比較生理生化学
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23 巻 , 1 号
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総説
  • 寺北 明久
    2006 年 23 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2006/01/30
    公開日: 2007/10/05
    ジャーナル フリー
    脊椎動物の視覚の光受容体ロドプシンは, G蛋白質共役型受容体 (GPCR) の一種であり, 唯一3次元立体構造が決定されるなど, GPCRの中で最も研究の進んでいる蛋白質の1つである。一方, 他のGPCRがアゴニストと呼ばれる外来性の化学物質 (ホルモンや神経伝達物質) を結合して活性化されるのと対照的に, ロドプシンは分子内にインバースアゴニスト (アンタゴニスト) と呼ばれる不活性化物質11-シス型レチナールを結合しており, 光エネルギーを使ってそれをアゴニストである全トランス型レチナールに変換して活性状態になる。著者らは, 頭索動物ナメクジウオの光受容体が, 脊椎動物のロドプシンと同様にアンタゴニストと結合して光で活性状態になるのみならず, アゴニストである全トランス型レチナールを直接結合して活性化される能力も持っていることを発見した。このロドプシンが示す一般のGPCR様の性質と光受容体としての性質とについて詳細に解析した結果, ロドプシンの分子進化過程で備わった視覚の暗ノイズを低下させるための分子機構についての知見も得られた。また, ナメクジウオロドプシンの新しいロドプシンモデルとしての可能性についても考察する。
  • 松浦 哲也
    2006 年 23 巻 1 号 p. 10-19
    発行日: 2006/01/30
    公開日: 2007/10/05
    ジャーナル フリー
    線虫はわずか302個のニューロンから構成されており, それらすべての接続が明らかになっている。そのため, 感覚の受容とその処理過程が比較的容易に理解できる。また, 全ゲノムの塩基配列が明らかとなっているため, 遺伝子レベルの解析も可能である。線虫は行動とその神経基盤, 分子機構を結び付けることのできる数少ない生物の1つであるといえる。本稿では, 線虫の化学感覚と化学走性行動に関する神経基盤および分子機構について紹介する。線虫は周囲に存在する特定の化学物質に対して化学走性行動を発現する。この行動の発現には, 線虫頭部や尾部に存在するアンフィド感覚器やファスミド感覚器での化学情報の受容が重要であることが分かっている。最近では, 化学物質とエサの有無を関連付けた連合学習など線虫行動の可塑性や, 化学走性時の個体間の相互作用について新たな知見が得られつつある。
  • ―成鳥における聴覚フィードバックの役割について―
    渡辺 愛子, 坂口 博信
    2006 年 23 巻 1 号 p. 20-31
    発行日: 2006/01/30
    公開日: 2007/10/05
    ジャーナル フリー
    スズメ目の鳴禽類, オウム目, ハチドリ目に属する鳥は, 音声学習によってさえずり (歌) を発達させ, 種内のコミュニケーションに用いている。鳴禽類の雄の幼鳥は, 成長期に手本となる鳥の歌を聞いて記憶し練習することで歌を完成させる。この練習時には, 自分のさえずる歌が学習目標となる歌の手本にどれだけ近づいたかを常にモニターするために, 聴覚フィードバックが必要であることが明らかにされている。さらに, 成鳥が完成後の歌を維持するためにも, 同じ理由で聴覚フィードバックが必要であることが, 筆者等の研究も含めた近年の報告により明らかになってきた。成鳥での聴覚フィードバックの重要性については, 鳴禽類の種で異なる結果が報告され, いまだに不明な点が多い。そこで本稿では, 筆者等の研究結果を交え, まず行動レベルで聴覚剥奪後の歌の特徴を比較して, 成鳥の歌の維持における聴覚フィードバックの必要性について検討した。次に, 聴覚剥奪によって成鳥の歌が変化する時に起こる脳内の変化を調べ, 聴覚フィードバックによって制御される成鳥の歌維持の脳内機構についても考察した。
  • ―情報とは何か? 情報量とは何か? 生命現象との関係は何か?―
    第4回
    下澤 楯夫
    2006 年 23 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 2006/01/30
    公開日: 2007/10/05
    ジャーナル フリー
    Part 4. Rate of information transmission through a noisy channel and other related concepts are formulated as an extension of Shannonian information theory introduced in Part 3. Ergodicity of stochastic process and Gaussian probability distribution are also explained. Auto- and Cross-correlation functions and convolution integral are introduced with their Fourier transforms for elimination of effect of noise in system identification.
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