比較生理生化学
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25 巻 , 1 号
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総説
  • 片桐 展子, 片桐 康雄
    2008 年 25 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/10
    ジャーナル フリー
     多くの動物に接するとき,我々はその動物の頭部領域にみられる2つの円くて黒い構造を眼であるとみなす。脊椎動物では眼の構造は魚でもヒトでも基本的には同じで,眼を見わけるのは容易である。しかし,無脊椎動物の眼は多種多様で,形状,大きさ,存在部位,数など動物によって,また,発生の段階によって異なることがあり,眼として認めることは難しい場合がある。眼は外見だけでなく内部構造も極めて多様性に富んでいて,それぞれの動物に特有な微細構造が観察される 8,11,41)。私たちは軟体動物・腹足類に属するイソアワモチ(Onchidium verruculatum,図1A)を,長年,研究対象として来た。
     イソアワモチ1匹をよくみれば,多くの動物の眼を観察した際に遭遇すると予想される多種類の光受容細胞について興味ある情報が得られたのである。イソアワモチは特異な多重光受容系を有する。この系は多種類で多数の光受容器から成る。体の前端部に1対の柄眼,外套背面に多数の背眼,中枢神経系には感光性神経節細胞,そして,体中に皮膚光覚細胞が散在する 14,26)(図1A,1B,1C,図2)。本稿ではイソアワモチの多重光受容系のそれぞれの形態と光応答について述べる。無脊椎動物の眼に関しては,Eakin (1972) 8)による多数の動物の眼の微細構造について,吉田の光感覚や Extraocular photoreception についての総説や 41-42)Land 28),Messenger 29)などの総説があるので詳細はこれらを参照されたい。
  • 松本 幸久
    2008 年 25 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/10
    ジャーナル フリー
    学習や記憶は,動物が環境に適応するために必要な脳の基本機能といえる。学習・記憶の神経機構の解明は神経行動・生理学分野における重要課題の1つであり,これまでに様々な動物種を用いた研究が進められている。筆者は,行動学や感覚生理学の材料として馴染みのあるフタホシコオロギが,高度な匂い学習・記憶能力を持つことを行動実験的に明らかにした。本稿では筆者の研究によって得られた知見を中心に,コオロギの匂い学習と記憶について紹介する。まずは,古典的条件付けにより匂い学習が容易に成立することを示す。次にコオロギの匂い学習・記憶能力のうち,1)記憶保持能力,2)記憶容量,3)状況依存的学習能力について紹介する。そして,炭酸ガス麻酔処理や薬物の投与によって,コオロギの記憶が性質の異なる4つの記憶の相に分けられることについて述べる。
技術ノート
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