比較生理生化学
Online ISSN : 1881-9346
Print ISSN : 0916-3786
ISSN-L : 0916-3786
28 巻 , 4 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
総説
  • 森下 文浩, 古川 康雄, 松島 治
    2011 年 28 巻 4 号 p. 308-316
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/11
    ジャーナル フリー
     動物の恒常性や行動の調節において重要な役割を担う神経ペプチドやペプチドホルモンの中には,特定のアミノ酸残基がD型化しているものがある。これらのペプチドは,元々,全てL型アミノ酸を用いて生合成され,翻訳後修飾の過程でイソメラーゼによりD型化される。われわれは,アメフラシから強力な心拍動増強作用をもつ3残基ペプチド,NdWFamide(NdWFa)を同定した。このペプチドは,その名の通り,Asn-Trp-Phe-NH2という構造をもち,2残基目のTrpがD型化している。このペプチドは,アメフラシ腹部神経節のRUQニューロン群に発現し,心臓・血管系などに局在する。D-Trpは,NdWFaの立体構造の維持に不可欠であり,その特徴的な構造がペプチドの生理活性やペプチダーゼに対する耐性の獲得に重要であることがわかってきた。さらに,最近では数種の腹足類おいてNdWFaおよびその関連ペプチドをコードする前駆体蛋白質の構造も明らかとなった。この総説では,NdWFaに関する知見を中心に,D型アミノ酸含有ペプチドのユニークな特徴について概説する。
  • 吉田 将之
    2011 年 28 巻 4 号 p. 317-325
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/11
    ジャーナル フリー
     恐怖や不安は,動物の生命存続のためになくてはならない情動であり,様々な情動のうちでも比較的研究が進んでいる。魚類における恐怖や不安の神経機構を調べる上で,それらの情動を再現し,定量的に計測するための有効な方法が不可欠である。最近,従来の動物心理学的な手法に,エソロジカルな考え方も取り入れた魚類の不安の定量化法が導入されつつある。代表的な例のひとつが「新奇環境テスト」であり,これは不安を惹起するような新しい環境(水槽)に魚が遭遇したとき,どのように対処するかを定量的に観察する方法である。もう一つが明暗(白黒背景)選好性テストであり,背景が暗いほうが安心するという魚の習性を利用した不安の定量法である。一方,恐怖については,古典的恐怖条件付けや回避条件付けなどの手法で定量化できるほか,警報物質や捕食者に対する生得的な恐怖反応を利用する方法も開発されている。これらの恐怖・不安定量化法を利用して,情動のメカニズムに関する行動神経科学的,生物医学的研究が進められている。 魚類は多様な環境に適応放散しているが,そのごく一部が研究対象となっているにすぎない。今後,興味深い不安・恐怖行動を示す魚種が発見され,情動メカニズムの進化の解明に寄与することを期待する。
技術ノート
  • 池野 英利, 加沢 知毅, 並木 重宏, ハウプト ステファン 周一, 西川 郁子, 神崎 亮平
    2011 年 28 巻 4 号 p. 326-333
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/11
    ジャーナル フリー
     比較生理学生化学分野でも実験からデータ解析,論文執筆に至る研究活動を進めていく上でコンピュータおよびインターネットは必要不可欠なツールとなっている。論文をはじめとする様々な研究情報や日々の実験により得られるデータの管理,共有,活用を促進していくにはデータベースの利用が有効であり,研究室あるいは研究グループのレベルからインターネットによる研究情報の共有を目指すものまで数多くのシステムが開発,運用されている。我々は,神経細胞形態及び電気生理実験データに関するデータベース:BoND(Bombyx Neuron Database)を活用しカイコガにおけるフェロモン受容と行動制御に関する神経回路解析について研究を進めている。本稿では,比較生理学分野におけるデータベースの構築手法とそれらの活用方法の一例として神経細胞形態の標準脳へのレジストレーション技術を紹介する。
feedback
Top