作成した。介入は口腔ケア、パタカラ体操、あいうべ体操、義歯製作、食事内容の調整を含んだ。
【結果】症例 1 では初回 VE で軽度誤嚥(スコア 5)が確認されたが、6 か月後には、 とろみ水やプリンの摂取が再開され、 最終的に軟飯や缶詰などの経口摂取へ移行した。舌苔付着率は 33.0%から 22.2%へ減少し、嚥下質問紙のスコアは 45 点から 7 点へ改善した。症例 2 では義歯装着初日から長女が手作りしたクッキーの摂取が可能となり、その後、大根や餅巾着なども摂取することができ、3 食すべての食事において経口摂取が可能となった。VE スコアは 3 点で変化はなかったが、咀嚼・嚥下機能の改善がみられた。両症例とも、患者の嗜好や希望を尊重した個別支援と、多職種・家族の継続的関与が機能回復に寄与した。
【結語】VE と口腔機能検査を併用することで、 経口摂取再開の判断に客観的根拠を与えることができた。患者の内発的動機と支援者の継続的関与が機能改善の要因であり、 地域包括ケアの中で本支援モデルの拡大が望まれる。
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