昨今の食品情報が溢れる中で,消費者が不明確な情報に惑わされることによって正確な判断ができない状態がもたらされ,そのた めに消費者が不利益を被っているのではないかと考えた。本研究ではこのような状況をいかにして改善できるかに取り組みたい。 その際,食品のイメージと実態との乖離という観点を採用し,山口市内のレストランについての食材のアンケート調査を実施するとともに,山口市内のスーパーマーケットでの店頭調査を行い,中国産野菜がどのように扱われているのかを検討した。アンケート調査の結果から,消費者は実際の食材の産地を知らないまま,海外産食材を国内産とイメージして消費していることが明らかになり,実際の食品と消費者のイメージとの間には少なからぬ乖離があることが確認された。また,スーパーマーケットの調査からは,中国産の野菜はほとんど扱われていないことが明らかになり,レストランでは使用される食材がスーパーマーケットでは売られていないことを確認できた。こうした状況をどの様に解釈することができるのか,それによって消費者が不利益を被っているのではないかという立場から考察し,不十分な情報と限られた情報に振り回されていることを問題として指摘した。