学区別に刊行される住宅地図は、日本で独自発達した形式の地図であり、また、単純な部数において屈指のものと考えられる。これらの地図は、紙面への広告料金によって無料配布されているが、本報告ではそれら広告主の属性と広告掲出圏を検討した。京都府内で刊行されているすべての住宅地図(179図幅)を対象に掲載されている広告を抽出したところ、広告数は9,527件、広告主は7,648件であった。この広告主数は、地図の刊行範囲に立地している全事業所の約1割に該当し、広告媒体としての活用率が非常に高いことを示す。広告主の8割は事業所が立地する図幅にのみ広告を掲出しており、一枚物の学区別住宅地図が近隣商圏レベルのきわめてローカルな空間単位において活用される広告媒体であることを示す。
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